「誰の気持ちも分からない」竜とそばかすの姫 土田さんの映画レビュー(感想・評価)
誰の気持ちも分からない
映像作品として見れば綺麗でした。歌ってる表情とかはあまり好みではなかったですが。ここを目的に見に行くのなら全然いいと思います。星の1.5はここですね。
ストーリーはまあお察しということで。
中でも、いくつか納得のいかない点があったのでそれを以下に。
個人的に最も納得のいかなかったのが、主人公の母が自分の子供もほっぽり出して赤の他人を助けに行くところですね。あの川に置き去りにされた子供はあの子供の母が助けるというのが筋であるはずなのに、他所の家の母(それもその場に娘がいて、「行かないで」とまで言っている)が自己犠牲の精神で助けに行ったのがあまりに辻褄があわなかった印象です。そりゃあ母は叩かれるわって感じですよね。
もう1つが竜の正体ですね。誰だよって感じでした。途中出てきていたとはいえ伏線としては少なすぎすぎるし弱すぎる。しのぶ君では流石に都合いいかなあ、母が助けたあの子かなあ位に考えてたら、知らん兄弟が出てきて焦りました。しかもDVされてるとかいう追加設定。
他にも要らないシーンが多かったのかなという印象でした。学校のマドンナとカヌーの子の恋愛要素や、悪いマダム、傷があるメジャーリーガー、痣のタトゥーの美術家やそいつの三角関係云々。竜が誰かを紛らわせるのに用いたにしては尺が長い。合唱団のおばさん達も後半役に立ってくれるかと思ったらただの主人公の送迎役。
あと、私はその映画のその後っていうのを考えるのが好きなのですが(原作は読んでないのですみません)、あんな大勢に自分の顔を晒しちゃって今後どう生きてくのかなあとか考えちゃいました。歌手として生きるのかねえ。そこを何も考えてなさそうなしのぶ君が人を救うために顔を晒せ!って言ってんのを見たら何見せられてるのか分かんなくなりました。それも人を救って死んだ母を持つ主人公に対して。考え方によったらいじめっ子よりいじめてる。
そんなの映画だからといえばそこまでなのですが、作品のコンセプトとして誹謗中傷やいじめというのも1つあったと思うのでそこから逃げるのもどうかと思ったので書きました。
結論としてはサマウォと比べちゃうと可哀想なくらいストーリーは見劣りしましたね。やはりちゃんとした脚本家の存在は大きい…