「美女と野獣のパクリ?いいえ、オマージュです。」竜とそばかすの姫 eyeさんの映画レビュー(感想・評価)
美女と野獣のパクリ?いいえ、オマージュです。
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Uという仮想世界の映像美、素晴らしい楽曲の数々、愛すべき個性的なキャラクター達、心に傷を負う少年少女が互いの存在によって少しずつ癒やされていく物語の展開。この映画を構成する全ての要素に魅了されっぱなしの2時間である。
主人公のすずは、仮想世界UでBellという新しい姿を獲得し、水を得た魚のように歌の才能を開花させていく(実際、Bellの衣装は花のモチーフが多い)のだが、Bellこと中村佳穂さんの心を震わす歌声は何度聞いても素晴らしく、是非多くの人にも美しい映像とともに劇場で聴いてほしい。
映画の中盤、ディズニー映画の「美女と野獣」を彷彿させるシーンがあるのは否定しないが、本作の主題は全く別のものであり、純粋にオマージュとして楽しみたい。個人的には、竜とBelleの関係は恋人同士というよりもむしろ母と子の関係に近いように思われる。
余談ではあるが、竜の城やお付きのAIたちは、秘密の薔薇と同様、現実では知的障がいのある弟の創造物なのだろうか…そういった裏設定があってほしいと願うのも密かな楽しみである。
最後に、本作は主人公すずの成長を通じて、人を傷つけるのが人であれば人を癒すのもまた人である、ということを教えてくれる。どのようなメッセージを作品から受け取るかは人それぞれだと思うが、単なるエンターテイメントでは終わらない何かがこの映画にはあるため、是非一度劇場で味わってほしい。
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