「物語をちゃんと作ってほしい」竜とそばかすの姫 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
物語をちゃんと作ってほしい
私にとっての細田作品は「時かけ」がベスト。
「サマーウォーズ」と「おおかみこども」はまあまあ。
その他はイマイチ…という印象。
前作辺りから極端なアンチもいる様なので、ひとまず観てこれを書き終わるまでは他の方のレビューは見ない。
日曜日の客席は久しぶりに中高生や若いカップルで溢れていて、映画館の盛り上がりが帰って来た感じがあって嬉しかった。
で、内容。
歌と映像は魅力的で印象に残る。
映画館を出てもホントに繰り返し頭の中でリフレインされた。
冒頭の「U」世界の紹介からのベル登場なんかは細田色満載でゾクゾクさせられた。
ただ、ストーリーはどーなってんの?
挙げだしたらきりが無いけど、どのキャラクターにも共感できなかったし、無理スジの展開にはずっと眉を力ひそめて観てた。
そして最後。
超極薄情報を頼りに独りで東京へ向かう女子高生をあれだけ大人がいて誰も止めず(あのコーラスおばさん達も…結局なんなの?)、偶然竜の兄弟に出会うことができ、現れた父親が激昂して見知らぬ女のコに暴力をふるい、でも睨みつけられて親父は退散。
…んなバカな。
『美女と野獣』は当然あえて持ち込んだモチーフなんだろうけど、そもそもあの作品の「善悪」と「美醜」の価値観についてはいろいろ議論の余地もあることを踏まえると、この物語にそれほど食い合わせが良いとは思えないし。
U世界にはあれだけの登録者をそれぞれスキャニングしたアバターがいる中、明らかにベルの容姿が極端なほどに「美しく」描かれている。そしてそれは鈴が積極的に望んだことではない。さらには、竜を探すためには「オリジナルの姿を晒せ」。
そういうの、「マッチポンプ」というんじゃないの?
まあいろんな理屈が付くのかも知れないけど、それ、どーなん?
これに限らず、あの幼馴染の男前が登場からまったく「良いヤツ」じゃないのがずっと引っかかってた。
あと、芸能人が声優を務めるのは作品によっていろいろ言われてるけど、ディズニーなんかはかなり良い人選をすることが定着した中で、率直に言ってこのキャスティングは「ダメ」な部類に入る様に感じる。
全然スッキリしない作品だったけど、映像作品としては見どころも多いので★は3つ。
【追伸】
書いてから他の方のレビュー見たら自分が書いたのかと錯覚する様な意見が多くてビックリするやら安心するやら。