「音楽や映像、歌唱力は圧巻」竜とそばかすの姫 x xさんの映画レビュー(感想・評価)
音楽や映像、歌唱力は圧巻
とりあえず良かった所を先にあげておくと映画の開幕の音楽の使い方や、歌、映像の臨場感や迫力、キャラの声や演技はとても良かったです。最近のアニメ映画は映像美がとても注目されている、ということを理解した上で見ても圧巻のクオリティです。3Dが映えそうですね。
あと高校生の複雑な人間模様や恋愛模様、主人公の女の子が抱えるコンプレックスやトラウマによる自信のなさなどの描き方もさすが細田守監督だなと思わせられるものでした。
Bellの声にアーティストである中村佳穂さんを起用しているのですが、さすがの歌唱力、Bellが歌うシーンは映像も相まって圧巻でした。
それらが良かっただけに全体を通したストーリーがすごく残念でした。ひとつの映画に細かなストーリー詰め込みすぎで結局全てのストーリーが中途半端って感じです。結局何が言いたかったのかよく分からない、多分主人公の女の子の成長物語なんだろうなぁ、、とぐらいしか考える気になりません。
メインストーリーである「竜」の正体についても、「そうだったんだ、、!」みたいな驚きは全くなく「へぇ、、、誰?」みたいな感じです。
竜の正体に関する伏線も無理やりねじ込まれたもの以外特にないので、正体が明かされたあとのストーリーにも特に感情移入できなかったです。そのため、おそらく感動シーンだろうと思われるところでも特に感動出来ず、感情の上がり下がりがほぼない映画という印象でした。序盤の迫力のある音楽と映像で引き込まれていった気持ちが中盤あたりからどんどん冷めていくのを感じました。
というかそもそも竜が追われることになった理由のこじつけ感が半端ないです。映画だからと言ってしまえばそれで終わりですが、あの程度のことで追われ、アカウントの中身の人間晒されるなんてことになればネット上の治安最悪ですよ。秩序もクソもないです。
また、あとから良く考えれば「え、最初からそれしてたらそのシーン全く必要ないよね?」って簡単に気づいてしまうようなシーンがクライマックスで1番の大場面のように使われているのが残念です、スッキリしません。正直言ってストーリーの持っていき方が雑です。
キャラの反応に関しても違和感を感じるほどにオーバーな表現が使われており(細田守監督特有の、と言ってしまえばそれまでですが)、共感できる場面があってもこちら側とのあまりの温度差に冷めてしまうということが多かったです...。
まだまだ細かい不満があり、今までのもまとめて以下箇条書きにすると
・ストーリー展開が雑
・伏線が無理やりねじ込まれたものが多い
・無理やりねじ込まれたものですら回収されていないものがある
・普通に考えれば必要のないシーンが大場面とされている
・竜の正体を知った時の驚きが全くない
・キャラの反応がオーバーでこちらとこの温度差がすごい、冷める
・アニメーションでの状況説明が分かりにくい
・キャラの掘り下げ浅い
・そもそも竜がなんで追われているのか、納得いかない
・クライマックスでの置いていかれた感半端ない
Uという未来的なアプリを舞台にしているだけあって世界観はサマーウォーズに似ています、というか私たちが求めていたものを見せようと意図的に似せられているというのに近いような気がします。
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(以下ネタバレ含みます)
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結末についてなのですが、細田守監督特有のクライマックスのスケールを大規模にするというのがここでも使われていて、結局竜の正体を50億アカウントから探すことになるという圧倒的なスケールの展開をUの中で繰り広げた後、現実世界では高知県から東京まで電車と夜間バス乗り継いで主人公が単身で走って「竜」を探しに行くという展開のスケールの落差にはさすがに笑ってしまいました。
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総じてストーリーには不満に思うところが多いです、是非見てほしい!とはならないですが、音楽や映像を映画館の音響と大スクリーンで楽しむために見に行くのは十分価値があると思います。
ここまで長々したものを呼んでくれてありがとうございます
細田守監督のサマーウォーズが大好きで期待値が大きかったというのもありますが、私個人の意見として、音楽、声、映像は良かったがストーリーは残念といった評価です。
私が再鑑賞するとしたら単に映像を楽しむためと個人的に中村佳穂さんもMillenniumparadeも好きなのでアーティストさんの壮大なMV(ストーリーおまけ)的な感じで見に行きます!