映画クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園のレビュー・感想・評価
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初期作品群との決別が生んだ、パロディとしての高い品質
学園ミステリーをベースに、悪魔との契約やAIによる支配など、“あるある”な映画設定を散りばめた作品。何かしらのジャンルを土台としたパロディが同シリーズの基本だが、今回はその「パロディとしての品質」はある程度完成されていると思う。
特に、希望を抱えるが故に悪魔と契約してしまう、相反する風間君の感情はしっかりと骨太に表現されていた。
原恵一・本郷みつるの一連の作品群における「混沌とした遊び」を切り捨てたことは、評価すべき判断だと思う。これまで同シリーズはどうしても、初期作品群に引きずられ、その模倣を繰り返し、転んできたきらいがある。
ストーリーをぶった切る突然の歌唱シーンに象徴されるような遊びは、原恵一・本郷みつる両氏の力量で成し得るもの。全体の構成やテンポづくりを軸とした、高いレベルでの土台に成立するものなので、表層的にそれを切り取っても浮いて滑るのがオチ。これまでそのせいで作品全体が崩れることも少なくなかった。
それをしない、という判断はある種の「諦め」でもあると思うが、はっきり言って致し方ない。そこまでに原恵一・本郷みつるの一連の作品群は手が届かないレベルにあるし、現代のコンプライアンスも、その原因のひとつだろう。
古くは「混沌」に象徴された“クレヨンしんちゃんらしさ”が、「感動」に置き換わっていることに寂しさを感じるのは正直なところだが、“初期作品原理主義者”も、いい加減に諦めるべき段階にある。
学園ミステリーものかと思ったら、まさかの展開な一作。
長年「クレヨンしんちゃん」のアニメシリーズ、劇場版の製作に携わってきた高橋渉監督によるシリーズ29作目。予告編を観ていて、「おバカ」の表現とかどうなんだろう、とちょっと心配になっていたけど、演出の手際が見事で、それほど引っかかりを感じず鑑賞できました。
たださすがの高橋監督の手腕をもってしても、今回は少々要素を詰め込みすぎた感があり、本筋とあまり絡まない描写で物語の流れが途切れるところもごく一部ありました。それでも一見して軽めな演出に非常に重いテーマを含めて提示してみせるところはさすがで、エリート教育批判に留まらず、自分も美味しい思いができるかも、と気がついた群衆が、容易に集団的暴力や足の引っ張り合いに走ってしまう恐ろしさすらも描いていました。
外部の人間からは眩しいような超エリート校に映る天カス学園は、実は内部が超エリート階層と落ちこぼれ階層に二極化されている、という設定は、『パラサイト』(2019)や『スノーピアサー』(2013)などを連想させます。登場人物達の言動の端々に漂う階層間の羨望や敵意の生々しさは、幼稚園生が私立学園に入り込んでしまった、という設定がかすんでしまうほどです。
「階層を垂直構造で図式化し、その闘争をエンターテイメント作品として描く」という試み自体には、上記二作品を含め多くの先達があるため、それ程の新鮮味はないのですが、『パラサイト』の描写に対する一つの応答として本作を捉えてみても、やはり見事な語り口と言えると思います。
大人になっても憧れる野原しんのすけというヒーロー
本作はもともと2021年4月23日の公開予定だったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、7月30日に公開延期となった。これによりハイレグ魔王以来23年ぶりの夏休み期間の公開となった。
僕自身はこの偶然は逆にこの映画にとって非常に良いことだと思っている。これまでのクレしん映画にありそうでなかった学園モノが夏休みでさらにコロナの影響により、学校が持つ社会的意義が問われる中、そこに真っ向から取り組んだファミリー映画は本作が唯一無二では無いだろうか。
本作の脚本を手掛けたうえのきみこ氏はクレしん映画としては5作目の脚本執筆である。氏の作品で特に好きなのは「オラの引越し物語」で、異国の地で奮闘する野原一家を見事に描いているが、その作品の中で、特に目を引いたシーンはしんちゃんと風間くんの別れのシーンだ。夕日の中走る電車の窓から、追いかけてくる風間くんと涙ながらに別れを叫ぶシーンは込み上げてくるものがあった。
そんなうえの氏がしんちゃんと風間くんを始めとするかすかべ防衛隊の友達との友情を軸にした学園モノを手掛ける。期待せずにはいられない。
さて、実際に鑑賞した結果どうだったかというと、うえの氏をはじめ、この映画のスタッフはまさに期待以上のものを見させてくれた。
特にかすかべ防衛隊の面々の描写は芸が細かく、ついさっきまであんなに走るのを嫌がっていたしんちゃんが(それが元になって風間くんと揉めるが)、風間くんの叫び声が聞こえた時は誰よりも早く階段を駆け上がったり、なんの証拠もないのにマサオ君が犯人候補に挙げられていたり、ネタ的な要素がそのまま登場人物たちの信頼関係を表す描写になっているのがさすがクレヨンしんちゃんだと思う。
そして物語の終盤、執拗に叫ばれる青春というキーワード。思い返せば、学校生活で学ぶことなど、ほとんどは社会に出てからなんの役にも立たない。あれだけ英単語を覚えてもほとんど忘れているし、あれだけ部活に打ち込んでも、運動はほとんどしなくなった。仲の良かった友人とは疎遠になったし、住む場所が変わった人も多いはず。
だけどそれが無意味だったかというとそうは思わない。好きな人もいたし、嫌いな人もいた、つらい思いもしたし、楽しい思いもした。コロナや他の社会的な要因のせいでそういう経験を積む場所がどんどんなくなっている現状にはとても寂しく感じる。
僕も一人の大人として、これからも子供たちが無駄を大いに楽しむ、青春を謳歌するだけの余裕を提供してあげていきたいとおもいます。
友情・面白さ・ミステリー満載
風間くんとしんちゃんの友情に
感動しました!!
あとはみさえの早くしんのすけに
会いたい気持ちが、リアルで◎
犯人はまさかの赤いネイル!?!!
と決めつけてたけど、
まさかの蟹ね、、、すげぇ!
伏線回収してるやーーーん!
と最後は納得の結果になって、
すっきりました!
ただ、やはり子供連れで映画中
知らない子供達がうるさかった、、、
それがなきゃなあ〜
子供嫌いな人は9月の平日か、
家で見ることをおすすめします!
久々の泣けるクレしん
声優交代してから初めて見るクレしん映画でしたが、声の違和感はほぼなかったのは良かった。
間違った事や無駄な事はしてはいけないというルール、AIでのミスのない効率の良い授業、エリートの天組と落ちこぼれのカス組への差別、優秀な人間になるための教育理念と方針の学校に体験入学するカスカベ防衛隊だけど、まぁしんちゃんにはルールも方針も関係なし。
エリートポイントを貯めようと必死な風間くんと他のみんなと意識の差が大きいく、特にエリート志向の風間くんと破天荒で自由奔放しんちゃんとの対比と対立は顕著。
そのストレス爆発した風間くんが事件の被害者になってしまい吸血鬼の噂について調べることになるんですが、推理パートまでは正直退屈で、レビューはネタバレ防止のため見てなかったですが、☆4以上の高評価される程の話か??と疑問でした。
その時までは…!
風間くんの手紙から涙がじんわり。
子どもの頃って、仲の良い子とこれからも友達として一緒にいられると何の疑問も持たずに思ってたけど、でも成長して進路が変わって会わなくなったり連絡取らなくなったり。大人になるとそういうのが当たり前になって特に悲しいとか思わなくなってしまうから「仲良しのみんなとずっと一緒にいたい」っていう風間くんの素直な気持ちに涙腺崩壊せずにはいられなかった。
あと、ゲストキャラちしおちゃんのコンプレックスとトラウマの克服。
SNSとかで他人を馬鹿にしたり貶したりする人が多いから、しんちゃん達の言葉は本当に胸に刺さりました。しんちゃんって基本的に裏がないから余計にね!
野原一家も出番は少ないものの、笑い者にされようが子どもの頑張りをちゃんと見て、理解してるのも涙。
私的なクレしん映画の定番って泣ける笑えるなりふり構わない全力ダッシュだと思ってるので、今回もそれが見れて良かったです。
しんちゃんと風間くんって良い友達でありライバルだなぁと思いました。
てか個人的にボーちゃんがめちゃくちゃ可愛かったです!!!青春してましたね!そして、もののけ姫の台詞に笑った。
ネネちゃんは探偵パートでちゃんと役割があって良かったし、あと特に目立ったことしてないのに、しんちゃん同様カス組になるマサオくん。しかもすぐ影響されて不良になるの笑。
あと先生の「先生は人間だから間違えてしまうの」って言葉は、前半パートがあったからこそ響きますね。
子どもの頃は楽しい事もたくさんあるけど、失敗、挫折、後悔とか大人になった時に「あれは間違いだった」って思う事も全部含めて青春だし、無駄なことなんてないんだと思える話でした。
後半の追い上げがものすごかったけど、そこに至るまでが私的に退屈だったので☆3.5です。
クレしん映画は普段レンタルか配信サイトでの視聴ばかりですが、今回は評価が良さそうだったので映画館まで行ったら、子どもが多くてやっぱクレしんって子ども向け作品なんだな…と改めて思いました。
だけど、やっぱり大人が見るからこそ泣けるというか胸に刺さりますね。あと爆笑できる。
まぁ『オトナ帝国』『戦国大合戦』の2大巨塔(自他共にそうだと思ってる)には遠く及ばないものの、今回のクレしんは久々に泣いてしまいました。
クレヨンしんちゃんは大人の階段を登ると泣ける。
久々のクレしん映画。世評の良さと泣けるとの口コミから観に行ってきました。
結果、メッセージ性は非常によかったのですがもうあと少し踏み込んで欲しかったという印象。その一歩で、原恵一監督のオトナ帝国や戦国大合戦のような「泣ける」映画になっていたと残念でなりません。
場内は家族連れがほとんどで、しんちゃんのケツ出しでは笑いが起こり、吸ケツ鬼の登場シーンは怖いという声も聞こえ、非常にいい雰囲気でした。
誰かの映画評で、「クレヨンしんちゃんの映画は主人公であるしんちゃんが大人へと成長するところに泣けるポイントが詰まっている」ということを言っていて、なるほど、すごく納得したのを覚えています。
オトナ帝国では文字通りオトナへの階段を東京タワーの階段に見立て駆け上がっていく姿が印象的でしたし、戦国大合戦では、初めて死というものに直面することで大きな成長が描かれていました。
何十年も続く日常アニメで成長しない主人公が、映画で様々な経験を積み重ねていくものは、他の長寿アニメであるドラえもんやポケモンでも同じことが言えそうです。
そして、今作ではしんちゃんたちが学校に通う設定です。まさしく成長を前提とする場所で、カスカベ防衛隊の友情が描かれたら泣くに決まっているでしょう。
今作の泣けるポイントは、進学の別れと友情だと感じました。
しんちゃんの友達風間くんにフィーチャーして、物語は進んで行きますが、風間くんは優秀で真面目な男の子です。もちろん小学校受験を狙うような家庭。
そうすると、必然的に将来公立小学校にいく子どもとは別れなければなりません。
しんちゃんたちは、おそらく公立の小学校なのでしょう。それを風間くんも感じているからこそ、しんちゃんとは離れたくない。だから必死で、みんなとエリートを目指す。なぜ劇中でみんなとエリートポイントを稼ごうと必死になったのかも納得です。しかも、これは風間くんなら、エリートポイントを稼ごうと躍起になるのも当然のキャラなのでなぜこんなに必死なのか考えず、上手い伏線になっていると思いました。
この将来を見据えた風間くんの大人びた考えに涙するのです。
誰もが経験したことのある友達との別れを、風間くんを通して思い出させてくれる。そして、そんな必死な姿に涙が溢れてきます。オトナ帝国にも通じる、大人向けの
テイストです。
では、何が不満だったのか。
それは、その風間くんの考えを手紙という形で分かった上で、ラストのマラソンシーンでしんちゃんの返事が「今を生きるしかできない」的なニュアンスの解答一言だったからです。
えっ、そこはもう少し引っ張ってよ!
風間くんの必死の思いも、しんちゃんにとっては来ることのない(歳を取らない)未来の話としか受け取られていないように感じてしまいます。
そして、風間くんにありがちなノリツッコミの滑り気味なギャグで物語はぶつりと閉じてエンドロールが流れます。
これじゃ、物足りなさが勝っちゃいます。せめて、最後家に帰った時に学校の話しをみさえやひろしにするような未来を考えるシーンを入れてくれなきゃ納得できません。
これじゃ涙が出きりませんよ!
前評判が良かっただけに、このぶつ切りのエンドには納得できない。もう少し泣きたかった。
そんなこんなで、評価は3.5です。
他にも言いたいことはたくさんありますが、子ども向け映画にどこまで求めるのか難しいところもありますし、また、会場の終わった後の子どもの雰囲気はそこそこ良さそうだったので、泣けたかどうかだけで評価しました。
しんちゃんの作品は「愛」があるよなぁ
泣くとは思わなかった
しんちゃんの映画といえば、やはり子ども向けという印象が強かったので周囲が感動すると言っても程度はあるんだろうなと思って見に行きました。
後半、チシオちゃんに感情移入しすぎて号泣しました。風間くんとしんちゃんの関係性もよかった。サザエさん方式で歳を取らないというのが根底にあったので卒園とか学校が離れ離れになると言ったことは全く考えたことがなかったのですが、風間くんの気持ちを考えると自然と泣いてました。
ミステリーとしても犯人を当てることが出来なかったほど予想外の出来の良さでした。
犯人当てたかった〜!
クレしん初の本格ミステリという情報を仕入れ、初見で犯人当てたらァよ!と意気込んで見てきました。
残念ながら当てられませんでした。
くそ。容疑者の中で2番目に疑ってたキャラだった…!
話としてはミステリー要素の他に、昔懐かしいディストピア的要素もあって、大人ほどセリフの端々にぐっときたりハッとすることが多いんじゃないでしょうか。
よりよい存在(=エリート)であろうとする人々、そこから落ちこぼれる人々、かすかべ防衛隊の温度差。
個人的には、中盤で挟まる喧嘩が、絶対に言ってはいけないことを言い合ってしまっていて、本気でハラハラしました。
仲直りするのはわかってたけど、仲直りできてよかった。
熱い映画です。
最近のクレしんはクオリティ高い。
大人ほどオススメします。
しんちゃんの描く青春とは...
対立する部分が…
「クレヨンしんちゃん」にはあまり馴染みがなく、劇場版の名作どころ数本を観た程度。もちろんソレは面白かった。
今回も評判が良いようなので、朝イチ上映に参戦。
…が、結論としては消化不良。
ミステリー部分の種明かし辺りまでは結構楽しかったのだが、ラストのクライマックスにはノれなかった。
※ここから一部ネタバレします。
「頑張ってる人、努力している人を笑うな」
「みんなそれぞれ素晴らしい個性を持っている」
それはそのとおり。
ただ、最後の対決はそれを正義とするために「エリートとしての能力を手っ取り早く手に入れたい」という、誰にだってある思いを悪の様に対立させている気がしてしっくりこなかった。
前者は他者への評価であって、後者は自分に対する願望。
決して単純な善悪の敵対構造になる要素ではないし、トオルくんだってそちら側にそそのかされてしまった状況を知る我々観客としては、しんちゃんと戦っている構図そのものが痛々しく見えてしまった分、最後のカタルシスがあまり感じられなかった。
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昔は良かったなぁ。
観に行ってよかった!
2年前くらいからクレヨンしんちゃん映画にハマっていて、今回やっと映画館に足を運んでみました。前作のラクガキングダムが良かったのと、学園ミステリーと聞いて直感的に面白そうと思っていましたが、期待以上でした!
個人的な話、特に映画館で観る映画は、中盤あたりの流れが緩やかになったところでただ画面を眺めるだけで無気力な数分を感じることがあるのですが、この映画はどんどんストーリーが展開していって、飽きることも上記の事もほぼ無く観られました。
映画オリジナルキャラクターは全体的には割と王道で、目新しさはあまり感じませんでしたが、例外で生徒会長のチシオは物語の中心にいるからか、一言では言い表しにくいリアル寄りの人間味があっていい感じです。
今までのクレしん映画はスケールの大きい話も多かったので、今回もしんちゃんが春日部の運命を左右したりするのかと思ったら、友情や恋心によって形作られていく完全なる学園青春もので、良い意味で期待を裏切られました。なんとなくマサオくんの不良化は制作当初から決まってそう。
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