劇場公開日 2021年2月27日

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「「はちどり」とはまた違う秀作」夏時間 shoheiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「はちどり」とはまた違う秀作

2021年4月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

キム・ボラ監督の「はちどり」に続いて、新鋭の女性監督の・・・という言葉が、映画広告に付けられるわけだが、確かに主人公オクジュは10代の少女だし、「はちどり」のウニ同様、彼女も思春期で苛立ちを抱えている。ただ、どう考えても、オクジュの方が幸せだろう。父が事業に失敗し、オクジュは弟ドンジュ、父と共に広い庭のある祖父の家に引っ越す。その夏休みの思い出なのだけれど、父と言い、叔母と言い、二人ともどこか冴えないだけで、とても優しい人だし、弟も「はちどり」の兄と全く違い、ムード・メーカーでもある。だから、状況が全然違う。広い庭のある家がなかなかいい。「はちどり」の無機的な団地と対照的だ。「はちどり」はカメラワークや省略の巧みさ、そして韓国のある時代を反映する事件を取り込んだことで、世界的に高い評価を受けたけれど、この「夏時間」も別の意味で秀作である。まだ30歳過ぎのユン・ダンビ監督は、堂々とした演出を見せており、演技も巧く引き出していると思う。「はちどり」を観ていいなと思った人も、あまりいいと思わなかった人も観てみるといい。少なくとも「夏時間」の方が分かりやすく、とっつきやすい映画だと思う。

shohei1484