「恋愛に必要なビタミン剤... 嫉妬」アーカイヴ Puti Nakiさんの映画レビュー(感想・評価)
恋愛に必要なビタミン剤... 嫉妬
God looked upon his world and called it good, but Man was not
content. He looked for ways to make it better and built machines
to do the work. But in vain we build the world, unless the builder
also grows. (Outer Limits『I, Robot (1964年)』より)
本作品『アーカイヴ』は、死後の人の記憶であるアーカイブスがいかにフラジャイルな存在かが分かり、七つの大罪の一つであり、今や旧約聖書の中の物語『ヨブ記』を題材にしたゲームやアニメの登場人物である悪魔レヴィアタンが司る "嫉妬" を描いている。その事は、女子にとっては、胸に突き刺さり、行き場を見失う気持ちの逆噴射も強制的にさせるほどいったて、純粋な心を持っている方たちが登場をしている。
"Do Androids Dream of Electric Sheep?" (ブレードランナー原作名)
"嫉妬" ... 男の人の場合、醜く嫌らしい.. でも、女子は可愛くも映る。
親に捨てられたアトム
生き延びたいこころが芽生えたレプリカント
"SF映画の原点にして頂点" とされる 『メトロポリス(1927年)』のマリア
そして...
オスカー視覚効果賞受賞作『エクス・マキナ(2014年)』の"機械仕掛けの神"
アシモフのロボット三原則はこの世(映画)では、異端のように描かれ、アトムは自己犠牲で終わり、レプリカントは自己防衛のために人を襲う。マリアは火あぶりにされ、そして残るエイヴァは人を殺め、美しく変身して自由を手に入れる。
Doesn't mean I'm okay.
手がなく言葉のないボックスロボットJ1(Ø1:映画での表記)はプロトタイプの元始であり、知能は5~6才児と同じとされ、彼女は、ジョージを父親のように慕い、その進化系のヒューマノイドJ2(Ø2)は、乙女ごごろ真っ盛りの15~16才の女子で彼のことを思っている。そして最終形のJ3とジョージの接し方がJ2には、女子が物陰からそっと覗き込むようにJ3の存在が気に掛かって仕方がない?
"I thought we were a team,"
"Why don't you keep working on me?"
乙女ごころを全開にしてジョージに尋ねるJ2。すでに彼はJ3の事で頭がいっぱいなのをAIの優れた知能では分析ができてしまい、更に不幸な事に彼女J2に起こってしまう。彼女は足を奪われ慣れない別の足に変えれてしまう。そして彼女は絶望のあまり真っ白な水流が落ちる滝の前でエネルギーを使い果たすまで彼女J2は立ち尽くしている... 彼女の後姿が哀れで感傷的にもなってしまう。
本作品『アーカイヴ』が初監督となるギャビン・ロザリー... もともとは、バイオを見るとイラストレーター兼カツーニストで、1996年からゲーム業界で働いき、またグラフィックデザインやビジュアルエフェクトの仕事を通じて、視覚効果アーティストやコンセプチュアル・デザイナーとして広告、そして映画に携わるように... 前出のアレックス・ガーランド監督の『エクス・マキナ(2014年)』とは視覚効果を有効に使うところなど共時性が見られる。
この映画の舞台は山梨県とされているけれども実際のロケ地はハンガリーで撮影されている。監督の視覚効果の冴えたるものが施設内とは正反対にブラック&ホワイトのモノトーンで描かれた外界の世界観が、美術的にも優れていて、この映画の質感を押し上げている。しかし映画も中盤に差し掛かろうとした時、関西のラーメンチェーンのロゴやレストラン内のネオン電球やホログラム映像を使うあたり亜流の『ブレードランナー(1982)』に見えてしまい、その事で高い質を帳消しにし、観る気も失せてしまう。邪魔なプロットとしか見えていない。
『ダイバージェント(2014)』の時は生産国がアメリカなのでイギリス人俳優によく見られるようにテオ・ジェームズがアメリカのアクセントを使うのは分かるとしても、これって生産国イギリスなのに、その上、わざわざ映画では暴漢に対して身構えるのに野球のバットでなくクリケット用のバットを使っていたのに... 何故?
そもそもの話し、何故?舞台を日本にしたのか? 意味が分からない。別にハンガリーでもあまり話の内容には差しさわりが無いようにも思える。この監督、変なこだわりがある。
Daddy?
Mummy says we can't come and see you anymore.
I love you. Bye-bye
アーカイブスを死んでからも保存する発明はデジタルではなくアナログ形式で人間のデータを保存する必要があるため、短いスパンで減衰してしまう。故人は意識を保ち、愛する人とコミュニケーションを取ることができるが、数年後には意識が崩壊し、大きなボックスという愛する人の体を墓に安置するまでは、それらの記憶の呼び出しの質は徐々に低下することになる。
スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークという巨人の偉大な歴史的映画『2001年宇宙の旅』の超高性能AIのHALのようにAIマシンの精神的故障にもかかわらず、それは素晴らしいダイナミクスがあり、私たちが前に見たことがない夢物語とは同じAIを描いているのにこの映画が程遠いにしても...
彼らは基本的に、この所定の有効期限が消失するまでは、故人の意識から電話で話すことができる。ジョージは、彼女が永遠に消える前に、彼の妻の人工バージョンを作成しようと試みる。その事にかまけて彼が手塩に掛けて製作したプロトタイプのJ1とJ2を今やただのロボットとしか見ていないことで彼女たちが外見は鉄ではできているかもしれないけれども彼女たちの身体にはれっきとした清くて優しい心があるのに無関心で見捨てられた様な姿は、この映画の哀しみを誘うポイントとなっている。
映画『ダブルオーセブン』のロータス・エスプリS3や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンDMC12を登場させるこだわりを見せているギャビン・ロザリー監督... 『アーカイブ』は誰にとってもいい映画になるわけではない。COVID-19パンデミック禍で、山奥で孤立してまで研究に没頭する科学者の姿を描いた映画は、一般の人々に魅力的に聞こえないかもしれない。詰まらな過ぎるかもしれない。
しかしながら、映画『アーカイブ』はあなたが最後の瞬間にショックに値する意外性を感じ、また微妙なユーモアを持つ視覚的に素晴らしい映像美にあふれている映画と言えるかもしれない。
視聴制限として、ラスト8分間は決して寝てはいけません。 悪しからず。