東海林毅監督作品は初見。
物語の最後で清々しそうな顔をひかりはしていたけれど、個人的にはひかりの周りの男の無理解さや無神経さ、無粋さが目に付いて悲しくなった印象だった。
劇中で差別を受けている最中、ゴポゴポと水の中で溺れているような音が聞こえてくるけれど、当事者で無い人も、あの無粋だったり無遠慮、無理解の人間の中に放り出された際の空気を求めて出ていきたくなる苦しい状況はきっと共感出来ると思うし、当事者の辛さを別の形でも共感して欲しいと思う演出だった。
昔に比べたら今はLGBTQ+に関しての理解が得られるようになったと言われるけれど、この作品を観ている時に自分も思えば2014年辺り池袋のカフェにミーティング的な夕食をしに行った際に、隣のテーブルで同性のカップルが人の目を気にしてテーブルの下で手を繋いでいたのを中年の男性上司が見つけて若干侮蔑が入ったような言い方でコソコソ伝えてきたことを思いだした。
その頃『純情ロマンチカ』や『マリア様がみてる』などノーマルラブ以外にも面白い作品が多かったことで、ノーマルラブ、ガールズラブ、ボーイズラブ問わず面白い漫画作品やアニメ作品があると聞けば見ていた経験があり同性カップルに対して世間が差別的な目を向けてくる状況を知ってたので自分は愛し合ってるだけの人達を差別をしたくない思いから、そこで上司を𠮟りつける…なんてことは出来ないまでも上司の発言をカップルに聞こえないように話をすり替えたり「別に付き合っててもいいでしょ。」と、なるべく早めにその話題を終わらせて興味を無くさせようとしてたけど、今思うとあの対応が果たして最善の対応だったのか、上司に対してもっと良い対処方法があったんじゃないかとこの作品を観てたら考えてしまう。
イシヅカユウさんが演じるひかりと同じような境遇の人が日常的にこんな体験をしてるのかな…って想像するくらい、当事者の方が演じてるからこそ演技が上手いだけでは出せないような説得力が出てたし、作品の中で様々な種類の熱帯魚がひとつの水槽で何の気兼ねもなく生きているのを見ているはずの顧客が人間相手だとひとつの世界という水槽の中で生きてるのに(意識的にしろ無意識にしろ)差別という加虐をしてしまう対照的なシーンを見ると差別のない世界の難しさと、生まれた時からそんな世界が当たり前って認識を持っていない人間は段々とLGBTQ+への認識が広がっている過渡期の今、正解とは何かを常に考えていく必要があるとも感じる作品だった。