「飛行機雲、どこに続くんだろう…。」明日の食卓 caduceusさんの映画レビュー(感想・評価)
飛行機雲、どこに続くんだろう…。
「飛行機雲、どこに続くんだろう…」
このセリフに、この映画のすべてが表現されている。
3人の母親、同じ名前の子、一見幸福な家庭、すべては、ラストシーンに向かって、粛々とシナリオが進んでいく。
「僕なんか、生まれてこなければ良かったんだ!」
「飛行機雲、どこに続くんだろう…」
セリフのためのシナリオが展開され、そのセリフが、子供の口から発せられるたびに、映画の中に入り込めない心は、さらにスクリーンから遠ざかってしまう。
浅く描かれいく映像は、心に留まらず、登場人物は架空のものでしかなくなる。
飛行機雲は、どこにも続かない。時間とともに、跡かたもなく、消え去ってしまう。
子供は、飛行機雲が見えるだけで、うれしい。そして、消え去る飛行機雲をいつまでも眺め続ける。
そんな、まなざしで映画を見たい。
映画を見ているだけでうれしい。そして、いつまでも、映画を眺め続けていたい。
飛行機雲のように、まっすぐな映画をつくってほしい。
シナリオをつくって、監督が映像を撮って、役者が演技して、すべてが混ざり合うことのない時間が虚しく過ぎ去っていく…。
「明日の食卓」という題名は、何を意味しているんだろう…。そんなことを考えながら、電車に乗り、家路についたのは、私だけだったんだろうか…。
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