「依存性」サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ Kjさんの映画レビュー(感想・評価)
依存性
ジョーが口にするこの言葉は、最初は薬物依存のことを言っているように捉えたが、どうも違ったようだ。部屋を与えられ紙に向き合うことが示唆されたときの狂いよう。自らが埋められぬピースがあることに向き合うことの絶望感。身体障害の話であるが、そうとばかりとは言えぬ。覚えもある。
滑り台が展開点のようでもあるが、劇的でなく徐々に周囲との応答を重ねて馴染んでいくさまは、実に味わい深く、また現実にもあっているように思う。この着実な心の修復体験が帰着のベースにあるように思う。
パーティーの後のシーンのふたりの演技に見入ってしまう。心の機微が表情にふっと出れば、相手の心を震わせ互いに響き合う。美しく哀しい。
自分は何かに依存しているか?と問いかけてしまう。
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