「惜しい部分もありますが、暮れなずむ青春の記憶が愛おしい作品です。」くれなずめ 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
惜しい部分もありますが、暮れなずむ青春の記憶が愛おしい作品です。
劇場での予告編を観て、なんとなく気になってた作品を鑑賞しました。
で、感想はと言うと、惜しい!
思ったよりも良かったし、好きな感じの作品ですが、個人的に盛り込み過ぎやクドイ感じもあったりして良い部分も多々ある。なかなか惜しいんですが個人的には好きな感じではあります。
高校時代に帰宅部でつるんでいた6人の仲間たちが、友人の結婚披露宴で余興をするため5年ぶりに集まった。
高校時代の思い出の赤フンを身に付けた恥ずかしい余興を披露した後、彼らは披露宴と二次会の間の妙に長い時間を持て余しながら、高校時代の思い出を振り返る。
自分たちは今も友だちで、これからもずっとその関係は変わらないと信じる彼らだったが…
6人の仲間との群像劇で全員が主人公みたいな者だけど、話の主人公的な中心の吉尾役に成田凌さん。
小劇団の舞台演出家として活躍する欽一を高良健吾さん。欽一の劇団に所属する舞台俳優の明石を若葉竜也さん。後輩で唯一の家庭持ちでいじられ役のサラリーマン・曽川を浜野謙太さん。同じく後輩で会社員の田島大成を藤原季節さん。地元のネジ工場で働く水島勇作を目次立樹さんと今をときめく若手俳優が豪華に出演している。
個人的には浜野謙太さんが若手かと言われると微妙w
でも、「在日ファンク」のボーカリストで役者としても活躍するハマケンこと浜野謙太さんは好きな俳優さんなんですよね♪
とにかくなかなかな出演者の陣容で他にも様々な方が出演してますが、吉尾が恋い焦がれる女性、ミキエ役の前田敦子さんや吉尾のクラスメートでジャイアン的な存在の松岡役の城田優さんが良い感じ♪
前田敦子さんはちょっと可愛らしいけど癖があって、何処かツンデレな感じが似合うw
城田優さんもめっちゃジャイアニズムですが、根は良い奴っぽい。
こういう脇を固めるナイスなキャストが良い作品の質を高めるんですよね♪
もの申す!と言う程ではないんですが、松居監督自身の実体験を基にした舞台劇の脚本を映画化したとの事ですが、演劇要素は強いです。
演劇要素の入った作品は嫌いじゃなく、むしろ好きな方なんですが、ただそのバランス加減によります。
舞台の脚本は舞台だからこそ栄える部分がありますが、映画になるとその良さがクドイと言うか、雑に映る部分があって、そこをどう下処理するかが肝。
二次会で再度披露した赤フン姿の「それが答えだ!」の躍りがまさしくそれで、舞台だったら物凄くエネルギッシュでクライマックスに相応しい盛り上がりを見せたと思うんですが、映画だとどうしてもその良さが見出だせ難い。
この作品の「監督自身の実体験を基にした舞台劇の脚本を映画化」は「それ」を描きたかったと思うんですが、これをそのまんまやってしまうとやっぱり「ちょっと違う」になってしまうんですよね。
ラストの不死鳥のシーンは個人的にはやらかした感がありますw
松居大悟監督の作品って、嫌いじゃないんですが期待し過ぎると、結構な確率で「やらかす」事が多いんですがw、この作品もそこの下処理がちょっとやらかしたかなw
タイトルの「くれなずめ」なんて、「日が暮れそうで暮れない様子を表す『暮れなずむ』を変化させて命令形にした造語」との事で、「『前に進もうとも様々な障害が立ちはだかったままで思い通りに進めない』という意味合いとしている。」なんて松居監督の好きそうなテイストw
でも、嫌いじゃないんですよね。
夕暮れや夜明けの描写を演劇でやるのは、何処か切なくも儚くて愛おしい感じがビシビシと伝わってくる。
特に小劇団なんかの何処か雑なんだけど、愚直なまでに儚くて刹那な切なさが身に沁みる。
愛おしい時間を演者も観る側も共有している感じ。
松田優作さんが映画を一緒に作る仲間を「共犯者」と表現しましたが、松居監督も観る側にも「共犯者」になって欲しかったのではと解釈してます。
また、松居監督のウルフルズ愛を感じさせてくれます。ウルフルズの曲って何処か青臭くて愚直に真っ直ぐで、一言で言うと「愛すべきバカ」なんですがw、これって青春の1ページであり、昔の仲間が集まれば盛り上がる事受け合いなんですよね。大人になってウルフルズを聴くと何処かニヤッとしながらもこっ恥ずかしい感じなんですが、大勢で聴くと思わずノリノリになってしまう。ウルフルズの曲は幾つになっても男を「愛すべきバカ」に変えてしまう、魔力があるんですよね。恐ろしやw
高校を卒業しても青春はまだまだ続くし、出来れば続いてほしい。働き出して、社会人と言うカテゴリーに分けられたとしても中身はそんなに変わっていない。
だからこそ、仲間と他愛もない時を過ごした時間は掛け替えの無いからこそ愛おしい。
人生だってまだまだ続くし、先は長い。
でも、その終わりはいつ来るかは誰も分からない。
だからこそ、切ないし愛おしい。でもそんな事を考えていたら、何も出来ない。
無駄な事を全力でやって、振り返った時に面白かった!と言える時であって欲しい。
明石と欽一の劇団の上演後の打ち上げ後に吉尾が皆と別れるシーンの切なさや吉尾がミキエへの告白の掛け合い。寝る前の吉尾のウルフルズ愛の語り。ラストの土手での二次会の会場へブラブラと向かう夕暮れのシーン。等々と良い部分が結構あるし、「来る」部分とあるからこそ惜しい。
でも、結構好きかもな作品。
興味がありましたら、如何でしょうか♪
しろくろぱんださん
コメント有難うございます♪
こちらこそ、嬉しく思います♪
暮れなずむ背中がホント愛おしくて良いんですよね。
男は背中で語るではありませんが、あの作品の屈指のシーンかと思います♪
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪
松王さん初めましてこんばんは。共感ありがとうございます。
松王さんのレビューに頷きながら共感してました。本当に暮れなずむ五人の背中が愛おしく感じました。