「「また明日ね」って言える間柄」くれなずめ フリントさんの映画レビュー(感想・評価)
「また明日ね」って言える間柄
過去を塗り替える話
最近の邦画は良作が多い
本作もとっても素晴らしかった。
自分にはまだ死別した大切な友達はいないけれど、数年前に亡くなった大好きだった先輩を思い出しました。
「佐々木インマイマイン」もそうだったけれど今は無き学生時代と死別って誰しも経験し心にわだかまりを残すから鑑賞後の余韻がいつまでもつづく。
その余韻は傷をえぐるし、今の自分に足りないモノを思い出させてくれる。
いい映画でしたね~。
笑って泣いて、明日の事を考えさせてくれます。
鑑賞後にバイクで帰宅したのですが、ふと、今自分が事故とかで死んでしまったら残された家族とか友人とかがどう思うだろうかと考えてしまった。
死ぬってことがどれだけの破壊力でどれだけの持続力なのかと改めて思った。
役者人、最高でした。
アベンジャーズのような立派でカッコいい奴らじゃないけれど、本作の6人は私の中で紛れもなくアベンジャーズ並みに最高の6人でした。
「あの頃」のメンバーもよかったけれど、気心知れた仲間っていいですよね。
皆さん演技が素晴らしい。
あの内輪感、男友達のつうかあ感はなかなか見れないですよ。ホントの友達にしか見えない。
連絡なんかとらなくても、いくら社会に出てそれぞれが背負うものや立場が変わっても会ったらすぐ元どうりに笑い合える。
いい仲間、いい友達が表現できるなんて役者すごいよ!
ラストシーンの再開と別れの再現とかよく表現できましね、同じシーンをあんなに変えれるなんて役者の凄さを実感しました。
脚本や監督の能力も凄いと思う。
多分制作側も同じような経験が有って共感して、納得して映画作ってるんだろうなと感じました。
それぞれが、二次会までの時間でふと思い出す過去とか、現在の状況をどう整理しようかとか、物語の進行もよかったですね。
どうでもいいことで記憶がフラッシュバックする、記憶って不思議ですよね、ささいなことで湧き出てくるんだから。
あいつ今頃なにやってんだろ?って思うし、自分ってふとした時に誰かに思い出してもらってるのかな~、なんて想像しちゃいました。
あぁ駄目だ、この映画の事を考えてると色々思い出しちゃう。
毎日バカなことやって、ガキなのに大人ぶって、なんにも知らないのにわかった気でいて、後悔もあったけれど幸せだったな~
このレビューを書いてるときにちらちら記憶が蘇ってきてるのだけれど、なぜだか一番思い出したことを書いておわりにしたいと思います
あれは中二の時、三年生の先輩の卒業式の時でした。
式も終わり、校門で卒業生が別れを惜しんでいたのですが、ある先輩方がちょっと影の方に行っていました。
彼等はいわゆる陰キャの方々で、あんまりその場の空気になじめてない様子でした。
それを見て自分は「あんな風な卒業はしたくないなぁ」って思いました。
無意識に陽キャは幸せで陰キャは不幸と思っていたのでしょう。
今の自分ならその考えは間違ってると過去の自分に言える。
彼等には彼等なりの楽しかった時間があったしかけがえのない友達が仲間がいるんだ。
お前が心配する必要なんてないんだ。
人の心配なんかしてないで自分の心配でもしてやがれ!
あれ?なんかこのエピソードほかのレビューでも書いたような・・・
過去は変えられない、でも記憶は変えられる。
都合のいい事を覚えて、都合の悪い事は忘れちまえ、記憶を書き換えろ!
この映画は私自身の物語だ。
生きることは過去を作り続けること、そして過去を忘れる事なのかも知れませんね。
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劇中セリフより
「死んで様が生きて様がなんにも変わんないんだよ」
なにも変わらない、変えられない
引きずる事も忘れる事もできる
ならば捏造しようとも明日を生きよう
生きてる人間は納得して前に進む力があるのだから。