「偉大な仕事と母親であることの両立」約束の宇宙(そら) dskさんの映画レビュー(感想・評価)
偉大な仕事と母親であることの両立
宇宙飛行士という特殊な職業のシングルマザーのお話。
主人公は宇宙飛行士と母親という二つの立場を両立すべく苦悩する。この種のシチュエーションならば、「任務優先で幼い娘との関係がこじれてしまい、何年も経って娘が大人になってから和解する」なんてストーリーになっても不自然ではない。だが、本作の主人公は、あくまでも任務と母親の両立を目指す。
主人公は何度か「プロとして、それはどうなの」と言われかねない行動をとる。もちろん、娘のためだ。……いや、言い直そう。娘と自分の関係のためだ。娘のためではあるが、それ以上に自分のためでもある。
宇宙開発には莫大な予算が投じられる。そのほとんどは国家事業だ。作中で扱われるミッションも複数の国家が共同でおこなっている。
にもかかわらず、主人公は「娘と自分のため」という利己的な行動をためらわない。国際的な大事業に属する任務だからと言って、無条件で個人的事情に優先させたりはしない。そして、何より注目すべきことは、この映画では、主人公の問題行動を否定的には描いていないのだ。
最後のクレジットと共に、実在の女性宇宙飛行士たちの写真が映される。世間から注目される大きな仕事と母親であることを両立させた人々だ。この映画は、現在、そのような状況の渦中にある女性たちへの応援歌なのだろう。
コメントする