「清水崇のホラーテイストが機能、一貫したテーマが作品の重厚感を生む」ホムンクルス たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
清水崇のホラーテイストが機能、一貫したテーマが作品の重厚感を生む
賛否の分かれる作品だったが、個人的には"賛"だった。個人のトラウマを怪奇的に炙りつつ、その気色の悪さはかなり好み。強いて言うなら、アラがあったことぐらいか。
初めに思うのは、綾野剛がいかに技巧派かということ。キツいビジュアルをした成田凌の脇で、適度に理性を保ちながら危ない橋を渡る役どころがハマる。それに加え、前半の概要説明に努めたパートをガラッと転調させた岸井ゆきのも絶品。童顔から高校生役を未だにやることもある彼女だが、シリアスな演技が求められた本作では、そのポテンシャルを如何なく発揮。十二分に作用していた。
また、本作のテーマでもある「トラウマから来る心の闇」は、Jホラーでリードし続ける清水崇が見事に作り上げたと思う。実在の村シリーズでは意味不明なギミックばかり投下してくるが、今作は因果関係があるので、そのギミックを上手く引き出したのではないか。多少の粗削りもなくはないが、血の使い方や変形する人の歪みを炙る画はプラスに作用していた。
ドラマのように順々と行く過程と彫りきれない部分はやや不満ではあるが、一貫したテーマで痛みを見せる技法は見事。この類の映画のメガホンを取ることに少し期待したい。
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