「人を見よう。外の世界を見よう。生きる意味を見つけよう。」ホムンクルス bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
人を見よう。外の世界を見よう。生きる意味を見つけよう。
クリフカットのCarolの車内を見て、「俺のクルマを汚しやがって」と言う男。
「何言ってんの。むちゃくちゃキレイじゃない。」と、窓の外の月を眺めながら言うJK。
視野・見るものの違い、を伏線にしてエピソードを閉じ、最後の謎解き・研修医の自爆パートに突入する流れが好き。マンガ原作が良いんすかねぇ、脚本ですかねぇ。この構成、個人的には好きです。
最近、多作でクオリティー大丈夫か?と心配してた清水崇監督。「村」ばかりじゃなくて、こんなのも撮ってたんですねぇ。良いやないですか。コレは映画として好き。好き?あー、そんじゃ「村」の立場はどうなる?
いずれにしても、冷静に見ると村と同じく「マンガの世界」なんだと思うんですよねぇ。「マンガの世界」と言えば藤井道人監督だって同じだし、リアルを装い社会派を気取ってる分、あっちはもっと罪深い。なんて事を考えだすと、個人的には清水崇監督の方が好き。奇しくも、主演は綾野剛さんです。ヤクザの綾野剛は嘘くさくて鬱陶しかったけど、逆にホムンクルスの方がリアルに見えるんが不思議ですw
「見ることで世界は広がる」と言う、極めてシンプルな真理ですよ。マンガ原作もこれがキーメッセージなんかねぇ。いや、分かり易くて良いと思う。
「人の心の歪みが見える」と言う超常設定で2エピソード。話は今一つぱっとしない気がせんでも無いんですが、清水崇監督らしく、映像技術で押し切られてしまいます。特に女子高生パート。
岸井ゆきのは大大大好き。
綾野剛と成田凌は普通に好き。
清水崇は最近ボチボチ。
こんな私ですが、満足度は高かったです。
音楽はいう事なし。
Avex Picturesなんですね。「まともじゃないのは君も一緒」なんてすごく良かったし。ビューティフルドリーマーに任侠学園に...あ。共通点、分かった。脚本に金掛けてますね。と言うか、脚本家に投資して、良いもの書かせようとしてないですかね?
ちょっと今まで、Avex Picturesを色眼鏡で見てましたが、要チェックに変更します。
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軽くクルマヲタ
綾野剛が乗っていた、と言うか家代わりにしていた車は、マンガでは東洋工業(現Mazda)の「Carol360」で2枚ドア。映画では4枚ドアの「Carol600」でした。流石に、自走可能な、と言うか、大人二人を乗せてちゃんとしたスピードで走れるCarl360は、そうそう見つからなかったと思われ。音は、別のクルマのものを被せたか、エンジン&排気系を載せ替えてると思います。
4/8 修正
フロントのラジエーターグリル開口形状から、後期型のCarol360の4ドアに修正。600は間違いでした。
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4/6 追記
あまり知られていない、政府による映画助成金の問題&脚本への投資についてです。
日本の場合「クールジャパン」政策から、おおよそ40億。文化庁から20億。年間60億が映画への助成金に回っていると考えられます。2012年、安倍内閣が「クールジャパン戦略担当大臣」を内閣府に置いてから、40億円分がプラスになったと考えてもらって良いかと思います。ちなみに、民主政権時代は文科省の「日本芸術文化振興会関係」が第一回事業仕分けの対象となり、第一WGでの「恫喝」で「予算要求の縮減(圧倒的な縮減)」が決定されました。徹底的に削られたんですね。第二次安倍内閣の元、無事に復活したと言う形です。
政府助成の2TOPはフランスと韓国。2018年統計では、フランス800億円、韓国400億円と推定されています。まさに桁が違う。この両国をはじめとした、諸外国の政策の根本には「文化を産業化する」と言う、ビジネス的側面があります。また、映画のチケット代金に一定の税率を掛けて原資にしています。日本でも、映画入場料の消費税分は、映画振興にあてて欲しいですけどね。これ、どの政党でも良いのでやってくれないでしょうか?
映画を作るには金が掛かります。その金を出す・集めてくるのは「製作委員会」が邦画のパターンで、ここに参加するのは、配給会社・TV局・出版社・広告代理店・自治体・クリエーター・プロデューサー、等々になります。でですよ。金をどこに使うか、って言う話です。
①「脚本・構想段階」 ②「原作の版権購入/出演者契約など」 ③「制作段階」 ④「流通・広告段階」
ハリウッドの場合、総製作費の7%を①に投入すると言う統計があるそうです。欧州は2%以下。日本の場合も、おそらく、ここが低い。プロデューサー、制作企画者、映画製作会社が、先行投資的に、って事になるのでしょう。助成すべきなのは、ここだと思うんですよねぇ。今は、いかにも売れそうな映画に「見える」企画じゃないと、金が出ない。出なけりゃ食えない。となりゃ、やはり商業主義に「走り勝ち」になるし、いかに文化的・芸術的・社会的な発想があっても、中途半端なものになってしまうんじゃないかと思うわけで。
制作協力者が、やたら多い映画。制作委員会には名を連ねないが、何らかの形で「人・モノ・金を提供してくれた方々」が、たくさんおられる、って事になります。賛同を得やすい映画って事でもあるし、たくさんの人が作って欲しいと思った作品、って事ですね。要するに、ネタ段階で大衆受けする作品。制作側からすれば、忖度しなければならない「方面」が増える。結果、八方美人的で毒の抜けた映画になってしまうんじゃないでしょうか。
いずれにしても、映画からの直接税収を助成予算に回すと言う法案を、誰でも良いので国会に提出なんかしちゃって欲しい。と言うか、文科省が、やっぱりおかしいよね。文科省がケチだから、内閣府がクールジャパンにかこつけて助成してるなんてw