「アレンジ・追加要素でもうグチャグチャ」ホムンクルス erimakiさんの映画レビュー(感想・評価)
アレンジ・追加要素でもうグチャグチャ
結論から言うと、近年まれにみるほどの酷い映画だった。
とにかく映画用にアレンジした内容にまとまりがない。
原作知らないと「?」の連続になること必至。
後半なんて間延びして「もういいわ終わってくれ」って心で何度か念じた程だ。
ちなみに私は原作はもちろんのこと、山本英夫の漫画は全て読了済み。
なのでこの惨劇は予想できた。何故なら映画「殺し屋1」も相当酷かったのだから。
(※「殺し屋1」も山本英夫原作、三池崇史監督で映画化。原作は大好き)
キャスティングに関して言うと、綾野剛の無駄使いだなあ…と感じた。
【内容に関して】
原作のほぼ全編に渡るエピソードを2時間程に無理矢理まとめた内容になっている。
以下で唯一わかりやすいと感じるのはヤクザ組長編のみだった。
・ヤクザ組長編
・女子高生編
・伊藤学編
・ななこ編
【女子高生編へのつっこみ】
女子高生は結局何のトラウマなのかよくわからない。原作だと親の異様さが丁寧に描かれているのでまだわかりやすい。しかし映画だと、何となく病んでいてリストカットしちゃっているんだなあ…とふわっとした印象にしかならないのだ。
それに車内で行為に及んだ下り。どうして表向きは拒否しつつも心ではひとつになろうとしているのか?映画だけだとわけがわからないと思う。
しかも何で彼女の母親がいきなりフラっとあらわれるのだろうか…?
【ななこ編へのつっこみ】
ななこ編も酷かった。酷すぎた。
ななこ(ちひろ)は元カノだと思っていたら別の人物だった。そして実は元カノ(なな子)を死なせてしまった人物でもある。しかもちひろは伊藤からトレパネーションを施されていたという衝撃の事実。
いや、もうわけわからん。どうしてこうなった感が凄い。
一応言っておくと、原作の設定を所々で踏襲していのは確か。
・なな子は元カノ
・別の女性を元カノだと勘違いする
・別の女性(原作だと「ななみ」という名前)もトレパネーションされる(原作だと名越に施される)
しかし、その各設定を一旦バラバラにして大雑把に組み直したという印象であった。
ちゃんとストーリーを練りなおしたのだろうか?とさえ思った。真面目にやってんのか…?
【伊藤編】
伊藤のトラウマもふわっとした描き方になっている。
父親の方が金魚を可愛がっていたというアレンジには驚いた。(原作だと逆で伊藤学がかわいがっていた)
しかも伊藤自身がトレパネーションを施すに至った心情は全く描かれておらず、やはり雑すぎる追加要素だと言わざるを得ない。(原作だとトレパネーションで気が狂うのは名越の方)
【CGのクオリティについて】
CGのクオリティもいまいちだと感じた。海外の名だたるCGプロダクションが生み出した超一流のCGに慣れてしまっているからだろうか。
・砂の女子高生
・伊藤の水人間
・街行くホムンクルス達
全てに違和感。すなわち、現実の世界に溶け込んでそこに存在しているような完成度は感じなかった。
ちなみに原作の解説については拙ブログにまとめているので、もし興味があればご覧頂きたい。
原作を知らない私はそこそこ楽しめたのですが、原作愛の強い方にとって、自分が作ったわけでもないのに、〝残念すぎる映画化作品〟に対して、忸怩たる思いを抱いてしまうような感覚。
それとはちょっと違うんだけど、と叱られるかもしれませんが、共感します。
原作読んでなかったので、へんてこなレビュー書いてしまいました。金魚飼ってたのは父親でなくて、息子の方だったんですねー!医者でもある人が、金魚鉢で金魚飼うかー!と、心の中で思ってました。
参考になるレビュー、ありがとうございます!