孤狼の血 LEVEL2のレビュー・感想・評価
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残忍なシーン多め 家族向けではないです。
役所広司の前作から3年後の広島の架空都市呉原市を舞台にした仁義なきヤクザ映画。
東映と言えば”仁義なき戦い”という名作シリーズがありましたが踏襲されているようで全体的には鈴木亮平演じる上林組組長・上林成浩のヒリヒリする怖さと前作の新人刑事として登場した松坂桃李演じる日岡秀一との狂人と狼の非情な戦いを描いてます。
R15+担って当然の残酷なシーンがかなり続くのでヤクザの世界には近づくな、というメッセージには十分な作品になっています。
繁華街で無用に強がっている若者に見て欲しいです。
ストーリー的に警察権力の描き方にかなり無理がある感じはしましたが、最後まで狂気な男を演じきった鈴木亮平と孤狼の松坂桃李の熱演は見る価値ありです。
カップルや家族で見るにはお勧めしにくい作品です。男同士で見て下さい。
嗜好によるけど...
役所広司がみたいのよね…
みなさんおっしゃる通り役所広司は次元が違った。別に好きな俳優だとか演技が上手いなと思わないけど、上手い下手の問題じゃなくてちょっと世界が違う人だった。
松坂桃李は売れてる役者なんだろうなとは理解できるけど、ミスキャスト感が否めない。彼にあの役をやらせるなら何か他の戦わせ方をさせた方が面白いと思うけどな。「日本で一番悪いやつら」の綾野剛とかもそうなんだけど、強そうにも怖そうにも見えないのよ。わざわざ続編つくるなら役所広司で別の作品がみたい。
鈴木亮平はよかったんだけど、悪党の過去なんてそんなに深彫しなくていいのよ。小説読んでるわけじゃないんだから、スクリーンに映る存在感で語ってくれ。
あとこの作品に不満を感じた別の要因なんだけど、上映前の予告の邦画が全部クソつまんなそうで!予告編と本編どちらに問題があるのかしらんけど、邦画もっとがんばれ〜!
この夏、一番“胸が熱くなる”映画かも
3年前に殺害された大上の後を継ぎ広島の裏社会を治める松坂桃李演じる日岡が主人公、もうこの時点で個人的には激アツなのだがストーリーはもっと激アツ。
鈴木亮平演じる上林がもう清々しいほどのクズ。あそこまでやりたい放題だと観てる方も爽快に感じてしまうほどに狂気を感じる見事なハマりっぷりだった。観ている我々が日岡では相手にならないのではないかと絶望してしまうくらい。
そして一作目からだが、これ本当にフィクションか?と疑ってしまうほど臨場感と緊張感溢れる残虐な演出は相変わらず健在で、139分間息つく間もないほど目まぐるしくストーリーが展開されていくのが素晴らしい。
もしかしたら本当にこの夏一番胸が熱くなる、そんな映画かもしれない。
韓国映画に負けていないエグさ
上林(鈴木亮平)が怖すぎます((( ;゚Д゚)))
広島の架空の都市を舞台とした警察とやくざの攻防戦を描いた作品。
今作の舞台は、前作から3年後の世界。
前作は、破天荒な刑事大上(役所広司)があまりにインパクトが強すぎた為、ガミさん亡き後、前作を越えられるのか!といった点がありましたが、今作も素晴らしかった‼️
前作では、正義感溢れる新人刑事だった日岡(松坂桃季)が、目的の為なら手段を選ばない不良刑事となり、ガミさんの後継者として裏社会を押さえ込む存在に成長。
ところが、刑務所から出所してきた上林(鈴木亮平)の登場により、秩序が崩れ始める。
とにかく上林の残虐性が凄まじく、出所早々、刑務所で世話になった看守への復讐。
看守の妹の家を襲撃。女だろうが容赦なし。目玉をくりぬいて惨殺という序盤から強烈な展開。
その後も倫理観0の、胸くそ悪くなるような鬼畜の所業。
ホラー映画では、どんなスプラッターなシーンも作品として見てしまう為、怖いという感覚が麻痺している自分ですが、この手の暴力はリアルに感じてしまい本当に怖かった❗
でも、作品としては前作に負けるとも劣らず面白く、最後まで目が離せませんでした。
気分が重くなるし、後味の良い作品では無いものの、だからこそ素晴らしい作品だと感じましたね😄
アナログからデジタルに
前作と比べると、かなり変わった点がありました。
例えばストーリーが単純になり、前作より深くないので見やすいです。これを良いと思うか悪いと思うかで好みが変わりますね。
前作よりアクション要素があります。ビルから飛び降りたり、カーチェイスがあったり。とは言っても少しだけですが。
アクション映画が好きな僕からしては、良かったです。
そして相変わらずグロいです。今作は目玉を潰しまくっているので、苦手な方は要注意。
1番個人的に気になったのは、前作はイケオジが目立って暴れていたのですが、今作は若いもんが目立って暴れまくってます。
何が言いたいかと言うと、前作が好きな方は今作は満足出来ないのでは無いかって言う事です。
前作の様な絵になるイケオジが今作は少なく、前作のかっこよさを求めている方は、もしかしたら今作のかっこよさは少し違うかっこよさなのでは無いかと思いました。
僕はそもそもヤクザ映画は大好きなんで、何も気にせず見れたのですが、孤狼の血が好きな方はもしかしたら気にしてしまうかもしれません。
個人的に1番良かったのは、昭和から平成になった物語なのだからか分かりませんが、本編中、かなりロックなBGMが流れたりします。結構僕はそのロックなBGMが流れるシーンは気分が高揚してましたね。凄くこの演出?は良かったです。
前作見てなくてもある程度は理解出来るので、前作見てないけど、見てみたいって方は全然大丈夫だし、むしろ続編だけ見るって言うのもアリなんじゃないかなと思いました。
もし3作目があるとしたら、またイケオジ達が暴れるのを見たいですね。
鈴木亮平の怪演
役所広司のすごさを見せつけた前作「孤狼の血」。
そこから原作にないオリジナル脚本で続編を仕上げるというのだからすごい。否が応でも期待が高まるというもの。
今回も仁義なき戦いな昭和(厳密には違うが)どヤクザ映画。
今回もキャストがやたらと濃い。
しかも前回からのオリジナルキャストを惜しげも無く潰していく贅沢さ。
そしてその狂気をさらに加速させる、鈴木亮平の怪演。
今作は彼の魅力がたっぷりです。
その笑顔や役作りが大好きな鈴木亮平ですが、新境地のように新たな側面を実に伸び伸びと表現しています。
彼の屈託のない笑顔が大好きなのですが、今作はひたすらそれが怖かった。
それと息遣いというか、喉をゴロゴロと鳴らすような啖呵の切り方が素晴らしかったです。良く勉強しているなと感心しました。
役所にブレが全くなく、スコセッシ作品のジョーペシを思わせました。
それとラスト近くの演出、バイク貸せのくだりからどこか「ブラックレイン」を感じたのは私だけでしょうか?
何故か単独でのバイク、雨の中の襲撃、そういえばあの髪型も松田優作と一緒でした。たまたまですかね?
そして桃李くんも前作で入ったスイッチを思わせるように、心地良い汚れっぷり。良い顔をするようになりました。
今作は暴力のみに特化した作りで、ヤクザと警察それぞれの暴をうまく絡ませ。それをテンポよく描いた作品でした。
そしてタイトルにあるように今回は「LEVEL2」。
これは必ず次作を作ってくるでしょう。
オリジナルキャストの登場は難しいと思うのですが、それでも次は何をしでかすのか楽しみでしょうがありません。
振り切った作りのすごい作品でした。
日岡の正義
久しぶりに期待を上回る見応えのある作品だった。
絶対に死なない松坂桃李、ジョンマクレーンやランボー、前日に観た「ドントブリーズ2」の老人よりも強いじゃないかと思ってしまう主人公を演じるのが、屈強に見えない松坂桃李なのがいい。彼の強さは信じる正義に支えられている。
上林の少年時代も描かれているが絶対に同情できない圧倒的悪に演じている鈴木亮平。
最後一騎討ちになるとは。最後までぐいぐいみせてくれる演出と映像も素晴らしい。突っ込む暇がない。
斎藤工はかっこいいね。普段ヤクザを演じない人のヤクザはいいですね。
レビューになってないけど、前作ともにまた観たい作品。
千葉真一さんの訃報の日に観ました。感謝。
極道エンターテイメント
前回がめちゃくちゃ面白かったので、level2の公開が決まった時からめちゃくちゃ楽しみにしていました。
色々な人にオススメしたい映画のひとつですが、
オススメ出来る方が限定されており、アブラギッシュのギンギラでややグロいのOKであれば。
基本的には起承転結がしっかりしており、しっかりと2時間楽しめます。
(前作もそうでした)
ただ、グロい表現がちょっとでも苦手な方には厳しいかなぁ。。
とはいえ、ものすごくグロい訳でもないので楽しめる方も多いと思います。
役者さんも今回から参加の鈴木亮平さんが圧巻の迫力がありましたね!
でも松坂桃李さんも負けておりません!
どちらもギンギラの演技をされておりました。
前回とは違い、この2人がメインすぎてあまり他が目立たなかったような。
2人ばかりに焦点を当て過ぎた感があるので、前作超えはないかなぁ。。
滝藤賢一さんと中村梅雀さんは流石の演技でした。
しっかりと楽しいエンタメ作品でした。
今後も続くならぜひ観たいシリーズです!
全身に漲る緊張感とアドレナリン!
「何もかも、ぶっ壊れりゃえぇんじゃ!」
言葉通り、ぶっ壊れてるくらい狂気さと派手さが出ていて終盤はアドレナリン全開でした!
前作から映画ファンに衝撃を与えた柚月裕子原作の小説孤狼の血の続編。
前作の主人公大上を引き継いだ日岡が主人公となり、尾谷組と五十子会の抗争を丸く納めていた所、鈴木亮平演じる上林が出所したことによって巻き起こるストーリー。
前作が警察やヤクザの心理戦とヤクザ組織の恐ろしさを描いていたのに対し、今作はヤクザ組織というより一人の凶悪なヤクザによる緊張感とそれに立ち向かう日岡の攻防をド派手なシーンと役者陣の名演技で描ききった作品だと思います。
何と言っても、上林を演じた鈴木亮平。
観た皆さんほとんどが言っていますが、とにかくヤバいです!!
上林はとにかく行動が外道中の外道であり、終始緊張感が漂う狂気さと最後まで自分の信念を貫く純粋さを持った興味深いキャラクター性であり、その上林を演じた彼は間違いなく映画史に残る怪演でした!
鈴木亮平の名演技に隠れがちですが、松坂桃李も充分に良かったです。
大上を彷彿とさせるアウトローな格好や言動、捜査方法等で変貌してるかに思えて所々前作の日岡らしさを果敢みる場面もあります。
そのアウトローで狂暴な部分と時折青臭さの残る演技が違和感なく演じていたと思います。
ちなみに元乃木坂46の西野七瀬がスナックのママ役を演じていましたが、正直言うと観る前で一番心配な要素でした。
彼女の演技を観たことがなく、アイドルとしての姿しか観たことがなかったので大人な演技が出来るか不安でした。
ですが、想像してたよりもだいぶ良かったです。
ヤクザ達にもの応じない姿勢と芯の強さ、広島弁の台詞回しがわりと自然でした。
泣きの演技の時だけわざとらしさはありましたが、それさえ良くなれば今後女優としてかなり活躍出来る気がします。
そして、ラストのバトルシーンは本当に圧巻の一言です!!
狂暴でアウトローな鈴木亮平と松坂桃李とのバトルは近年の日本映画においてはなかなか観られないほど迫力満天でアドレナリンが全身からみなぎるほどテンションが上がりました!
あと前作もそうですが、個人的に銃声音が凄く好きです。
ドラマや他のアクション映画でありがちな安っぽい軽いショット音ではなくて銃弾を撃つ重みや怖さを感じる音なので、凄く良い意味で緊張感が増します。
ただ前作と比べてド派手な分、やはり組織の関係性が濃くなかったり、登場人物が辿る展開の雑さが出てしまっていたと思いますし、突っ込みどころも何個か目立ちました。
あとR15指定なのだからもう少し襲撃シーンに血みどろ加減を加えて良かったと思います。
特に、銃撃シーンは撃たれた人の方を映さなかったりしたのでそこを映すとショッキングに見せれたと思います。
今回は、前作で少し物足りなく感じたド派手なシーンが今回は一部に存分に演出していて爽快だったのに対し、前作のヤクザ同士の攻防や警察の駆け引きが少し薄れてしまい、突っ込みどころも増えたようにも感じます。
ただ、感想をまとめると全体的な満足度は前作と同じくらいでした。
ちなみに、アナウンサーの有働さんがラジオニュースの報道していたり、原作の柚月裕子氏がスナックのママで 役でカメオ出演してたのがビックリしました(笑)
しかも二人ともめっちゃ似合ってるし(笑)
任侠からノワールに
2021年劇場鑑賞17本目 優秀作 73点
松坂桃李はここまできたのかと心が動いた作品。
彼は役柄除いても本当の意味で役じゃない様に見える本物の役者の位まで上り詰めたなと感じた。
前評判通り鈴木亮平はホントの怖さがあった終始びくびくして観てた。
凶暴とはこのことで犯行が狂気じみてて、でも見えない目撃者の浅香航大や凶悪のピエール瀧やリリーフランキーの様なそこに心がない感じではない。心はあるけど言うことなすことが凶暴で例えるなら狂犬?の様な感じ。
特に素晴らしい演技だったのは虹郎くんで、楽園やチワワちゃんでは重要な役だけどどこか脇役なポジションで、今回は見事に大役を果たしたなと思った。
前作品から思ってたけど、顔の演技が上手で特に目の演技が上手い、今回の役柄が中立のポジションでその心の様がビシビシ伝わった。
もう一人西野七瀬ですが、私は7年以上乃木坂オタクをしてきて、贔屓目で観そうだけど忖度なしに言うと、女優として作品を重ねるにつれてよくはなっていると思うけど、周りにここまでのメンツが揃っているのと、作品のスケールから彼女じゃなくて良かった、彼女じゃ弱いと思ってしまった。二階堂ふみのが適任だったと思う。
2021年邦画のベスト10には入るレベルに素晴らしい作品でした。
是非。
※個人的に2021年邦画ランキング
1ヤクザと家族
2すばらしき世界
3まともじゃないのは君も一緒
4茜色に焼かれる
5ザ・ファブル殺さない殺し屋
6孤狼の血level2
粗暴な凶悪と、正義の表ヅラの悪、ショボい警察幹部の組織悪、悪の3大ハーモニー。でもヒーローはやっぱり松坂桃李だった。【正直、ネタバレ】
イヤイヤ、もう鈴木亮平演ずる上林が、憎たらしい悪の権化と化して、映画と観客を引っ張る。引っ張る。後半まで引っ張る。出所後刑務官へのお礼参りで、親族の妹だかを普通の人間はあれほど残酷にはやれない。刑務官本人相手ならともかく。観ている客の良心を一気に痛めつけてくれる。相手は、女だよ。フツーの。
その後も暴力と◯
人の連続、理不尽な負のオーラで観客の憎悪のベクトルを一気に惹きつける。「悪役は憎まれてナンボ・・」だから、鈴木亮平、なかなかの好演である。この悪の権化のおかげで時間が経つのも早い。
知り合いの女性の弟の韓国籍青年をスパイとして敵陣に送り込む刑事松坂桃李のワルぶりも霞んでしまう。凄まじい鈴木亮平の凶悪、悪辣ぶりだ。コレの第1作観てないのだけれども、無理矢理暴力団抗争を終結させた松坂桃李演ずる日岡の剛腕列伝も、鈴木亮平の悪辣ぶりには及ばない。
観てた観客気付いた人はみんな思ったよ。上林のセリフ「次入る時には網走か・・」って。おいおいお前、・・・ガキの頃両親ヤっていて、民間人惨◯して内輪の暴力団員もやった時点で、「お前の行き場所、もはや刑務所にはないぞ。お前の行くのは拘置所だけ、それも早期執行のデス・バイ・ハンギング」って忠告してやりたかった。ただコイツはコイツなりに、世話になった姉御も問答無用で行動にブレは無い。
でも観客だんだんと気付く、当初の民間人惨◯の捜査が全然進んでいないこと。中村梅雀演ずる県警の瀬島だかが、修羅場もくぐっていないのにやけに冷静だと言うことに。
そして意外なシンパシーを生むのが「チンタ」こと韓国人青年の泥臭い死に様。
雨中で日岡にトドメを刺さない上林。90年代の「セブン」ブラット・ピット思い出したよ。ケビン・スペイシーね。
最後には広島県警のヘタレ極悪管理官の醜悪ぶりが、観客を我に帰らせる。「一番巨悪なのは机上で偉そうに悪を指揮するコイツ」だと・・・
最後は県警の監禁を抜け出したパトカー爆走させる松坂桃李の独断場。一気にヒーローが躍り出てきた感じ、鈴木亮平とのカーチェイスも、血まみれの死闘も、全ては松坂桃李のヒロイズムを光らせる。鈴木亮平の上林がヤられるはお約束の既定路線だが、うまいこと落とし所に落としている。ただ鈴木亮平の死に様、体裁良すぎ。あんまりカッコ悪いと大物俳優がオファーを受けてくれないからだろう。ただ観客は松坂桃李に自己投影して心酔してしまう。だらしのない県警の管理官も事実上やっつけてくれたしねぇ。全ては松坂桃李のための2時間30分。あっという間、うまくできた映画である。「いのちの停車場」ではヘタレだった松坂桃李、千両役者かプロダクションの力か、とにかく圧倒的な主役感がたまらない。
ただ注釈入れると現実の反社はコレほどでは無い。だから時代設定を引き上げたのだろう。
私にとっては、訴求力の見い出せない暴力でした
今までも、おぞましいほど暴力が激しく描かれる映画はたくさん見てきました。『イングロリアス・バスターズ』のバットで頭を…のシーンは今でもたまに夢に出てきて、夜中に起きてしまうほどトラウマになってます。
それでも、そのおぞましさを生んでしまうなにかであるとか、それとの対比の慈しみとか、まあ敢えて小賢しく理由付けをしなくても、映画全体としては確かに描かれるべき暴力だったのだ、と思うことができました。
ところが、なぜかこの映画の暴力については、どうしても受容も受忍もできないでいます。
前作はそんなつまらない疑問が浮かぶこともなく楽しめたのに…。
色々と考えてみたら、ここ数年の個人的な心のありように原因があるようです。
自分の子どもと同世代の若者が決して低くない確率や頻度でいわゆるハラスメントや同調圧力で精神を病んでいるのを直接間接を問わず見聞きしています。ニュースでは、しょっ中、児童虐待についての報道があります。そのうえ、コロナ禍での様々な鬱屈。
言葉の暴力だけでもしんどいのに、本当の肉体的な暴力まで見たくない。
『凶悪』とか『怒り』でも、できれば見たくないほどの暴力が描かれていました。それでもそれを超えて訴えてくる〝力〟があったと記憶しています。
本作品においては、それに相当する〝力〟を見い出せませんでした。
100%自己責任ですが、今観るべきではなかったと反省、というよりは自己嫌悪してます。
平成でも令和でも
令和にヤクザ映画を堪能できるとは。
前作は平成30年の公開で、平成にヤクザもの? という少し違和感ありながら劇場へ行ったが、観たらどっぷり。今作、中身も前作に続く物語なので、入りやすい。暴力を前面に出しているのは変わらないが、ヤクザ映画の範疇を越えた狂気ぶりが加わり、少し趣向が変わった。
前作では、大上(役所広司)という破天荒な刑事を軸に展開。警察組織にも汲みせず、ヤクザを相手に孤高の闘いを続けた。彼とコンビを組んだ新人の日岡(松坂桃李)が、その後を継いで本作に至る。大上の暗躍でヤクザの抗争は納まったが、刑期を終えて出所した上林(鈴木亮平)がヤクザ組織を力づくで奪いとり、抗争を再開する。
さすがに役所広司(大上)の存在感には敵わないが、松坂桃李(日岡)もなかなかの猛者ぶり。そこに鈴木亮平(上林)の狂気が加わり、なかなかの緊張感をもたらす。鈴木亮平の狂いっぷりがかなりの迫力。他のドラマなどでの優しい笑顔など吹き飛んでしまう豹変ぶりが見もの。そこに、巻き込まれる村上虹郎がアクセントになり、西野七瀬が清涼剤のように効いていた。
それなりに暴力描写やグロい映像もあるので、苦手な方は遠慮した方が良いかもです。コンゲーム的どんでん返しもあり、情緒的なシーンもあり、強烈なひとりのキャラで引っ張る前作とは違う楽しみができる作品でした。
暴力成分摂取映画
ターミネーターみたいになってしまった
前作は柚月裕子の小説に沿った作りであったが、今作は前作から3年後を舞台にした続編で、オリジナルストーリーである。前作では、広島県の架空の都市・呉原市で抗争を続けていた暴力団「尾谷組」と県内最大の暴力団「広島仁正会」の間を取り持ち、賄賂を貰い、警察官としてあるまじき生活を続けながら、結果的に抗争を避けさせ続けた大上刑事(役所広司)の生き様を主軸にして、新米だった日岡刑事(松坂桃李)の成長が描かれていた。大上の非道ぶりに当初嫌悪感を抱かせられながらも、最終的には市民の安全を守るためであったという大上のポリシーに感銘を受ける作りになっていた。
本作では、大上の路線を継承した日岡が、前作の生き残りの暴力団員らと腐れ縁を保ちながら、抗争のない日常を継続してきたが、前作では刑務所の中にいて登場しなかった広島仁正会の幹部上林(鈴木亮平)が出所してくるところから話が始まる。先代の組長をやられていながら尾谷組と手打ちにしたやり方が気に入らない上林は、仁正会でのし上がりながら尾谷組と決着をつけようという動きを見せる。これに対し、広島県警のベテラン刑事・瀬島(中村梅雀)とコンビを組まされた日岡は、上林と決着をつけなければならない状況に追い込まれていく。信念や成長といった美点は影を潜め、やたらと戦闘シーンがエグく続く映画であった。
前作での大上は、汚れ役を自らこなしながら、両勢力の絶妙なバランスを取って抗争を防いでいたが、本作での日岡は、情報屋として使っている在日丁国人のチンタ(村上虹郎)に頼りっぱなしで、かなり大上とは違った立ち位置になっていた。口だけは抗争を止めるのが目的と言いながら、自分で泥を被っていないところがあざとくて、どちらの勢力からも信頼されているとは言い難い。観客から見ても同調しにくい人物になっていた。
一方、敵役の上林は非常に凶暴で、その理由も描かれてはいるのだが、全く同情できない人物で、ひたすら嫌悪感しか感じられなかった。この映画は、周囲に大きな迷惑をかけながら、この二人が雌雄を決するところが物語の根幹をなしているのだが、どちら側にも同調できないために、好きな選手が一人も出ていないプロレスでも見せられたような気分であった。
特に上林の凶暴さは目に余るものがあり、罪もない人を酸鼻極まる方法で殺害するシーンが冒頭から出て来る。前作では殺害する前に相手に豚の糞を食わせるというえげつない描写があるが、今作では相手の眼球を執拗に攻撃するという異常性が見せられる。その理由も説明はあるのだが、あまりに度々繰り返されるために、また、その必要のない人物にまでその偏執的な暴行を加えているために、異常性がむしろ薄れてしまった感が否めない。
物語は、警察の内部から日岡に仕掛けられたトリックなども絡ませて進むのだが、如何に日岡の行動を炙り出すためとは言っても、上林のような殺人鬼を泳がせるなどということを容認する訳はないし、大怪我を負っているはずの日岡がやたら早期に現場に復帰するところなど、リアリティの欠如が目に余った。また、抗争を未然に止めるといった目的と、そのために日岡が具体的にとった行動との間には救いがたい乖離があった。ストーリー的な満足度は、前作に遠く及ばなかった。
上林がまるでターミネーターで、日岡がそれを止めようとして未来から送られて来たカイルのようで、ひたすら血まみれの戦闘シーンを見せられるという感じである。拳銃や日本刀での命のやりとりは迫力があったが、途中のカーチェイスで盛り上がるべきだったのに、むしろ緊張感を削いでいたような気がした。
役者は松坂と鈴木の熱演は認めるが、斎藤工などはキャラ立ちも不十分で、役者の無駄遣いという感じがした。これは前作の竹野内豊にも感じたものと同質であった。チンタの姉を演じた西野七瀬は、完全にミスキャストではなかったかと思う。あのような抗争の現場で店を出すママには全く見えなかった。一方、最初の方にピアノ教師役で出て来た筧美和子は非常に印象的であった。
エグさは前作を上回っていたが、そっちにばかり注意が行ってしまって、肝心な正義や市民を守るという価値観が希薄になってしまったのではないかというところが惜しまれた。この監督と脚本家には、原作者のような緻密さがかなり欠落しているように見受けられた。上林をめぐる戦闘ばかりが目的で、見終わってしまうと何も残るものがないように思えた。また、突然出て来た狼の目撃騒ぎも肩透かしだった。ひょっとして猟銃の事故に見せ掛けて日岡を始末するのかと思ったのだが、結局のところ必要性があまり感じられず、緊張感を削いだだけだったような気がする。総合的に、前作に遠く及ばないと言うべきである。
(映像5+脚本3+役者4+音楽2+演出3)×4= 68 点
グロい。眼はやめてくれ。
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