「"オオカミ"は絶滅したのだろうか」孤狼の血 LEVEL2 774さんの映画レビュー(感想・評価)
"オオカミ"は絶滅したのだろうか
まずは一言、ブチおもれかった。
悪いことは言わない。少しでも気になったのなら、劇場に行くべし。
どんな時でも映画は必要。エンターテイメントは
必要。改めてそう思った。
前作との比較は野暮なのでやめておこう。前作は前作で最高であった。そして、level2は続編として、また違った魅力がある。それで十分。
どちらもブチあがる傑作。
前作の大上(役所広司)の魂を受け継いだ日岡(松坂桃李)。その風貌からもただならぬものを感じる。
個人的には、この映画の松坂桃李のビジュアル、圧倒的に好み。ぶっ飛んでいて美しく格好いい。
そして、上林(鈴木亮平)。これはやってほしくない……という恐ろしいことを次々と行う。欲望に忠実に、「むかつく奴、気に食わない奴はブチ殺す」というような最もヤクザらしいヤクザ。
吉田鋼太郎、寺島進、宇梶剛士というコワモテたちを喰らう圧倒的な存在感。改めて、鈴木亮平という役者がいかに素晴らしいのかということも感じられる。
上林の残酷な殺しなどは言わずもがな見どころの一つ。
個人的なところでは、ドンパチが始まったとき、決して銃弾を避けない、避けようとしない、上林に類をみない凶悪さと肝っ玉の座った大物感をみて、興奮した。
上映後の舞台挨拶で、鈴木亮平は上林について、可哀想だと語っていた。私たち観客は決して共感できる人物ではないが、上林の視点で演じていると、可哀想なやつだとも思えてくる、というようなことを語っていた。
上林という人物が"最凶"なのは、こういうところから繋がっているのだろう。二度目は、ここにも注目して見てみたい。
ストーリーにおいては、たしかに腑に落ちない、というかちょっとコレ……というところやツッコミどころがないわけではない。特に、前作ファンでは余計に。
しかし、それを補ってあまりあるほどのバイオレンスがある。エンターテイメントがある。古き良き映画へのリスペクトも。
白石和彌がいる限り、日本映画は死なないだろう。