劇場公開日 2021年8月20日

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「【決壊】」孤狼の血 LEVEL2 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【決壊】

2021年7月21日
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前作の「孤狼の血」が、暴対法前夜の物語だとすると、「LEVEL2」は、暴対法の夜明け直前のカオスが描かれている感じだ。

大上が、自ら引いていたヤクザと堅気の間にあった一線、ヤクザ組織の間にあったバランスを保つための一線が、大上の死と共に日岡に受け継がれたはずだったのに、決壊してしまったのだ。

また、物語としても、前作が、人間臭さの色濃く残る刑事ドラマだったのに対して、「LEVEL2」では、人間臭さは、社会の片隅で生きる小さい家族に残るのみで、ヤクザのロジック、暴力団組織同士の抗争、警察のロジックと陰謀が、日岡や小さな家族の望みを、いとも簡単に飲み込み、翻弄していく。

バブル景気の中、「24時間働けますか」とモーレツ社員を持ち上げるなど長時間労働が美徳のように語られる一方で薬物使用は増え、同様にバブルで高騰した地価の恩恵にあずかろうと、ヤクザ組織は地上げに奔走し、結果的には暴力団の資金力が強化され、個人の生活や生活基盤を侵食し、島という縄張り抗争も激化、暴対法の施行を直前に、警察組織は、ヤクザに対し様々なトラップをしかけ、これもヤクザだけではなく、多くの人々を翻弄していったのだ。

「LEVEL2 」は、貧しく社会の片隅に追いやられた二つの家族のたどった悲劇の対比も見どころだ。

狂気を募らせる上林。
家族とは何か、正義とは何かに翻弄されるチンタ。

もはや、やるかやられるかは、ヤクザ対ヤクザ、ヤクザ対刑事、ヤクザ対警察、警察対刑事とありとあらゆる対立に発展し、混沌とした状態は、ヤクザと堅気という一線など、もとからなかったようにさえ感じられる。

「LEVEL2」は、上林役の鈴木亮平さんと、チンタ役の村上虹郎さんの演技が、かなり抜きん出ていて、日岡をも圧倒しているように感じられ、そこも見どころだと思う。

繰り広げられる人間模様や策略も絡んで、暴力シーンは激しく、観賞後の疲労感も激しかった。

体調を整えて観に行ってください。

前作の人間臭さが好みだけど、変わらずにパーフェクトスコアです。

ワンコ
talismanさんのコメント
2021年8月20日

体調整え見ました!

talisman
talismanさんのコメント
2021年7月24日

体調整えてLEVEL 2へ!

talisman
talismanさんのコメント
2021年7月24日

ワンコさんのレビュー読んでやっぱり見に行こうと決めました。前作の役所広司が凄く良く、がっかりしたくなかったのでどっしようかなーと思ってたのでした。ありがとうございます!

talisman
2021年7月21日

お知り合いが皆早くコレ観ていて、田舎者の私はいつ観れるのだ?w

巫女雷男