「木村・長澤の名コンビ復活❣ 客でなくお客様」マスカレード・ナイト bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
木村・長澤の名コンビ復活❣ 客でなくお客様
東野圭吾作品の大規模高級ホテル・コルテシア東京を舞台とした『マスカレード・シリーズ』の第3作目の映画化。木村拓哉と長澤まさみのW主演による、映画化としては第2弾。東野作品の大ファンの為、原作は既読。犯人や内容も分かっていた分、誰がどんな役をやるのかを楽しみながら鑑賞。
ホテルというのは、正にマスカレード。豪華なホテルを訪れる「お客様」は、一見、華やかさと幸せを持ち合わせた人々。しかし、その仮面の下には、様々な欲望や嫉妬、怨みが渦巻いている。今回は、そんなホテルで開催される、『マスカレード・ナイト』と称する、年越しのマスカレード・パーティーが犯行現場。
「若い女性殺人事件の犯人が、このパーティーに参加するので逮捕して欲しい」という密告状が、警視庁に届いたところから、新田刑事がまたまた、ホテルマンとなって潜入捜査を始める。そして、コンシェルジュとなった山岸尚美との互いの仕事のプライドをかけた、名コンビが復活し、犯人と真相に迫っていく。
この手の作品の面白さは、やはり豪華俳優陣にある。大物俳優が犯人として演じることが多いミステリー映画。だからこそ、観る者に犯人を悟らせないためにも、俳優陣を豪華にし、誰もが犯人に相応しい設定や演技が求められる。そういう意味でも、沢村一樹、木村佳乃、勝村政信、麻生久美子、高岡早紀、博多華丸、中村アン、田中みな実等、一癖も、二癖もある演者を演じられる俳優陣が、しっかりと脇を固めている。そして、その真相は意外なところから明らかになっていくが、原作を知らない方は、きっと、騙されるのでは⁉️
また、このシリーズの面白さは、新田と山岸とのやり取りにもある。前作で、ある程度互いを認め合っている部分もあるが、まだまだ刑事とホテルマンとしての壁は高く、歩み寄れない歯がゆさが、2人の微妙な距離感を醸し出している。着かず離れずの関係は、今後もヤキモキするところ。
本作は、豪華絢爛な一流ホテルが舞台であるが、ホテルとは、現実を忘れさせ、ひと時の夢心地の空間となる場所。その華やかで淫美な雰囲気を、惜しみなく描いており、スクリーンを通してもよく伝わってきた。きっと本シリーズは、これからも原作も映画化も続いていくと思う。