劇場公開日 2021年9月17日

「招かれざる客とプロ達」マスカレード・ナイト aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5招かれざる客とプロ達

2021年9月17日
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鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

そういえば昭和のドラマは、ホテルが題材のものが結構ありましたね。私が知らないだけかもしれないが、最近は少なくなったような。華やかなイメージのホテルと、そこを行き交う人の人間模様、その裏方を支える人間味やプロ魂など、ドラマになる要素は多分にある素材だ。

さて、長澤まさみのファンとしては、前作は当然観てる。原作も前回は読んでいたが、今回は未読での鑑賞となった。

前作はてんこ盛りのキャスティングで、それを追うのが目的になりかけたが、今回はキャスト数を少し絞っていたのか、ストーリーを追うのが楽。その分、内容に色がついたようで、個人的には本作の方が楽しめた。圧倒的な物量の前回に対し、今回は質に重きを置いた感じだ。単純な2作目というより、前作で出来た下地をうまく使って、再度織り上げた作品という印象だ。

物語は、客をもてなすホテル従業員と、犯罪者を炙り出す警察官という相容れない職業的プロが対立しながらも協力して、殺人犯を探り出すという内容。大晦日のその日は、マスカレードナイトと称した仮装パーティー。怪しい人々が続々と集まる中、顔が見えない上に手がかりも乏しい中、その中に紛れ込んだ犯人を追う。2重3重の伏線が張り巡らされ、誰もが怪しく思える。

木村拓哉はいつも通り、そのまんまの立ち居振る舞い。相棒の長澤まさみは、真面目すぎなホテルマンを好演。相変わらずの朗らかさなれど、少しアクが抜けすぎていたか、”らしさ”が弱かった感じがした。冒頭何故か木村拓哉とタンゴを踊っていた中村アンは見事なキレのあるダンスを披露。また、重要な役どころに麻生久美子など、個人的にお気に入りの女優さんが揃い踏みなので、かなり得した気分。
その他にも、小日向文世、沢村一樹、渡部篤郎、勝村政信、木村佳乃、高岡早紀など、主な役どころは役のイメージ通りの俳優陣でがっちり固めている。推理ドラマながらも、それぞれ短い時間ながらきちんと情報を伝え切るので、澱みなく物語が入ってくる。

仮装で顔が見えないという設定の妙は、残念ながらあまり活かされていなかった。また、犯人特定の詰めは少し強引な感じがして、サスペンスとしては少し浅い感じはあるが、前作ではせわしなさが物語をスポイルした印象があったため、テンポ、展開など、今回の仕上がり具合が丁度良いと感じた。
内容的には「プロフェッショナルの流儀」などが好きな方は、共感できる作品でしよう。

AMaclean