Swallow スワロウのレビュー・感想・評価
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飲み込むストレスマネジメント。
金あってイケメンの夫に玉の輿に乗ったけど、専業主婦生活がなんか満たされなくて、異物飲み込んだら生きてる実感得てしまった話。
主人公のような人は実際にあるらしい。異食症という名がついている。
画鋲飲み込んだときみたく、実生活が身体の奥からジリジリと痛めつけられてる。
そして、ストレスを抑えるように乾電池を飲み込む。
この女性にとっては、異物を飲み込み体内に異常をきたすことで、生きてるって実感を得ている。いえばリスカみたいなことかなと思った。
誰も自分のことなんて気にしていない。興味あるのは子宮の中の子供や結婚という飾りだけ。辛い生い立ちもあって、自分の存在価値に対して劣等感がある。
そんな彼女一人で生きる決意をした物語。
生肉や調味料のドアップ、遠目のカット、主人公のいないトイレなど洋画ならではの描写が多い。映画で胃カメラのシーンは初めて見た笑
「他者の」欲望を飲みこんでいく
予告編でもポスターでも画鋲を飲んでいるシーンがあったのでおっかなびっくり鑑賞したが思いの外引き込まれた。
夫婦間のコミュニケーションになにかしら問題を感じている人が見ると共感する部分があるかと思う。
主人公の女性が"異物"を飲み込む原因は分かりやすく、「自分ではない誰か」を求められた時にその衝動が起こり、飲み込んだ後にそれを成し遂げた達成感を感じるのだろう。
しかしそれは越えるべき壁を越えたわけでもなく、他者からの「こうあって欲しい」を叶えただけ。
女性だから、と限定しきれないけれど、女性が抱えがちな問題ではある。
なぜ主人公がそこまでして他者に合わせるのか、その原因として遠い過去の出来事が描かれる。
分かりやすく"これが問題"と言えるような過去は現実ではそんなにあり得ることでは無いけれど、それと対峙する姿を描くことが重要だったのだろう。
最後の終わり方は主人公としてはスッキリしたのかもしれないが、あまり後味の良いものではない。
しかし、トイレの中で身繕いする何人もの女性の姿を見ていると、内面がどうであれ、外の世界と戦う為に皆生きているのだなあ、と言う力強さをなんとなく感じる。全体的に面白い描き方だなあ、と思った。
個人的には夫が悪いと言うよりは階級的、性格的なミスマッチかと思った。家事に文句つけるくらいならお金もあるんだし家政婦をとっとと雇えばいい。
いろいろ責任転嫁してきてうるさい夫だが、もっと我が強い奥さんだったら壊れずに済んだだろう。
しかし、自分の言うこと聞きそうな相手として主人公をパートナーに選んだ感は否めず、やはりこの映画の中で起こる問題はありがちな事なのかなあ、とも思った。
ジョー・ライトが製作総指揮なだけある
個人評価:4.2
とても個人的な物語。
1人の女性の内面をとても丁寧に描き、そして寄り添っている。
本作は異物を飲み込む描写ばかり宣伝され、正しい紹介をされていないのが残念。ジョー・ライトが製作総指揮になっている点で、この映画の本質を感じとってほしい。
キリスト教の教えと、1人の女性の生き方を対比させ、生き方や価値観の多様性を示唆している。
素晴らしい作品だった。
奇行の背景に仄見える有りうべき格差婚の姿とは・・・
孤独と劣等感に苛まれる新妻が"異食"にのめり込むスリラー映画。
表層的には主演のヘイリー=ベネットが異食に耽溺していく幻想的な演出と演技で楽しませながら、その裏でお互いへのリスペクト無き格差婚の崩壊して様をドライに描いている秀作です。
ラストシーンで毅然とカメラの枠外へ歩いて行った主人公がどうか強く生きて行ってくれますように...。
とてつもない問題作では
イメージしていたものと違う展開で心底驚いた。異食症という奇異な症状に目を奪わせて、核心部分を強調しないよう企図されているのではと勘繰ってしまう程だった。
これは一女性の個人的な成長譚なんてレベルのものではない。社会構造的な深いタブーに斬り込んだ、とてつもない問題作ではないだろうか。
選択の余地なく存在している自分を認めながら、自分自身の選択を認めるという二重の苦しみに応えているのがとても優しい。
エンドロールにかぶせた女子トイレの長回しは、闘っていいのだという若い女性へのエールだと思う。
通常なら理解し難い行為
妊娠中に突然駆られた行動。
実際に起こり得ることだったので驚きました。
周りは理解出来ないだろうな~と。
健常者もいつ発症してもおかしくないから観ていて怖くなりました。
この映画は勉強になった!
美しいからこその痛々しさ
一人の女性が苦しんで苦しんで、その先にやっと自分の人生を生きようとするお話。
ヘイリー・ベネットがとにかく美しい。
他にも作品について何かあるだろうと自分でも思うけど、
こんがらがっちゃって言葉にならない。
うーん、なんというか、センセーショナルな作品だとは思うけど
ちょっと最終的に何が言いたいのか分からなかった感。
「自分が自分として生まれたことへの呪い」っていう意味では
『ヘレディタリー 継承』の方が良かったような気もしないでもない。
社会の思惑に流されて
他人の人生を生きていても、あなたは幸せね。と、私じゃない人たちが言う。
彼も彼の親も、誰かによく思われる人生を。と、他人の顔色見ながら生きている。誰もが被害者なら誰がこんな世界にしてしまったのだろう。
彼女の幸せは自分に気づけた事。ほとんどの人は、胸に刺さったナイフを抜かずに生きてる。
映画としてはどうだろう、意義もあるし、考えさせられるとこもある。映像も色彩も良く面白かったと思うけど、そこまでお薦めじゃないかな(笑)
女性の解放にばかり目を向けると失われる命への想いが軽んじられてしまう
Swallowは名詞ならツバメだけど、
動詞では飲み込むという意味です
英語が苦手なんで調べたんですが、普通の人は知っている事かな
恥ずかしい
押しピンとか危ない物を飲んだら、内蔵を傷つけるし、どっかに引っかかって出てこないかもしれない
うちのバカ猫は消しゴムを丸呑みして手術したからね
これはストレスによる自傷行為といえます
なんとなく、やってはいけない事をやりたくなる気持ちもわかる
でも排泄の時に血だらけになるのは、さすがに見てられなかった
このへんは、リアルに想像できるからね
これは、体験したくないわ
ラストのトイレのシーンは
堕胎した胎児を排泄物として表現したのだろうか
出すものを出して、スッキリ新しい人生を歩いていく
胎児は可能性であって人格は無いと思っているんですが、この割り切り方はさすがにひきます
気にしない人は一生気にもならないんだろうけど
流された子供の事は、歳を取れば取るほど心に重くのしかかるようになる
ヘイリー・ベネットはマグニフィセント・セブンのヒロインだった時に記憶に残っていますが、なかなか面白い雰囲気をまとった女優さんですね
注目です
深過ぎる闇
ジャケットがオシャレ✨
赤の背景に青のセーターをもってくるなんてセンス良すぎだろ。監督さんは色彩の魔術師さんですか?どれどれ、どんな映画だ?と、気軽に観始めたら…。深い…心の闇が深過ぎる。観ているこちらがやられちまうよ。
『ハードコア』や『ガール・オン・ザ・トレイン』では感じなかったが
特にポスターのヘイリー・ベネットを見るたびに、金髪が妙に浮いているというか合ってないウィッグをつけているような違和感を感じていた。
人間はセルロースは消化できませんよー
ラストは…そういうことな…の…?ハンターはそういう選択だった。最後は髪型変わってたけど、別に違和感もなく。
エンドロールが風変わりで見入ってしまった。
恍惚した表情にやられた。
強烈な映画だった。
倦怠夫婦モノとしては、ゴーンガール以来の衝撃ではないだろうか。
男性優位の社会における女性の生きづらさ。
義理の両親との歪んだ関係性。
一見すると自由に見えて、その実誰よりも抑圧された生活を強いられている様子が丁寧に描かれる。
それゆえ、見る人は"異食"という奇行に走る彼女に否応なしに感情移入してしまう。
何故ならそれが、彼女に唯一許された"自由"であるのだから。
異物を飲み込む時の痛みと快感は、見ているこっちも辛くなるほどのものだった。
そう言った意味では、そこらのスリラーやホラーよりも見るものに精神的苦痛を強いる映画ではあるだろう。
しかし本作を見終わった後に感じたのは"解放"だった。
どこか晴々とした気持ちでエンドロールを見ることができた。
不快な題材と映像表現であるにも関わらず、エンタメとして成立しているのは。
ひとえに本作の映像美ゆえだろう。
徹底的に練られた構図、ライティング、繊細なSE。
ここにヘイリー・ベネットの美しさと素晴らしい演技が乗ってくるから成立するのである。
これら一つでもバランスを欠いてしまったら、この映画は成立しなかったであろう。
どこまでも繊細かつ大胆な映画だ。
儚げなヘイリー・ベネットが異物を飲み込む時の恍惚とした表情には誰もが唸るだろう。
自宅で鑑賞する際にはヘッドフォン推奨。
喉を通る異物の音、痛みと快感の感じ方も倍増する事請け合いだ。
病気の背景にあるもの…。
こんな病気があるなんて知らなかった。
自分を痛めつけてまで、行動してしまう事に驚いてします。
やっぱりとか思ったけど、彼女の生誕の秘密もあり。
親がいて、当たり前に愛情を貰えるという状況で育つという事の大事さを感じる。
【彼女が様々な”異物”を飲み込んだ理由・・。】
ー 序盤のハンター(ヘイリー・ベネット)と夫リッチーの夕食のシーン。リッチーは妻の問いかけにもうわの空でスマホでメールをしている。
ガラス越しに、映し出された二人の夕食風景の寒々しい事・・。ー
■ハンターの周りの、様々な”異物”
・裕福な両親に育てられたリッチー。
一見、妻であるハンターを愛しているように見えるが、彼の言動を見ていれば、その愛情は薄っぺらい表面的な事が良く分かる。
・リッチーの両親。夕餉で、ハンターの言葉を遮り自分の事を喋る父親。ハンターに事前連絡なく、妊娠したハンターに”私も妊娠した時に読んだの・・”と本を押し付けて、さっさと帰る母親の姿。
ー リッチーの両親は、ハンターを”孫を産む存在”としか見ていない。
ふと、『83年生まれ キム・ジヨン』を思い出す。
人間は、自己の存在意義を認められないと、精神に異常を来すことがあるのであろう。ー
・ハンターの母親。そして、愚かしき”実の”父親。
ー あろうことか、リッチーはハンターの”異食症”を”悪意なく”周囲に言い触らしていた事が分かるシーン。
そして、更に明らかになる、ハンターの出生のヒミツ。
彼女が、幼い頃から心に大きな傷を負っている事が、見る側に伝えられるのである。
更に、施設に入れられる事を拒んだハンターに対し、電話越しに言い放ったリッチーの言葉。彼の愛していた筈の、妻ハンターに対する本音が出たシーンである。ー
<ハンターは、彼女の周囲の”異物”を自分の身体に収める事で、自我を保とうとしたのだ。
”異物”達から自由になったハンターは、徐々に強迫性障害による、”異食症”を克服し、新たな人生をお腹の子供と共に歩んでいく事を願いたい、と思った作品である。>
異食症、初めて聞いた!
こんな病気があるんだ。まあ、確かに土を食べるとか,聞いたことはあるが。まだよくわかっていない病のようだが、ストレスが原因のこともあるようで、この映画の主人公のハンターは、自分の出生の秘密がストレスだったのか、それとも旦那さんの家族との関係性がストレスだったのか、そのあたりがよくわからず少しモヤモヤしたままおわってしまった。
それにしてもなぜあんなものを飲み込んでしまうのか、、、ちょっと理解できない。しかもしっかりと体外に出た異物を丁寧に洗ってコレクションするとは!
ただ理解しかねるのは、トイレでゴム手袋をはめて異物を洗うけれど、その手袋をたとえ洗ったとしてもタオルと一緒にしまうってありえない👎と変なところがとても気になってしまった。
それにしてもあんな形で飛び出して、一人でどうやって出産,子育てするつもりなんだ?
モヤモヤが止まらない。
尖ったピン
衝動の原因は分かるが、行為そのものが理解困難で、何らかのメタファーなのかとその謎解きに頭がいってしまって集中力を欠く。異物として家庭から出され、再び上流家庭に異物として飲みこまれる。
最初は属することを望み、しかし人として尊厳が与えられず、最後はシリア人に同情されるまでの地獄から這い出る。上流家庭だとかクソ旦那というお決まりの構図が、理解を困難にしているようにも思う。最後のシーンの通り、それぞれが様々な個であり、属する属しないの拘りを捨てて自由になる。しかし、それがどのような環境であってもそうなわけで...
自由に生きられればそれで済む世の中でもないわけであるが。思い返せば、同僚の妻にハグしたがる狂った男を抱きしめ、浮かべたときの表情に彼女の個の幸福論があったように思える。
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