「映画と映画館を愛する人々へ!」浜の朝日の嘘つきどもと 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
映画と映画館を愛する人々へ!
2021年。監督:脚本:タナダユキ
《福島中央テレビ開局50周年記念オリジナルドラマ)
泣けて笑える映画でした。
この映画に先駆けて作られたテレビドラマがあります。
そちらは竹原ピストルが重要な役を演じています。
茂木莉子(高畑充希)は、ある日、福島県相馬市にある創業100年の
映画館「朝日座」の前にふらりと現れた。
高畑充希の演じる女の子は「息を吐くように嘘をつく」
茂木莉子(もぎりこ)はもちろん偽名だ。
映画館主の森田(柳家喬太郎)も、資産家の未亡人(吉行和子)も、
競争するように嘘をつく。
(前述のドラマの方が、《嘘つきども》の比率高い台詞でした。ドラマも是非どうぞ)
高畑充希と柳家喬太郎の掛け合い漫才?
ジャブの応酬?
(ジジイ!!クソガキ!!)
言葉の格闘が小気味よく楽しい。
その映画はテレビドラマの前日譚で、浜野あさひ(茂木莉子=高畑)が、
朝日座に《現れた理由》と、
浜野あさひの《生い立ち》に焦点を当てて語られる。
重要なサブキャストの高校の恩師・田中茉莉子先生(大久保佳代子)
映画を愛する田中茉莉子先生が、素敵な人で大久保佳代子がめちゃくちゃハマってる。
この映画の成功は田中先生を描いた脚本と、大久保佳代子の好演に半分くらいあると思う。
先生と交わしたあさひの約束。
そして田中先生のボーイフレンド(?)
ベトナム実習生チャン・グオック・バオの存在。
チャン(佐野弘樹)の存在はグローバルで、福島県相馬市の現実から
視野を世界に広げる効果を生んだ。
福島は原発・コロナ・台風・・・とトリプル災難に襲われた。
原発事故の痛手から立ち直る矢先に、コロナ禍に見舞われ、
更に台風が追い打ちをかけた。
息の根を止めてやる、とばかりの仕打ちに朝日座も、
遂に閉館を決断する。
紆余曲折は観て頂くとして、タナダユキ監督の老練な脚本。
語り口の巧さ。
愛すべき嘘つきどもの、出演者たち。
そして何より、
ネクラで心優しき映画ファンへ。
苦しくても、もうちょっと頑張ってみよう!!
映画でお腹は膨れないが、生きる励ましに、ちょっとくらいはなる。
そんな前向きなメッセージを受け取りました。
(それにしても開局50周年記念・・・なんて冠をつけられて、
(ここまでプロフェッショナルな仕事をするタナダユキ監督、
(これぞ職人技と、お見それしました)