「新憲法制定をめぐる交渉や攻防のドラマを通じ、真の“独立”とは何かを考えさせる」日本独立 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
新憲法制定をめぐる交渉や攻防のドラマを通じ、真の“独立”とは何かを考えさせる
第9条で戦争の放棄を宣言し、世界でも類のない平和憲法と評される日本国憲法が、第二次世界大戦敗戦後の連合軍占領下にあったこの国でどのように作られ、制定に至ったのかを描く。戦後内閣の外務大臣・吉田茂と、彼からGHQとの交渉役に起用された白洲次郎、それぞれの名前に聞き覚えはあっても、2人が新憲法制定にかくも深く関わっていたことを本作で初めて知り、彼らがもしこの難しい交渉に失敗していたら今の憲法は違った内容になっていた可能性もあったのだと思い知らされた。
面長の小林薫は、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」でゲイリー・オールドマンに辻一弘が施しアカデミー賞のメイクアップ賞を受賞した特殊メイクと同様に、頬の肉を足して丸顔に寄せ、吉田茂そっくりの容貌になった。浅野忠信が演じた白洲は、日本の敗戦を予測し郊外で農業をしていたなど身の振り方が独特で、彼の生き様や価値観をもっと掘り下げてほしい気もした。
本筋とは直接関係のない、戦争体験記「戦艦大和ノ最期」に対するGHQの検閲と出版差し止めの話を敢えて組み込んだのは、占領下にあり独立していない国の状態がどういうものかを、別の側面から伝えるためだろう。9条をめぐる護憲・改憲の論争や、言論・表現の自由など、今の日本と真の独立について改めて考えるよう諭された気がした。
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晴生さんのコメント
2021年1月17日
戦争責任はどうなってるの。国民の運動や、声は、いっさいなし。戦争を起こした事からの反省で、平和憲法が、出来ました。今、この平和憲法を、改定しようとする動きが有ります。権力者の為の憲法ではありません。平和憲法を、守る事を、痛感しました。