「〝凡庸さの金太郎飴〟なのに泣かされました」おもいで写眞 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
〝凡庸さの金太郎飴〟なのに泣かされました
具体的なセリフにしたら〝陳腐さの罠〟にハマってしまうところを女優・深川麻衣の表現に置き換えて成功した映画。
ひとことで言うと、そんな印象です。
終始、誰にとっても身近で、誰もが他人事ではない高齢化の進む富山県のある地方で話が進みます。
役場の企画も決して突飛ではないし、いくつかのエピソードも、まあそういうことはよくあるよな、という平凡さ。登場人物の背景もキャラクターも、周囲の人たちの反応も、これまでの色々な映画と比べるまでもなく際立つものはなかったし、映画的な多少の演出の部分(古谷一行さん関連)もそれほど無理矢理な感じはなくて、あの状況からの持って行き方としては納得できる結着。
平凡でない点を強いてあげれば、あの小さなコミュニティでの美男美女比率が高すぎる点くらい。でも、映画ではそんなの当たり前ですものね。
どこをどう切り取っても〝凡庸さの金太郎飴〟という印象なのに(それだからこそなのかもしれませんが)、なんだか自分のことのように心に沁みてきて、マスクを交換しなければならないほど泣かされました。
深川麻衣さんの演技は、さながら『ジュディ 虹の彼方に』のレニーのようで、口角周りだけで魅了されました。ここは台詞でなく表情で語る場面であって欲しい、と思うところはほとんど深川麻衣さんの顔の下半分を、見てれば分かったつもりになれます。
凡庸だ、などと失礼なことを言いましたが、写真を通じて伝えたかったことへのアプローチという点では、この映画の誠実さが際立ちます。
私にはとても素敵な映画体験でした。
今晩は
貴重な情報、有難うございました。
冒頭から、きちんと観ていた積りだったのがすが、気がつきませんでした。
成る程。
助かります。
では、又。重ねてお礼申し上げます。