「【"生きていた証"を写し取る事の大切さ。 高齢者の「おもいで写真」を思い出の場所で、屈託を抱えながらも撮り続けた若き女性の成長する姿と、彼女の写真が齎した様々な小さな幸せを描いた作品。】」おもいで写眞 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"生きていた証"を写し取る事の大切さ。 高齢者の「おもいで写真」を思い出の場所で、屈託を抱えながらも撮り続けた若き女性の成長する姿と、彼女の写真が齎した様々な小さな幸せを描いた作品。】
- 今作品は、現代日本が直面している高齢者比率の増加に伴う、数々の問題をサブテーマとしながら、
都会から、ある事情で故郷に戻った若き女性が、屈託を抱えながらも町の高齢者の方々を"思い出の場所"で写真を撮る過程で、過去、幼き自分を捨てた母への確執を乗り越え、少しづつ、成長して行く姿を描いた作品である。-
■印象的なシーン
◆高齢者の方々が、結子(深川麻衣)に写真を撮って貰う前は、嫌がっていたのに、いざ出来上がった写真を見た時の嬉しそうな顔、顔、顔。
◆古い団地で独りで住む高齢者達が、結子の写真が絆になり、集会所に頻繁に集まり団地に少しづつ、活気が戻って来るシーン。
◆結子を支えようとする、”高校時代からの腐れ縁ある”市役所に勤める地元愛の強い星野を明るく演じる、高良健吾がしっかりと作品を支えている数々のシーン。
- 高良さん、もっと映画に出て欲しいなあ・・。-
◆ベテラン勢、吉行和子さん、古谷一行さんもとても重要な役で、存在感を発揮している。
・吉行さん演じる和子さんの
”人と話すの久しぶりだから・・”
と結子を部屋に上げるシーンや、昔働いていた糸屋さんで東京でメークアップアーティストをしていた、結子に紅をさしてもらい、撮った「おもいで写真」の少し恥ずかし気な笑顔。
・妻を捨て、失踪していた男柏葉(古谷一行)が、(その事実を隠し)その妻が経営している美容院で写真を撮って欲しいと願い出るが・・。
- 亡き妻の”私は””貴方を””待っています・・”の3枚の写真は、沁みたなあ・・。-
<人間って、幾つになっても”部屋”の外に出て、他人と交流したり、好きな事をしたりして、”人に見られている意識”を持つことが大切なんだなあ、と思った作品。>
■蛇足
・富山県を舞台にしているが、観光客誘致ムービーとしての色は薄い。
(可否は問うてはいない。)
・エンドロールで井浦新さんの名前が出て、”ええっ、どこにいた??”と思ったが、分からなかったなあ。
NOBUさん、コメントありがとうございます。
>観光客誘致ムービーとしての色は薄い。
そうですね。
もう少し観光アピールしてくれてもいいのに とも思いましたが
日常生活の中にある「おもいで」が大事なんだよ と
あえてそうしなかったような気もしています。
井浦さん、居酒屋の大将でほぼ横顔数分だけでした。あのお店は、高岡市桐木町の〝串揚げ居酒屋でん〟というそうです。映画チラシのロケ地MAP版に載ってました。田中屋として出てきた和菓子屋さんは、富山市八尾町の〝小蔵亀寿堂〟。田舎屋の方は砺波市の〝梅屋菓子舗〟。
今を乗り越えて、旅行ができる日が来たら、行ってみたいものです。