ドライブ・マイ・カーのレビュー・感想・評価
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死者の弔い方
客観的には自己に責任のない喪失でも当人は重い罪悪を抱える。他者は「仕方がなかった」「君は悪くない」と簡単にいうが、その辺りの葛藤など当人は随分前に完了し、その上で罪悪を抱えているのだから、そんな慰めは無論胸に響かない。
失った人との思い出は「良い思い出ばかりである」と『思わなければいけない』という強制も罪悪感の複雑さに拍車を掛ける。長い間生活を共にした愛する人との記憶が「良いものばかりであろうはずがないのに」。
『音の死んだ(耳栓をしたかのような完全な静寂)世界』でのまっとうな死者の弔い方、罪悪感の落とし方は、必ず僕らの人生にもいずれは必要となるのである。
世界観が見事でした
村上春樹のねっとりとした湿度の高い世界観が見事に描かれていた。過去にここまで表現できてる作品があっただろうか?
個人的には伊坂幸太郎が好きだが、映画になるとなんだか違和感がありあまり見ていない。今後に期待!
多言語の芝居はアリでした
この作品を観て驚いたのは、多言語で芝居をしていることでした。
演劇をしている上に字幕を映して芝居をするのはアリなのか疑問でしたが、よく考えたら洋画で字幕が出るのと同じですよね。
頭では理解しましたが、実際はどんな感じになるのでしょうか。
一度多言語の芝居を見てみたいと思いました。
さて作品の方ですが、西島さんが主役の性格にピッタリで、この人しかあり得ない!と感じました。
自分だったら妻の浮気は許せないのですが、この人は許せてしまうんですね。妻を心底愛しているから、許せたのでしょうか。
そんなモヤモヤした気分で映画を観ていました。
皆さんはどんな感じで観ていたのですかね。
新しい表現法で死に対する喪失と立ち直りを描いていて、3時間を感じさせない映画
前から見たいと思っていた映画で、妻が秘密を抱えて死んでしまう。良く理解者の妻の死。広島で行なう劇のプロヂューサーとして行き、喪失を抱えていた女性ドライバーとの出会いで死を乗り越えていく2人のコンビも広島の美しい街も意味があり、戯曲に応募した人々は人種も違い、一番心に残ったのは広場での練習風景と、主役がいなくなり主人公が出演になった時、ろうあの女性が言葉無しで主人公に気持ちを伝えるシーンが涙が出そうになりました。
でも広島→北海道往復は少々キツ過ぎないか
濱口監督作品は数本観ましたが、肌が合うというか、ストレスなく鑑賞できる作品が多いです。
今作はわりかしストレートなエピや配置が多く(主人公夫婦の距離感、多言語演劇の距離感、距離感が破綻してる岡田君との対比、演目と心情のシンクロ等)、それらを慎重に重ねていっての、また意外なほどにエモーショナルなラストに驚きました。
全てがストーリーに奉仕し、素晴らしく緻密です。ただ私は「偶然と想像」の抜け感が好きですね。
私は5作品?位しか観てないのですが、今作は今までの監督作品の印象的なシーンがアレンジを変えて登場しています。北海道での主人公の達観は震災のドキュメントにも関わってた監督の思いも感じます(引きの画の倒壊したままと再建した住宅の対比も震災を想起させる)。朗読は「偶然と想像」、岡田君と主人公の車がすれ違うシーンは「The Depth」のラストを想起させます。あれは最高にかっこいい。岡田君のキャラもdepthの子とちょっと似てるかも。
またこれは邪推ですが、岡田くんのエピは「寝ても覚めても」の主人公コンビのリアルの顛末も多少入ってるんでは…とは思いました。
村上小説一編を読み終えた満腹感
映画を鑑賞したというよりも、村上春樹の文庫本を一冊読み終えた満腹感。 誰もが抱える「生きづらさ」を淡々と紡いで、3時間があっという間に過ぎて行く。笑顔なのは唯一 聾唖の女優だけであるのが、とても象徴的である。
"行間"を読み解くように、日本語字幕付で鑑賞することをオススメする。
見てよかった
色々な工夫がされてる映画だった。劇中芝居や多言語の役者さん。でも、メッセージはシンプルに気持ちに届いた。でも、長いせいか、退屈そうにしてるお客さんや、途中にトイレのためか出入りする人もいた。
正直なところ
映画の日&仕事休み&話題作というところで朝イチの時間で鑑賞しました。
口コミを読んである程度予習して鑑賞しましたから、まぁまぁ楽しめました。
途中 少し睡魔に襲われましたが、何とか最後まで見終われました。
ピストルの音で完全に眠気が消え、??まさかのまさかが起こり……。
見てのお楽しみです。
全くもって沼のような作品。 丁寧とかでなく緻密に作られている様は圧...
全くもって沼のような作品。
丁寧とかでなく緻密に作られている様は圧巻でした。
家福悠介(西島秀俊さん)は愛していた妻の音(霧島れいかさん)の運転が嫌いだったし。
音 が望まない物は自分だけ望んでも仕方ないと、音 と同じ人生を選択したし。
わかっているのに見ないふりしてる悠介に
ごめんね。と、あなたで本当によかった。と言える 音 だったし。
だけど、2人にとっての最後の八目鰻のくだりを話し聞く互いの目は
身体は重なり合っていても、心の通わないビー玉みたいだったのが印象的で
心と肉体のバランスが美しく表現されていた。
え?ここまでがプロローグですか?って すでに驚きの没入感。。。。で、
村上春樹の世界感のモダンな映像美から、いつしか物語へと没入させる展開は見事。
現実と過去、過去からの現在、
チェーホフの戯曲「ワーニャ伯父さん」が絶妙に織り込まれているこの作品。
この戯曲の最後。
辛く苦しい心を吐露するワーニャに、ソーニャが語りかけるくだりが、
話をする約束をしたあの日、家の立体駐車場前で止まったまま、
車の中でテキストテープが淡々と点眼しながら流れる。
その「ワーニャ伯父さん」の同じ戯曲シーンがラストの舞台にもリンクしている。
すなわち、時間軸では進むが過去と現在に繋がり
まるで飲み込まれていくように現実が感情を残したままに動いていくが
それぞれの人生のこれからに進んでいく道標ともなる。
許せない自分の罪、向き合えない真実、そして得体の知れない後悔。
しかし、生きていること、生きていくことを肯定していく尊さを強く感じる作品でした。
戯曲「ワーニャ伯父さん」を知らない人は、
観る前か、後でもWikipediaででも少し調べれば、この作品をより味わえると思います☺️
良い映画!
しみじみと心に響いてきました。 その先に救いがある未来もあると。もし救いがなくても
生きてきた時間の尊さをあらためて思いました。出演されている俳優さん方もとてもよかったです。
心がほっこりして がんばろうと思いました。
長時間に耐えられる人
まず長時間に耐えられる人、終始薄暗い感情が付き纏うのでスッキリはしないと思う。
ただ展開がいいので村上春樹さんの作品が好きな人は高評価なんだろうなと思った。
真面目な良作ですね
約3時間の長尺かつ地味なストーリーであるにも関わらず、飽きさせず最後まで引っ張る監督の力量はお見事。演技も映像も、控えめなBGMも、すべてが調和していて良し。
例え愛し合う相手でも、他人の心の中には深入りすべからず、というメッセージには納得しました。
アカデミー賞の権威など、私にはどうでも良いし、受賞作品には食指が動かないものが多いのですが、本作は短い予告編で好みに合うかもしれないと感じたのが正解で、劇場で観て良かったと思えました。
ただ、劇中劇が多国語で演じられるのは、私には気が散るだけでした。原作は、作者が好みでないため未読なので、本作が原作通りの映像化なのだったら失礼な誤解に当たりますが、もしも、アカデミー賞の審査員にウケるためのあざとい手段だったら興ざめです。
心に寄り添ってくれる
母と見に行ったのでセックスシーンは少し気まずかったけど、内容自体は母と見に行って、違う世代の人にはどういう映画に見えるか聞けたので良かったと思いました。
あらゆる世代にとは言いませんが1回人生の中で見て欲しいです。
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