ドライブ・マイ・カーのレビュー・感想・評価
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見ごたえはあるが、ギクシャクした場面あり物足りない処もありで秀作とは呼べない。人間関係や自省に関する含蓄ある話ではあるが、一人の男のグズグズした自分探しに180分付き合わされたという印象もあり。
①重要なモチーフである「ワーニャ伯父さん」を劇中劇にしたり(台詞が刷り込まれるように頻繁に出てくる)、劇中劇も手話も交えた多言語での芝居にしたところは確かに上手い構成だと思うのでカンヌで脚本賞を取れたのだとは思う。②180分持たせる演出は確かにしっかりしているが監督賞にノミネートされる程ではないと思う。③終始無表情で運転する三浦透子が宜しい。西島秀俊や舞台俳優・関係者たちのために運転しているうちに少しずつ自分の過去を語り始め悲惨な少女時代を過ごしたことや心に癒せようのない傷を負っていることがわかってくる自然な流れが良い。頬の傷を直し明るい顔で韓国の道を西島秀俊(から貰ったのだろう)の車で走っていくラストは爽やか。③あと、出演者の中ではジャニス役のソニア・ユアンが魅力的。まあ自分の好みですけど。北京語の発音がとてもキレイ。演劇蔡の担当者役の安部聡子は台詞のあまりの棒読みに素人さんかと思ってました。④岡田将生演じる高槻というのも感情移入しにくい役だ。家福夫婦の夫婦関係の実態に光を当てる重要な役どころかも知れないが、自分で応募しておきながら本番近くになって舞台に穴を開ける事を引き起こすなんて舞台人の風上にも置けない。その暴力性を示す兆候が描かれていたり、「分別を持て」とか「社会人としては失格だが」とかの台詞はあるが、それでも唐突感と不自然さとは拭えない。そういう人間であると見抜きながら選んだとすれば、家福の舞台演出家としての分別も疑わざるを得ない。⑥クライマックス。みさきの生まれ故郷に帰るシーン。廃村に続く未舗装の道路を走るとき結構ガタンガタンととてもスムースとは言えぬ母親が乗っていたら座席を蹴られそうな運転だったのが気になった。こういう細部が却って気になるのだ。⑦みさきの倒壊した家の前で二人が対峙し家福が初めて泣きながら自分の弱さを吐露するシーン。映像が硬直してまるで舞台の立ち稽古を観ているような絵。西島秀俊は熱演だが子供のように亡き妻への思慕を吐露したあと余韻もなくみさきを抱きしめて「大丈夫だよ」という流れが拙速過ぎて感心出来なかった。
長くて、淡々としているわりに‥
ストーリーが難解な訳では無いが
淡々としているわりに、その台詞、普段使う❔など
淡々としているのに、最もらしい、深い意味を持つ様に言われている感じが苦手。
褒めるとすれば
意外と岡田将生が良かった。
淡々と、でもあっという間に終わってしまった
夏に観たいと思っていた作品。
アカデミー賞にノミネートされたせいなのか、一番大きなスクリーンで
上映されてた。
淡々としたストーリーなのに、長いと感じることなく観終わってしまった。
自動車事故がスイッチになっていたように感じたし、自分の車を運転するというタイトルにも意味を感じて…考えさせられました。
自分に向き合っていますか?
大切な人に真っ直ぐ向き合っていますか?
休日出勤が速攻終了したので劇場直行。3時間という長さに怖気づいたが...
休日出勤が速攻終了したので劇場直行。3時間という長さに怖気づいたが、さすがは話題作、その長さを全く感じさせなかった。
なんやねん、このやば綺麗な妻からスタート。岡田将生が肝となり、徐々に明らかになる主人公とドライバーの真実。
私のツッコミポイント
・どこか落ち着いて考えられる場所へ…広島から◯◯◯へ。それはないやろ(笑)
・劇中劇が私には無理。あんな多国語(まさかの手話まで)でセリフ言われてもわかるかい!
・セックスすると閃くらしい
ラストシーンが象徴してるが、「なぜか分かるか?さあ考えよ」的部分あり。◯◯賞を受賞する作品、そんなの多いですよね。
シアター4 E-7 神戸国際松竹で見る最後の作品となりました。相応しい良き作品でした。
叙述的な150分、全ての展開が収束するラスト30分
まず、起承転結のあるエンターテインメント作品ではありません。そこんところ注意な。
鑑賞中、「実に叙述的だな〜!実に村上春樹だ〜!」と思いながら観ていました。
同じ様な演出を、時には巻き戻して、時には再度演じ直すといつ形で、ストーリーをゆっくりゆっくりと紡いでゆきます。
分かりやすくポンポンと話が進んでいくのではなく、何度もなぞらせることで観る側に「なんとなくこう?」みたいな事を思わせる。
かと思えば、突然思いもしない展開が待っていたりする。でもそれは、そこまでにばら撒いてきた脚本のベースがあったりするので、おおよそ想定内かなと思わせる。
そしてラストの30分にもっていく。
ある登場人物が、その人に縁のある思い出の地で許しを請うたり、そうする事で自分の楔の様な何かから解放されたりする、というのは寓話にはよくある展開ですが、そんなありきたりな演出にも関わらず納得させるのはお見事。
個人的にはラストのその後も少し見てみたかったですね。
SAABいいなぁ。
ひとりひとりの人生そのものが、ドラマなんだと気付く作品
ドラマチックな展開もなければスリルもサスペンスもない。
やっぱ、村上春樹の小説は難しくてよくわからん
…と、思いながら観ていたが、途中から気が付いた。
そうか、登場人物それぞれの人生の歩みこそが、
「ドラマ」そのものなんだ!
まず、家福の妻・音。幼い娘を亡くした悲しみと、脚本家というプレッシャーから、セックス依存症(だと私は思った)。夫を愛するがゆえに、そんな自分に苦しんでいる。
ドライバーみさきの壮絶な人生。
話せない妻とともに広島へとたどり着いた、韓国人夫婦。
最後にようやく自分の封印してきた感情と向き合うことができた家福。
そして、そのきっかけとなった高瀬の空虚さを抱えた人生。
劇中劇「ワーニャ伯父さん」のストーリーと家福夫婦のストーリーをベースに、
登場人物たちそれぞれの人生が縦糸、横糸となって、織り込まれてゆく。
まるで映画全体が、1枚のタペストリーを紡いでゆくかのよう。
最後にそれが見事に1つの作品として完成したとき、ようやく見えてくる。
ひとりの人間として、「生きる」とはどういうことなのか。
そこには人種も言語も必要ではなく、
ただいつも「感情」が存在している。
…深い!さすが村上春樹。
ラストシーンでは、
家福とみさきのこれからの人生を、想像の余地を残すように終わり、そこもよかった。
このエンタメ度の低い、日本の芥川賞的な映画が、海外でウケるとは正直驚き。
村上春樹作品への愛情と理解は、日本人以上なのかも⁉
ドライブ マイ ボディー
配信にて視聴しました
演出家の演劇を登場人物と
比喩しながらそれぞれの内面と
行動を表現した大作ですね
映画タイトルはサーブ900の
17年超の古さと主人公の自身
とを重ねているように思えます
自分自身で肉体と頭脳をドライブして生きて行く
とても良い映画でした。
男女のディスタンスは測れない
村上春樹の短編を大幅に脚色したドラマで、どこかフランス映画のような味わいがある作品で、淡々とした展開なのに妙に惹きつけられ、3時間の長尺も苦になりませんでした。亡妻の隠された男性関係を知ったことから、心身共に強い絆で結ばれていたはずの彼女との関係性に主人公が疑問を持つのは、ある意味普遍的なテーマです。多言語に手話すら交えた演劇は、しょせん言葉も肉体ですらも相手の深部には到達し得ない、分かり合えない男女の関係のすれ違いのメタファーのように感じ、劇中劇を通じて主人公の内面に迫る演出は見事です。それでも他人との測れない距離感を全て受け止めた上で、前を見て生きていくポジティブなスタンスを、女性ドライバーの崩壊した実家を前にした二人のやり取りを通じ、手話演技によるワーニャ叔父さんへの語りかけで昇華する、舞台でのクライマックスは素晴らしいです。役者では、西島秀俊、三浦透子の二人の静かな存在感が圧倒的でした。岡田将生の車内でのシーンでの演技も素晴らしい。
「わたし」という閉鎖空間
原作未読。
村上春樹の作品は「ねじまき鳥クロニクル」と「1Q84」が好きだ。
まずは、そこから感じ取れる村上節が、映画にもにじみ出ていたように感じる。
それだけでも映画化は成功しているのではないかと思った。
ゆえに物語は一筋縄ではゆかない点が大衆向けといい辛く、
ここをどうとるかで評価、好き嫌いが分かれるに違いないと考える。
さて、他者を理解するためには、自身の中に深く潜らねばならない。
なぜなら理解を試みる自身を理解することが、前提だからだ。
その「自身」を「愛車」「演劇」という閉じた空間に投影させた主人公は
そこにあらゆる人を出し入れし、自らもまたさらけ出してゆく。
だが最後、閉じられていた自身を理解した主人公は、それらから開放される。
そうなるまでの葛藤の物語と観た。
はたして、いかに。
村上春樹の物語にちょくちょくあらわれる、
どこか知れない深い深い穴の中へ孤独と共に潜りゆき、
突き抜けたところに現れる原風景は象徴的で、
ふまえて、たどり着いたラストシーンにうまく再現されているのでは、と思った。
あの摩訶不思議、抽象的な文章を、と思えばやはり力作と讃えずにおられない。
また岡田さんの危うげな演技にも引き込まれた。
グッドラック! オスカー!!
ただ走り続ければいい
久々に映画の世界に没入するという感覚を味わった。
気づけばわたしも赤いサーブに乗り込んでいた。
とても繊細な映画だった。役者さんたちの声のトーンが心地良かった。そして所作。中でも手話の動作は本当に美しかった。
「静と動」がテーマのような気がする。
緩急の付け方が素晴らしかった。
物語の重さが静的なら、走る車は動。
走り続けるからこそ、見えてくる景色がある。
だから生きていこう、と背中を押された気がした。
「言葉が通じないってわたしには当たり前の事ですから」
·
①「言葉が通じないってわたしには当たり前の事ですから」
「あなたはいま幸せなの?」
ドキッとする決め台詞をろうあ者のユナに言わせて、僕に揺さぶりをかけてくる映画でした。
オスカーノミネートで、急遽、当地でもリバイバル上映しています。
“観せる側と観る側、半々で一方通行の言葉を受け取って完成をさせる”
―そんな作品だったと思います。
日本語
韓国語
英語
北京語
タガログ語
韓国手話
インナーチャイルドの多重人格の幻聴の声
そして字幕。
通じることの起こらないたくさんの一方通行の台詞が、この「実際の舞台化には(あまりにも実験的すぎて)現実的ではない原作」を、映画の形に止揚していく有り様が実に見ものなのです。
そしてもうひとつ、
通奏低音として流れるのが死んだ妻のカセットテープの声でした。
空白・無録音の《pause》部分に西島が声を入れても、それは相手は既に存在しておらず それは虚空に向かって放つ言葉。返事をもらうことはもう出来ない
=「舞台」としても「男女の会話」としても、意志の疎通も感情の交流も成立が果たせない、
人間関係の断絶がそこに。
結婚は稽古。
結婚は舞台。
言葉の通じない赤の他人と暮らすためには、練習と、通訳の助けと、字幕の補完によって、通じ合えない共演者を知ろうとする稽古が不可欠なのだと言っているようで。
これは象徴的ですね。
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②「対話が足りなかった」と
北海道でめそめそしていた西島のくだりは陳腐で浮いていたが、読者サービスだろう。
自分事としては、
妻との離婚は、あれはどうだったのかと、いまだに頭に浮かぶこともある。
でも舞台ごと(結婚ごと)に、オーディションは行われるのだ。役者の人選の当落は演出家がその都度決める。
力のない俳優ならば次の仕事はないし、岡田将生のように自分から転落もしていくことだろう。
お互いに一公演を終え、お互いにダメ出しを出して“共演”をやめたのだから、僕たちの終演・解散・契約解除は、それで良かったのではないかと思っている。
西島は自分の車を自分で運転している。
みさきも自分の車を自分で運転する。
そして
家福音も、彼女は自分の人生という車を彼女自身の意志で運転し、彼女が若い男をその助手席に呼んだのだ。
急死した妻のこと、心残りはあるのだろうが夫西島が妻の生き方について何か自分の責任であるかのように思うのであれば、それは違う。
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③ラスト、
不思議な展開を見せてエンディングへ、
喋らなかった運転手が韓国語を学んで話すようになっていましたよね !
(コロナのマスクをしていたので後日談として数年後のシーンだな)。
生まれと育ちの桎梏を突破して、ついに外国に飛び出し、外国語を話している運転手の彼女=みさきへの驚き。
言葉が通じたときに人間の心身に起こる奇跡の出来事を、あれは表していたのだろうなあ。
恐らくは西島が仕事をする韓国へ、オブザーバーの韓国人夫妻と犬も連れて、心通じた者たちを詰め込んで、ちょっと狭めだけど、赤いSAABは世界を走り始めたのだと思う。
🚗
さて、
オスカーのゆくえはどうなるだろうか、
あるいはもしかしてこれは「脚色賞」とか行くのではないかと考えながら映画館をあとにした。
開演1時間後にタイトルが出てくるところとか、濱口監督、やるね。
もう一回観たくなった。
言語化できない焦燥感
短くまとめると舞台脚本家の主人公は交通事故で片目が緑内障を患ってしまい、さらに奥さんが他の男と肉体関係を持ってしまい、その後くも膜下出血で亡くなってしまった。そんな不幸な連続の中、広島で舞台を講演することが決定し、さらに、プロデューサーの計らいで劇場から宿までの運転を20代の女性に運転を任せることになった。不愛想な女性であったが運転を任せるたびに彼女の過去が明らかになってゆく。
この映画を観たのは一か月前くらいでした。この作品は映画といえば映画なんですけどドキュメンタリーのような雰囲気で「ノマドランド」のような主人公が愛する車がキーアイテムで、車を通じてお互いを知るヒューマンドラマだと捉えました。
ドラマティックの要素はないように思えますが、難しいセリフはないし、不思議と退屈しなかったです。
西島秀俊は映画でこそ輝く。映画館で観てよかった!
あまり小説を読まない私は村上春樹氏はあまり得意ではない。でもこの映画を観た人と感想を言いたいです。余韻が一日以上残る、そんな映画。あとは岡田将生の彼自身が脱皮するような演技に目を見張りました。
ただラストは、要ります?。濱口監督の「スパイの妻」もラストがアレっ?ってなったの思い出しました。
西島さんがいい
ただ西島さんマニアのワシは西島さんのラブシーンはいらない。妻役も好きではないがドライバーの子良かった‼️最近の映画ではないくらい長い、お尻痛い。だが西島さん見たさに見たさ。多国籍会話で賞取れたんかなあ、手話もあったし。でも西島さん最高です
長いのには訳があるのでしょう
約三時間、たしかに長いけど退屈はしない映画でした。
そしてその長さを受け止めるだけのラストのモチーフはありました。
また、その長さを受け止めるだけのカタルシスもありましたが、その勢いは弱く描かれているようでした。
映画では悲しみや苦悩に絡め捕られたどん底の精神状態を描いてませんが、低位安定の凪ぎの状態をずっと描いている構成はなかなか緊張感があって良かったです。
というより、彼らは無意識か意識的にかはわかりませんが、直面した不幸から回避し続けることを選んだがために、低位安定の精神状態だったのかもしれません。
その状態を反転(再生)するにはじわじわとした時間が必要であったし、反転(再生)するにしてもじわじわとしたカタルシスになるのでしょう。
あのラストにはあの長さが必要であったのだとおもいます。
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