劇場公開日 2021年8月20日

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「余白。ミニマルミュージック。北野武。」ドライブ・マイ・カー BDさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5余白。ミニマルミュージック。北野武。

2022年2月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

静かに淡々と進む物語。

家福お気に入りの車の中で、音の手により「ワーニャ伯父さん」が朗読され、家福がその空きスペースに自分の演技を入れる。何か起こって、車中に戻り、また何か起こって、車中に戻る。この反復が演出の骨組みと感じた。

また、「音(≠家福)」という観点では、セリフと車の音、セリフと波の音、セリフと風の音、と、常に2パーツでの展開に統一され、これが物語に現代音楽のような余白を生んでいる。ここでいきなり「バーン!」と銃声が聞こえたら北野映画だな…笑 と思っていたら、監督ご本人も北野武は通っているらしい。納得。

この描写の反復感がジャブの積み重ねになって、最後に、雪で一杯になったみさきの故郷を訪れた時の、静かな無音の迫力に繋がっていると認識。非常に構築的で、ノンバーバルな部分に粋がある作品。海外の高評価は納得。

主題に関しては、喪失という非常に村上春樹的なテーマ笑。しかし、この映画の粋が極めて映画的=他ジャンルでは語りづらい部分にあるのと同様、ご存知のように、村上作品の粋は極めて文学的=叙述の手触りや感触にある(と自分は思っている)。「移植」として見ても、難易度の高いニュアンスの再現を見事に行なっている高難度作。

3.5点の理由。ここまで言っておいてなんですが、映している世界の骨子は理解すれど、素直な感覚として、初回でそこまで世界に没入できてません笑。たぶん2回3回見たら5になるかな〜という思いがある一方で、う〜ん長いから見ないかもな〜という、極めてくたびれた理由で、点数下げてます。次見たら再評価しますね。

BD