ザ・プロムのレビュー・感想・評価
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売名でも偽善でも良い変化をもたらすならありか
社会運動へのコミットは個人の名声を高めるのに利用できる。そういう偽善はよくないという意見もあれば、売名だろうとなんだろうとそれで助かる人がいればいいじゃないかという意見もある。
本作の主人公、ディーディーはブロードウェイの往年のスターだ。新作が酷評され、このままではいけないと、人気回復のために保守的なインディアナ州で同性愛を公言した女子高生が、プロムに参加できるようにするキャンペーンを勝手に張ることを思いつく。意気揚々と高校に乗り込んできて、私たちが遅れた価値観のあなたたちの目を覚まさせてあげるよ、みたいな態度で騒動を巻き起こす。
鼻につく態度であることは間違いない。しかし、騒動がきっかけで多くの人が考えを見直すきっかけを作っていることも事実である。ただ、少し言葉で言われただけで、保守的な価値観で育った人々があれほどコロッと変わってしまうものだろうか、という疑問は持った。ライアン・マーフィ監督の願いも込みでそういう物語にしたのだろうと思うが。ジェームズ・コーデン演じるバリーの存在がマーフィ監督的にはキモなんだろう。
ミュージカルシーンは抜群に楽しいし、芸達者な役者が揃っているし観ていて飽きない作品だった。
寛容と変化がテーマのスター競演ミュージカルの味わい方
プロムナイト。この高校最後の年にキャンパスで開催される卒業パーティは、生徒たちにとって晴れの舞台。従って、これまでも度々青春映画のネタになって来た。「アメリカン・グラフィティ」((73)「グリース」(78)「25年目のキス」(99)etc。しかし、なんと言っても強烈だったのは、クラスメートたちから阻害されてきた少女が、プロムクィーンに選ばれた直後、それが悪戯だと知って怒りの超能力でパーティ会場を焼き払う「キャリー」(76)だと思う。TVシリーズ「glee」(11)にもプロムを登場させたライアン・マーフィの最新作は、しかし、同性愛者の女子高生がそれを理由にプロムへの参加を禁止されるという、今そこにある問題をテーマにしている。彼女が受ける屈辱感と疑問は、もしかしてキャリー以上かもしれない。LGBTQ+マターはそう簡単に焼き払うことができないだからだ。そんな高校に新作ミュージカルが酷評された上にクローズとなった出演メンバーが、差別撤退を掲げて(実はイメージ挽回を狙って)乗り込んで来る。見せ場は勿論、舞台組を演じるメリル・ストリープやジェームズ・ゴーデンやニコール・キッドマン等によるド派手なパフォーマンスだ。2人のオスカー女優に当代一の芸達者コーデンを揃えたマーフィ(監督&製作)の吸引力はすごいと思うが、ポイントは、主役の女子高生が投げかけた波紋が、いい意味で周囲に変化をもたらしていく後半の展開にある。寛容と変化。それがなににも増して本作の新しさだ。娘を拘束しようとする頭の固いPTA会長を演じるケリー・ワシントンの美しさが、煌びやかな共演者たちの中一際目立っている。
まさに爽快の玉手箱 学園ミュージカルがド派手に決める!
学園ミュージカルものは大好きなので、おもいっきり期待して鑑賞。
うん、やっぱり期待通りとても楽しく観れた。カラフルでゴージャスな映像にメッセージ性の強い音楽、そして若手から大御所まで個性あふれる役者陣のイキイキした演技、とても爽快な気分になれた。まさに爽快の玉手箱。
学生さんの求愛!?ダンスももちろんキュンキュンきたし、メリル・ストリープをはじめベテラン役者陣の堂々たる歌とダンスはもう圧巻としかいいようがないほど盛り上がる。
そして、本作でまたあらためてメリル・ストリープの演技の幅の広さに感服。何を演じてもトップクラスでしょ。初めて学園に登場したときのド派手なキメ台詞「主役は私じゃない」の独特な間合いなんかはメリル・ストリープでしかできないのではないか。50年にもわたりトップ女優をひた走ってきたキャリアは、紛れもないもう神の域といっても過言ではないだろう。まさにあっぱれ!のひと言。
本作は今どきのテーマを軸にしているゆえに、オジサン世代には当然ギャップを感じざるを得ないところもあるにはあるが、これだけの爽快感を味合わせてくれるなんて、個人的にはやっぱり満点評価でしょ。
一言「爽快感、ハンパない!」
落ち目のミュージカル・スターたちが。
「プロム中止」でTwitterをざわつかせている高校へ、乗り込む話。
ここで格好よく助けて、またスターの座に返り咲こう。といくかどうか。
大人と生徒、それぞれがお互いに影響しあって。
少しずつ自分の殻を破っていく様が、ナイス。
メリルの「元大スター」ぶりの歌声も、あっぱれですが。
コデーンが、同じ同性愛者として女生徒に寄り添うのが、ピカイチ。
作品中の歌が、メロディアスで、ダンサブル。かっこいい。
最後は一緒になって踊ってました私。
そう、ミュージカル映画って、一つの「ライブ」なんだな。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「人生はリハーサルじゃない。
終わってしまう前に、波風立てよう」
重くさせず、明るく笑い飛ばした描き方
ミュージカルぅぅ〜!
ごり押しが強いが面白い
LGBTを明るくライトに描いているが似たようなテンションの人種差別をテーマにした映画”ヘアスプレー”と比較してしまうと、やや下品というか動機が不純すぎて冒頭入り込めなかった、そしてハッピーさは負けてる。
差別(偏見)と寛容をテーマにしているはずなのに、セレブが貧困者や一般人を批判するような振る舞いや田舎に対して偏見が溢れた発言をしているのに、偏見を捨ててLGBTを受け入れよう!なんて言ってるところがひっかかってしまった。
途中から差別と本気で戦おうとしていることは分かるけど、売名目的で活動している人を見るのはやっぱり純粋な気持ちで感動出来なくなっちゃう。
LGBT作品でもキャリーや僕の名前できみを呼んで、のような当たり前のようにそこにある同性愛の作品を好む自分にとっては、LGBTを受け入れようのゴリ押しが強すぎるこの映画はやや肌に合わなかったかもしれない…。が、まぁこういう作品は大事よねと思う。
いろいろとひっかかる作品ではあったけどメリル・ストリープの歌唱は良いしダンスも楽しげだし、普通に感動して泣けたので面白かったです。
隣人がどんな人でも
面白かった
ミュージカル!
プロムとは、プロムナード(舞踏)の略称で、英・米・カナダの高校で学年の最後に開かれるフォーマルなダンスパーティーのこと(Wikipediaより) このプロムというものが、イベントとしてどのくらいアメリカ人の心に深く残っているかを体感できます。
NetFlix制作によるミュージカル映画。LGBTQを最前面に押し立て、そこに往年の名優たちをからめて老若男女問わず楽しめる話に仕立ててきた。
大切な主題を、ミュージカルらしく、あくまでも軽やかに、重たくし過ぎずかつ決して軽んじることなく、いいバランスを保ち続けた結果が、高評価なんだろうな。
かってはトニー賞までとったふたりが、芝居で酷評され、「自分たちのようなナルシストが嫌われる時代だ。活動家のようにふるまって好感を上げなければ」 と思い立つ。 そこで、「自分を愛したまま、よい人に見える方法」 を実践することにし、LGBTQを認めないPTAによって、プロムからはじき出されようとしている少女を救いに、ニューヨークからインディアナへ向かう話。 「女の子を助けるぞ、頼まれてないけど」 と、このお調子者たちはインディアナをめざす。
出発しようとする元スターたちのセリフは、「田舎者の狭い世界へ行くぞ」、「みんな芸能人には、こびへつらうからな」、「歯並びの悪い連中に言いに行くぞ」 だ。この差別的発言が、彼らが決してインディアナの人々より民主的な考え方にいるわけではないことを示していて滑稽。実際、いざ乗り込んだメンバーの空回りぶりは、ぜひ劇場でみてください。笑えるよ。ただ、観ていただくとわかるように、彼らは(売名行為のためとはいえ)行動した、という価値だけはある。
女子高生エマが言う、「ママの頃とは違うの。少し、よくなったの」「こうなったんじゃないのよ、最初からこうなのよ」 この二つの言葉を、俺たち日本のお爺さんたちは、心から聞かないとならない。自分達の考え方は、果たして少しはよくなっているだろうかと。「わしは、そういう者にも理解があるぞ」 と言ってしまっていないか。そもそも多様なのだということ自体を理解しているか? まあ、本作は難しいことを言うのは似合わない映画であって、こんなことを言うこと自体が、粋じゃないね。
「人生はリハーサルじゃない。終わってしまう前にみせつけよう。波風を立てよう。大胆にやらないと失敗する」 いい歌詞だ。 そして聖書の言葉 「隣人を愛せ」 をあらためて強調する終盤も、キリスト教の国アメリカらしくて好感。
校長先生が言う、「(現実があまりに辛くなったとき)芝居は気晴らしというよりも癒しだ。(ミュージカルを遠くニューヨークまで観に行くと)時には家に帰ってきたような気がする。逃げ込む場所がほしいんだ。誰もが踊る。その理由なんて、誰も考えない」 ・・・コロナ禍の中にいる今だからこそ、この映画が上映される価値は、ここにあるんじゃないだろうか。
だから、正直、トニー賞までとったふたりが出かけて行ったことが、見事にはまっているストーリーとは思えないし、この映画が大傑作とも思えないのだが、とても楽しめたし、いま観てよかったと思う。いやあ、ミュージカルってやっぱり楽しい!!!
おまけ
裁判所が 「差別せず、プロムを開け」 と通告してきたと伝える校長に対してPTAが言う 「大きな政府がコミュニティを分断しようとしている」 というセリフは、なんか南部ってこんな感じと体感できてよかった。
ディズニー音楽好きなら好き!
音楽に物足りなさを感じてしまったのはNetflix映画だからか・・・?
ストーリーとして特に否定的な意見もないが、あまり心に残らなかった作品。
扱っているテーマと時代性が相まって絶賛の声が上がるのも分からなくはないのだが…。
この手のミュージカル映画は好きなジャンルなので楽しみに観に行ったが、どの楽曲も可もなく不可もなくといった印象で、ズバっと心を打ち抜いてくる歌が無かったことが残念な点だ。
その原因として、ミュージカル映画の割に、全体的に音が軽くて物足りなさを感じてしまったのは気のせいだろうか。音響に詳しい訳ではないし、映画館の設備や様々な条件にもよるのだろうが、ふと、この作品がNetfrix映画だということを踏まえると、映画館での上映を想定しておらず、自宅のTVスピーカーで観ることを前提としている音の作りなのでは・・・と思うくらい音に厚みがなかった。(少なくとも私にはそう感じた。)
メリル・ストリープ、ニコール・キッドマンの安定の演技、ジェームズ・コーデンの役柄は良かった。
Netflix鑑賞がおすすめ。
時代を反映
自分を大事に、他人に優しくなれる
プロムやゲイの意味を知った
爽やか元気
3.5
プロム?何それ?おいしいの?
ベテラン陣のコミカルな演技が楽しい
新年の1本目ははNetflix製のザ・ミュージカル。
正当派のミュージカルと知らずに観たが快作だった。
落ち目のブロードウェイスター(メリル・ストリープ)や日の目を見ることがないコーラスガール(ニコール・キッドマン)たちが、イメージアップを図るべく、ゲイの女性カップルが参加するならプロムを中止するというインディアナの保守的な高校に乗り込んで起こすドタバタ。
ベテラン陣のコミカルな演技が楽しいし、ゲイの女子高生を演じた二人の歌が思いのほか良く、何より楽曲がいいので気持ちよく観ることができた。
ちなみに昨年は『キャッツ』がイマイチだった。もしかしたら『ラ・ラ・ランド』以来のお勧めかも。ただしミュージカル全盛期の傑作群に遠くおよばないのも確か。このあたりが映画好きのもどかしいところだろう。
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