劇場公開日 2021年9月23日

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「夢をあきらめない…by 凛子」総理の夫 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5夢をあきらめない…by 凛子

2021年9月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

大好きな作家・原田マハさんの原作ということで鑑賞。

まさか、現在の菅総理の後釜選挙の真っ只中の状況を予想して、公開したわけでもないのだろうが、非常にタイムリーな公開。現実の総裁選挙にも高市氏と野田氏の2人が、総裁選挙に立候補しているが、多分、今回は初の女性総理は誕生は無い状況で、果たして今後、日本でもメルケル首相やサッチャー首相のような女性総理大臣が、誕生する日は来るのだろうか…。

内容としては、女性らしい視点での、働き方や福祉制度の充実、消費税の増税などをマニュフェストとして打ち出した相馬凛子が、連立政権を立ち上げ、総理大臣となる所から始まる。そして、政治には全く興味がない鳥類研究学者の夫・相馬日和が、いきなりファースト・ジェントルマンとなり、悪戦苦闘しながらも、総理となった妻を支えていくストーリー。

男女で区別するのではないが、女性ならではの総理大臣としての苦悩と共に、妊娠、出産といったプライベートに関わる葛藤を取りあげている。また、その夫の立場や言動、妻への接し方等、微妙に揺れる夫の心境についてのジレンマも、描かれている。いろんな意味で、女性首相誕生のシュミレーションとして、一石を投じる内容ともなっている。

この夫婦の場合、やはり行動的な妻と内向的な夫の凸凹夫婦として全編に描かれているが、2人が互いを信じ合う愛情の深さこそが根底に流れ、あの感動的なラストシーンへと導いている。そんな総理大臣であり妻役の中谷美紀の美しさと政治手腕振りは、役名通りの凛とした演技が際立っていた。そして、田中圭は、ちょっと頼りないが、年上の妻を心から愛し、寄り添える優しさを備える夫役にはピッタリ。

脇役の、余貴美子や片岡愛之助は、いけ好かない相馬財閥親子の役柄を、いい味を出しながら、しっかり笑いも誘ってくる演技は流石。そして、岸部一徳。彼は、腹黒い(原久郎)代議士役を演じたら、横に出る者はいませんね(笑)何となく、岸部さんの顔が『石破茂氏』に見えてきたのは、自分だけでしょうか…?

きっと、初の女性総理大臣誕生は、そう遠くない未来にあるのでしょうね。

bunmei21