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観ていてキツくなる作品でしたね……。本作はアメリカで実際に起こった母子行方不明事件を題材に、実際のニュース映像や捜査映像で構成されたリアリティに溢れたドキュメンタリー作品です。グロテスクなシーンこそありませんが、ショッキングなシーンも多いので鑑賞には注意が必要です。
個人的に、最後の字幕「ほとんど全ての家庭内暴力は男性が起こしている」に対しては強い不信感を抱きましたし、疑義を呈したいですね。女性による家庭内暴力だって世の中にあります。代理ミュンヒハウゼン症候群で子供に虐待をするのは大半が女性ですよ。最後の字幕で「何だこれ、ミサンドリー(男性嫌悪)映画だったんか?」と非常に気分悪くなりました。最後の字幕さえなければ、もう少し私の評価は高いものになっていたと思います。
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2018年のアメリカ合衆国コロラド州。妊娠中だった母親シャノンと二人の娘が突然失踪するという事件が起こった。残されたシャノンの夫は警察と共に彼女らの行方を追うが……。
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全編実際の映像を使っているのでリアリティが半端ないですね。母子が行方不明となって憔悴する周りの人たち、警察が自宅周辺の監視カメラなどを確認していく様子。そして疑いの目を向けられる夫。ミステリー映画のような緊迫感は正直ありませんが、ホラー映画でも見ているかのようなおどろおどろしい雰囲気が全編に渡って続きます。この雰囲気、結構好きです。
最終的に明かされる事件の真相。凄惨な事件なので極刑は当然だと思いますが、劇中に登場したシャノンから夫へのモラハラやヒステリーを考えると、事件を起こした夫の気持ちも少しだけ理解できてしまうというのが苦しいところですね。
全体的にはよくできたドキュメンタリーだと思いますが、先にも述べた終盤の字幕が本当に気に入らなかったです。映画を鑑賞された方は分かると思いますが、事件の犯人であるシャノンの夫は日常的にシャノンからモラハラのような扱いを受け、シャノンの言動によって両親とも距離が生まれてしまっていました。私は劇中のシャノンの言動を観て「よくこんな女と結婚したな」と零してしまうくらい酷かったです。この事件のきっかけとなった夫婦関係の悪化は夫婦の責任であって子どもたちはそれに巻き込まれてしまったように感じました。それなのに最終的に夫に全ての責任を押し付けるようなあの字幕。私は事件の概要以上に胸糞悪く感じました。
ピークエンドの法則という作劇の法則がありまして、劇中の一番の盛り上がりどころ(ピーク)と映画終盤(エンド)で映画の印象が決まるというものなのですが、その法則になぞらえて言えば本作は最悪のエンドだったと思います。