川っぺりムコリッタのレビュー・感想・評価
全172件中、21~40件目を表示
米の飯をこんなにも旨そうに食べるシーンを観たのは初めてだ。
人類が克服したであろうと言われ続けてきた問題に「飢餓」があった。でも問題は克服はまだされていないようだ。誰もがお腹を空かせて日々暮らしているように思えてきた。この映画を観ているとそんな気分になってきたんだ。
主人公の山田が最初の給料を貰い買い物して帰るシーンでそれまで欝々としたオーラ全開の足取りが妙に軽やかになっていて、次のシーンを予感させた。それは見事に裏切られ米を揉むシーンだった。そして実に嬉し気に水の量を調整する山田の顔のアップ。
もうこれだけで充分だった。この映画を創った理由が万感の思いで伝わってきた。
米さえあればそれでいい。日本人に生まれて良かったと思えた。
人工物に囲まれての暮らしが本当はいかに暮らしずらいのか、
息苦しくないかい?生きている実感はあるのかい?頭で考えてばかりいて幸せなのかい?
そんな問いかけばかりが聞こえてきた。この映画からは・・・・・
もうすでに飽和状態に陥ってしまっている人間が作り上げた世界はこれから先の行き場をなくしてしまったようだ。通り過ぎてしまうだけの死んだ情報に惑い、腐ったものを吐き出す力も失くしてしまっている。もはや山田くんのようにノタウチながら生きていくしかないようだ。
孤独を望み都会を抜け出して静かに過ごす。身体が千切れるしまうほどの寂しさと空腹を体感してしまえば、ひょっとしたら細やかな幸せを掴むことができるかもしれない。
政治や科学では見ることのできないものをこの映画で観たような気がする。
キャスティングがいいな
死に寄り添う生
けっこう深い内容だけど、暗くなく、独特なキャスト陣のキャラクターに...
宙を泳ぐ金魚が見えた!! 人が亡くなること、食を通して生きていく幸せを描いた作品🎆
富山の自然の山、川べりにある電話は
亡くなった親族に通じているかのように
見えるストーリーでした。
ハイツムコリッタに来たときは
なるべく人と関わることを避けていた青年の
山田が、島田と出会ったことがキッカケに
して、段々とささやかな幸せを感じる状況が
図々しくもあり、可笑しく思いました。
人が亡くなり、見送るカタチは風変わりに
見えても心が込もっていました。
食事や作物を育てることを通して、生きていく
術を学ぶことができました。
大家の南さんや、工場の社長は山田を偏見の
無い目線で見てくれていました。
汗だくになる夏に、墓石を売る親子の姿は
人生の最期を安心感で迎えたいと思える
場面でした。
島田が食べようとしたイカの塩辛が
『別物』だったシーンも面白かったです。
夕焼けの空の下、お見送りしたシーンは
宙を泳ぐ金魚が見えた!!
ことをイメージする
人間の魂が空に舞っていたように見えました。
奥の深い作品だった
もっと他の作品も観たくなりました
大学でアパート暮らしの頃、敷地のいちばん手前にある私の部屋にいちばん奥の部屋の住民である同級生のK君は、毎日まず我が家にあがって冷蔵庫を開けて中の飲み物を断りもなく勝手に飲むというルーチンでした。
実家から食材が送られてきた時もなんだか鼻が効くのか必ず夕食時に訪れてきて料理を堪能して部屋には寝るためだけに帰るという毎日でした。
まさにこの映画のムロツヨシさんそのもの!図々しさもルーチン化すると恐ろしいもので、年に数回様子を見にくる両親がいても勝手に冷蔵庫を開けて飲む習慣は出てしまうもので、両親も呆れていたことを鮮明に記憶しています。ところが当の本人は「そんな事したっけか?」といけしゃあしゃあと言ってのけます。ムロさんとマツケンさんと同様(?)今も腐れ縁で何故か喧嘩しながらも付き合いが続いてます。
そう本題ですが先週『波紋』を観てとても興味が沸いた荻上監督作品を是非観たいなと思った矢先、WOWOWで狙ったかのように(間違いなく狙っていたでしょう!)この映画が放映され思わず観入ってしまいました。前半のなんだか不思議な空気感、登場人物に首を傾げながらも観ていると世間と距離を置こうとしていたマツケンさんがムロツヨシさんや満島ひかりさん、柄本のお兄ちゃん、寅さんちの満男くん(というより純の方がメジャーかな?)たち隣人たちのおかげで自分自身を取り戻す姿はとてもほっこりと気持ちのいいものでした。
緒方直人さんも大事な役どころで、かつてドラマで(今ならストーカー規制法に引っかかるだろう)キョンキョンに一目惚れしてしつこく追っかけるお兄さんも、そういえば蛍の初恋の相手でしたよね!なんだか誰にもわかってもらえそうもないのでこのあたりでやめときます。
総じていえば『波紋』とは違うものの登場人物たちの心の中を見事に描写できる類まれな才能を持った監督さんだなぁってつくづく思いました。マツケンさんもムロさんも満島さんもとってもいい役者さんですね。面白かったです。もっと他の作品も観たくなりますね!
予想を覆す堂々の22年邦画No.1
2022年劇場鑑賞77本目 名作 80点
大傑作です
当方劇場の上映前予告で公開前にやたら見るし広告力入れてるけど、テーマといい規模小さい感じがして正直つまらないだろうしスルー確定でしたが、他作品鑑賞しに劇場に訪れ会いた時間に見たら、とんでもなく大正解。
予想を大いに裏切り超えてきたという意味でも今作は2022年劇場鑑賞103本の中で純邦画1位の作品です
まず登場人物みんな過去に問題なり思いを馳せる出来事があって、その中で生きづらさを感じながら日々に幸せを感じ生きていく。その哀愁と間とやり取りがこちらに絶妙なユーモアを届けてくれます
すき焼きのシーン、隣人が勝手に忍び込むシーン、ご飯が炊けてこちらまで香りが伝わるシーン、他にも沢山名シーンがありますが、一番は満島ひかりが演じる亡き夫を今も想うシーンで、石を身体中に当てて色々なものを感じているシーンがもう素晴らしすぎる。
2022年一番はもちろん、生涯でも指折りの名シーンであり印象的なシーンになりました
早くまた見たいので、アマプラかネトフリ、Huluで配信してほしいです
是非!
映画だから笑いながら観ていたが、隣人があんな人間だとかなり鬱陶しい...
荻上直子監督なりの死生観
監督と脚本は『バーバー吉野 』『恋は五・七・五!』『かもめ食堂』の 荻上直子
前科者の山田はほぼ無一文で富山に引っ越してきた
イカの塩辛を扱う沢田水産工業に就職した山田は社長の紹介で平屋建てのアパートが立ち並ぶハイツムコリッタに住み始める
ある日市役所から父が亡くなったことを知らされる
両親の離婚で4歳のときに生き別れた父はアパートで孤独死で夏の盛りで腐っていた
山田は渋々だが仕方がなく父の遺骨を受け取った
荻上直子監督らしいほのぼのとした視点で死を見つめている作品
豪華な顔ぶれ
満島ひかりと松山ケンイチとムロツヨシと吉岡秀隆の並びに邦画ファンなら観たくなるはず
いかにもウマ娘が好きそうなアニメ原理主義者を除いて
薬師丸ひろ子なんて声の出演だけだし田中美佐子に至ってはほんのワンシーンのちょこっとだけ
溝口親子がいい味出している
久々に墓が売れて溝口親子が豪勢にすき焼きを食べようとしてると島田山田南が次々上がり込んですき焼きパーティーになるシーン好き
堤下に説明を受け父が最期に住んでいたアパートの一室を土手の上で見つめる山田を演じた松山ケンイチの表情が好き
南が夫の遺骨を口に入れるのはまだいいんだけどそれ以外はちょっと・・・
南が山田を慰めるシーンにジーンときた
最後の坊主を先頭に粉砕した遺骨を撒く葬式パレードのシーン大好き
髪型を変えると人の印象は変わる
当初は黒田大輔と気づかなかったがよく観たら黒田大輔だった
役作りで丸めたんだろうな
荻上直子監督作品といえば小林聡美とかもたいまさこだけどそれはもう昔の話だね
配役
引っ越し沢田水産工業で働き始めたハイツムコリッタの住人の山田たけしに松山ケンイチ
ハイツムコリッタで山田の隣に住んでいる図々しいミニマリスト島田幸三にムロツヨシ
5年前に夫を癌で喪くし女手一つで娘を育てるためハイツムコリッタの大家として生計を立てている南詩織に満島ひかり
沢田水産工業で働くベテラン社員で余計なこと言わない中島に江口のりこ
山田の父の遺骨を手渡した担当の市役所社会福祉課職員の堤下靖男に柄本佑
丘の上の大きなお屋敷に住み犬を溺愛している大橋に田中美佐子
島田の幼馴染で坊主のガンちゃんに黒田大輔
命の電話相談員に薬師丸ひろ子
タクシーの運転手に笹野高史
イカの塩辛を製造している沢田水産工業社長沢田に緒形直人
幼い息子と2人で墓石の訪問販売をしている溝口健一に吉岡秀隆
まったりと流れる時間の中で…
ほんの短い間(ムコリッタ)の幸せでも、それを大切に噛みしめながら生きることが大事だよ…そんなメッセージの作品だったでしょうか。
こういう「時間の流れのまったりさ」というのは、荻上直子監督の作品に通底する雰囲気だったかも知れません。
「川っぺり」は、増水すれば、たちまち危殆に瀕してしまうような、ひとときの脆い(不安定な)安逸の意味だったのでしょうか。
とかく気忙しかったり、過去や将来に不安を抱えたままになりがちな昨今ですが、肩に力がはいってしまったり、奥歯の噛み締めがきつくなったりしたときには「本作のような幸せ・満足を思い出せ」という監督からのメッセージだったのかも知れません。
良い作品ではあったと思います。評論子は。
(追記)
遺骨をそのまま捨てると犯罪だが、粉々にすると違法ではなくなるというのは、「自然葬(散骨)」のことでしょうか。
確かに、墓地への埋葬でなくても、節度をもって行う上では、法律違反にはならないというのが、厚労省筋の見解であったと思います。評論子も。
難しい、簡単じゃない。
平凡 日常を臨んで何が悪い
普通に過ごして何が悪い。田舎に暮らしてご飯を炊いてお風呂に入って牛乳飲んで炊けた米見て幸せ感じる。こんな平凡で何もないそんな生活でも幸せじゃーないですか(*˘︶˘*).。.:*♡そこに愛が無かろうと飯が不味くなること無いし幸せが逃げることだってない。普通に仕事して普通に家に帰る。隣の島田さんが上がり込んでお風呂入って炊飯器開けてご飯よそって一緒に食べるこれもまた幸せな事一緒にご飯を食べることがどれだけ幸せか。改めて考え直されそしてほんわかする映画それが川っペリムコリッタ人は死ねばその後の金がいくらやらそんなん考えるだけで腹が減る。
葬式・火葬に墓石に・・・金がかかりゃー飯が不味くなる。人には人の人生が自分には自分の気持ちが、
そんなポカポカな気持ちになりました。
そんでムコリッタってなんだろな🤔笑
なんだろう。ほんわかな気持ちになる。
隣人との温かな触れ合いに、前科者で孤独だった山田とともに、私の心がほぐれていくのだ。
ムロツヨシ演じる島田が良い味を出している!毎日、風呂を借りに来て、勝手に冷蔵庫のビールを飲み、ごはんを食べる。ズケズケと遠慮のない彼に最初こそ、疎ましく思う山田だったが、次第に心を開いていく。
山田の表情もいい!松ケンは、やはり演技が上手いなぁと思う。節目がちな目とギュッと結んだ口に、どこか人に心を許さず、殻に閉じこもっている孤独な雰囲気が醸し出す。そんな彼が島田や南さんにクスリと笑い、心を開いていく様子が素晴らしい!
そして、ご飯を貪り食うシーンには「生」を感じる!給料日に稼いだ金で買った米。炊き立てのごはんの良い香りが、ここまで感じられる!
「僕はお金がありませーん」と皆ですき焼きを食べるシーンも好き!家族でなくとも、みんな団欒で食べる食事は、一際美味しい!
生活の中に、小さな幸せが転がっていることを気づかせられる、素敵なムービーに出会えました!
松山ケンイチ、ムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆、江口のりこ、北村光...
松山ケンイチ、ムロツヨシ、満島ひかり、吉岡秀隆、江口のりこ、北村光授、松島羽那、柄本佑、田中美佐子、薬師丸ひろ子、笹野高史、緒形直人
キャストを見て、視聴したいと思った。号泣できると思って、準備した。
で、松山ケンイチ、ムロツヨシ、満島ひかりは主役級
吉岡はそれを支えて
江口はひよっとして?柄本はさっきの?田中美佐子は記憶にない。笹野は発見!薬師丸?
大号泣というよりは、ほっこりできる優しい映画でした。
全172件中、21~40件目を表示