劇場公開日 2022年9月16日

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「「無縁社会」への処方箋」川っぺりムコリッタ chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「無縁社会」への処方箋

2022年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

NHKのドキュメンタリーで、官報に載っている「行旅死亡人」を追跡し、遺骨の引き取り手のない人たちの生前を取材した特集番組「無縁社会」がかつてあった  「無縁社会」はNHKが作った言葉ではあるが、家族がいても自分から関係を閉ざして亡くなっていく人がたくさんいて、市役所の福祉事務所には引き取り手のない遺骨が管理されていることも番組で伝えられていた
山田さんは受け取りを拒否することもできたであろうに、役所からの連絡に応じて遺骨を引き取る
出所後誰とも関係を拒絶して生きていくはずだったのに、ムロさん演じる島田さんのしつこい「押し」によって、他人を受け入れる素地が作られていったのかもしれない
「個人の生活」を大事にしたいと多くの人が思っている反面、ああいった人間関係に憧れを感じることもある 子どもやまわりに迷惑をかけたくない、と思いつつも(「PLAN75」の考え方だろうか)「無縁社会」の中で生きていかなくてはならなかったり、山田を刺そうとした蚊がたたき殺されるように「突然の死」を迎えるかもしれない、という恐怖
煩わしい関係を受け入れたくもなる、という思いは年齢のせいかもしれない
(10月2日 イオンシネマりんくう泉南にて鑑賞)

chikuhou