「賛辞が多すぎて文章がまとまりません」川っぺりムコリッタ やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
賛辞が多すぎて文章がまとまりません
題名からして、ちょっとスカした印象?でしたので、たぶんほんわかした婿入りコメディ?かなんかだと思って鑑賞いたしました。
ムコリッタ=仏教用語で時間の単位。今の時間で表すと約48分・・・映画冒頭で意味ありげに説明文提示でいきなり釘をさされます。勘違いすんな、と言わんばかりに。
釘でちょっと、さされるだけでしたらまだ余裕だったんですが、どことなく不安感が漂う殺風景なシーンの連続で松山さん演じる主人公、山田の動作ひとつ、かけられる言葉ひとつが限りなく非常に重くのしかかり・・・画面に釘付けにならざるをえません。ムコリッタ荘(でしたっけ)は、廃墟一歩手前だし。
で、ムロツヨシさん演じる、アパートの隣人のいきなりの登場でしょ?
ここ笑っていいんだか、新たな災難の襲来(笑)なんだかこの時点じゃ想像もつきませんでした。
しかし・・・しかしです!映画を鑑賞後にその戸惑いや不安感は180度方向転換し賛辞が頭を渦巻きました・・・そして溢れ出ました。
いやはや、よくこの重くて深くて暗くて決して正解がないテーマを、いろんなとっちらかったエピソード(笑)をからませて軽妙に表現し最後にはきっちり収束させながらひとつの映画作品にしたもんだ、と深く感心いたしました。
原作、脚本もされている荻上直子監督は、かなりの力量と技量と確かな感性をお持ちだと思いましたよ。偉そうなこと申し上げて済みませんが。
特に共感したのは日本で栽培され調理され食卓に上がる毎日の食事、おやつなどが、人が生きる上で大切な原動力、小さな幸せの元になっているという思想です。
他にも脚本、演出(音楽)など、たくさん褒めることがありすぎで文章がまとまらないし、あまり書きすぎるとネタバレしますのでこのあたりでレビューは終わりにします。
ぜひ劇場でご鑑賞ください。
素敵なコメントいただき、嬉しく思います。ありがとうございます!
食事のシーンで皆さん、本当においしそうに召し上がりますよね。それ見ただけで私は幸福に包まれます。
白いご飯と少しのおかずがあれば、そしてたまに一緒に食べる人がいて(いないと意外に寂しくて)…
人によって少しは形が違うかもしれないけれど、幸せを感じるのって、そんなに難しくないはずだよ。
そんなふうに語られている気がしました。おっしゃる通り、こんなにとっちらかってるのに、ゆるくて静かなのに、とても深く刺さってきました。