「教育や保育を学ぶ人に見てほしい」リトル・ガール ぴかさんの映画レビュー(感想・評価)
教育や保育を学ぶ人に見てほしい
学校や周りの人にサシャを女の子として認めさせるという目的が一貫しているため、とても見やすい映画です。
映像と音楽が美しいので、フィクションかドキュメンタリーか分からないというレビューにも頷けます。
親が何度訴えてもなかなか動こうとしない学校側に憤りを感じ、学校サイドの動きがどのようなものだったのかが気になりました。
サシャの入学やサシャの両親の訴えに対して学校の教師たちにはどのような変化があったのか。
対してサシャの両親は本当に子ども思いの素晴らしい親だと感じました。
多くの場合、まず親がトランスジェンダーに理解がないのではないかと考えられます。
もしサシャと同じ年齢のときに私が、「女の体だが心は男だ」と親に言ったところで嘲笑われるか無視されるかで終わります。
サシャも2,3歳の頃に親へ「女の子になりたい」と言ったときには親側も受け入れる準備はできておらず、サシャが繰り返し親へ訴えて初めて親が考え始めたのです。
親が共働きだとしたら尚の事、親からこれほどまでのトランスジェンダーへの理解も援助も得られないでしょう。
ここまで親身になってくれる親や素晴らしい医師がいたことは本当に幸運です。
この映画でサシャに対して一番酷い対応を見せたのはバレエ教師でした。
10歳にも満たない子どもを他の親子もいる前で押して外へ追い出した挙げ句、嘲笑いながら扉を締めるなんて、中高生の虐めと変わらないです。
一生のトラウマになってもおかしくない出来事なのですが、サシャにはこれから、これと同じかもしくはこれ以上に酷い体験が待っているのかと思うと恐ろしいです。
大学で保育を学んでいた身としては、このような映画が話題になって、トランスジェンダーへの理解がより広がればうれしいです。
教育を学んでいる人にはもちろんのこと、これから親になる予定の人、現在子育てされている人、これからを生きる子どもたちにも是非見てほしい作品です。
サシャの周りにいるのは、あなたかもしれません。