林檎とポラロイド

劇場公開日:

林檎とポラロイド

解説

ギリシャの新鋭クリストス・ニクが長編初メガホンをとり、記憶喪失を引き起こす奇病が蔓延する世界を舞台に描いたドラマ。ある日突然記憶を失った男は、治療のための回復プログラム「新しい自分」に参加する。彼は毎日送られてくるカセットテープに吹き込まれた内容をもとに、自転車に乗る、仮装パーティで友だちをつくる、ホラー映画を観るなど様々なミッションをこなしていく。そんな中、男は同じく回復プログラムに参加する女と出会い、親しくなっていく。男が新しい日常に慣れてきた頃、彼はそれまで忘れていた、以前住んでいた番地をふと口にする。新しい思い出を作るためのミッションによって、男の過去が徐々にひも解かれていくが……。ケイト・ブランシェットが絶賛し、製作総指揮に名を連ねた。

2020年製作/90分/G/ギリシャ・ポーランド・スロベニア合作
原題または英題:Mila
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2022年3月11日

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(C)Boo Productions and Lava Films (C) Bartosz Swiniarski

映画レビュー

4.5自分を作っているものは記憶の集積なのか?

2022年3月31日
PCから投稿

ケイト・ブランシェットが惚れ込んだというギリシャ人監督のデビュー作。まるで疫病のように突然記憶喪失になる病が流行する世界。ひとりの男が保護され、身元不明の記憶喪失者として、自分の人生をやり直すプロジェクトに参加する。自転車に乗る、ハメを外して踊る、高いところから飛び降りる、などなど、次々と課せられるミッションは時に奇妙に映るが、人生なんて筋が通ったものではなく、果たして自分の人生はなにをもって定義されているんだろうかと、根源的な疑問が湧いてくる。しかし、次第にこの物語が描く本筋はそこではないと気付かされる語り口の鮮やかさ。思い返せばヒントはあちらこちらにあったのにと、気持ちよく作り手に転がされる。そして、それでもなお、自分に置き換えることのできる普遍的な悲しみを描いていたこの作品を、好きにならずにいられないのである。

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村山章

4.0ギリシアから届いた不思議な肌触りの物語

2022年2月28日
PCから投稿

ギリシアから不思議な肌触りの映画が届いた。鑑賞中はどこか飄々としたトーンで物語が展開し、その語り口に思わず口元が緩んでしまう人も多いだろう。ただし、本作の描く状況は極めて特殊なものだ。舞台となるのは、記憶を失う奇病が蔓延する世界。日々多くの患者が身元不明となって保護され、記憶が戻らない人のために新たな生活をスタートさせるための訓練プログラムさえ用意されている。主人公のヒゲモジャな中年男性もまた突如として記憶喪失を発症し、このプログラムを受講することになるのだが・・・。序盤では、記憶を失った者たちが人との距離感や関係性の構築を学んでステップアップしていく姿に主軸が置かれているように思えるのだが、最後まで見通すと印象が大きく変わる。あまり説明的な描写がなく、サイレント映画のように動作だけで理解しうる場面が多いのも特徴的。これが長篇デビューとなるニク監督がいかにキャリアを築いていくのか楽しみだ。

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牛津厚信

2.5上書き保存できません

2024年10月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

私にはちょっと退屈に感じました。奇病だからといって変なプログラムに従うのはコロナ禍を思い出しますね。記憶はパソコンと違って上書き保存できない、、、です。そんな都合良く作られていないことを言いたかったのかな?

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ミカ

4.0L知っているか、記憶喪失の男は林檎しか食べない

2024年8月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

めっちゃ好き。
静かでエモい雰囲気が漂う映画。
ポラロイドを意識した画角も素敵。
撮り方もいちいちお洒落な感じがする。

主人公の男は無口だけど、どこか憎めない。
一生懸命で不器用な姿にクスッとさせられる。
自転車で爆走してるところとか宇宙服のコスプレしてるところとか、みんな絶対口角が上がっちゃうと思う。

ただ、映画のラストで男の見方が大きく変わる。
あのシーンはそういうことだったんだとひとつひとつパズルが解けていく感じ。
で、もう1回最初から観たくなる。

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JBはただの映画好き。