ソング・トゥ・ソングのレビュー・感想・評価
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実験性に満ちた愛の物語
テレンス・マリックの映画は、確たる脚本やストーリーに基づいているものもあれば、一方で、ほぼ脚本がない状態で俳優たちの即興性に委ねて映像を撮り貯めていったものもある。音楽業界を舞台にした本作はその典型だ。マリック監督や撮影のルベツキ、さらにはこうして集結したことが信じられないほどの豪華俳優たちが、映像の新たな可能性を求めてその瞬間瞬間、カメラの前で全身全霊を捧げる。が、タイプとしては実験性が高く、商業性を度外視しているというべきか。ストーリーラインによって観客を惹きつける作品とは根本的に違うから、これについていくには観客としてもある種の忍耐や覚悟が必要だ。その点、意識やイメージの連鎖にうまくシンクロできるかどうかが評価の分かれ目となろう。個人的には「聖杯たちの騎士」よりは楽しめたものの、まだまだ全然理解が及ばない。作り手が求める意識や感覚のレベルに追いつくまでには、もっと修行が必要なようだ。
世界で賛否両論のテレンス・マリック監督作。私は初めて本作でテレンス・マリック作品を評価できました。
本作は、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した「ツリー・オブ・ライフ」やベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した「シン・レッド・ライン」など、映画業界では名高いテレンス・マリック監督作です。
ただ、正直なところ、これまで私はテレンス・マリック監督作は非常に苦手で評価できませんでした。
最大の要因は「映像ポエム」というか、脚本が無いに等しいような作風だからです。
ところが本作では、初めて「あ~、これは凄い!」と素直に心が動かされました。
これは、ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリング、ナタリー・ポートマン、マイケル・ファスベンダー、ケイト・ブランシェットといった「超豪華俳優陣」×「エマニュエル・ルベツキによる撮影」という結果だと思います。
エマニュエル・ルベツキは、2013年の「ゼロ・グラビティ」、2014年の「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」、2015年の「レヴェナント: 蘇えりし者」と、史上初の3年連続でアカデミー賞で撮影賞を受賞した、「世界一の映像作家」と言えるでしょう。
本作で驚くのが、どのカットも「信じられないくらいの画」になっているのです!
ルーニー・マーラなども本当に美しく、人物、風景など、とにかく美しすぎます。これは、日本の映画監督も見習うべきところが多数あるでしょう。
例によって脚本は無いに等しいですが、それでも本作は、まだまとまっていてキチンと主題は伝わるようになっていました。
斬新な撮影方法でアカデミー賞の撮影賞を受賞した「ゼロ・グラビティ」の簡単なパロディがあったり、エマニュエル・ルベツキの凄さが存分に楽しめる映画だと思います。
また、「ラ・ラ・ランド」と同様にライアン・ゴズリングは音楽を仕事にしているので、そこも楽しめます。
点数は難しいですが、やはり映画は脚本こそが最も重要な要素なので、その面では1.0点くらいですが、映像、演技は満点で、結果として3.5点と、かなり高い点数になりました。
特にアート系の作品が好きな人は是非見てみてください。本音では、映画ファン全員に見てもらいたいレベルの作品でもあります。
うーむ。。。
個人的ライアンゴスリング祭りをしてるので、ゴスの作品見て回ってるのだけど...うーむ。大体一人、お目当ての俳優いればそれだけで大体見てられるものだけど、うーむ、これはなんとも言えなかったなあー
わかりやすく暗い訳でもなく、かといって明るい作品ではない。
雨は降らないけど、なーんか降りそうな雲だな〜、、、みたいな。
36.8℃、37.2℃の微熱〜〜みたいな。
なーーーーんかそういうところを2時間彷徨ってる感じ。笑
セリフはあまりなく、ゴスのシーンはほぼラブラブなシーン。それはとても眼福だったが、ルーニーマーラはどの映画でもちょっと暗さを感じるというか、あの掴めそうで掴めなさそうな感じが、ちょっと得意ではない。
自身もそれを自覚してそう、というか。あの不思議な闇みたいなのが彼女の持ち味なんだろな。私はスコーン!と晴れてる女が好きな傾向があるから、ちょと苦手なのかもしれない。これは完全に好みの問題。
ナタリーポートマン綺麗だったわ〜。どうした?ってくらいスタイルも仕上がってたわ。ウェイトレス姿、ピンクのピチピチニットにデニムショーパンは、THEナイスバディ、って感じでしたわ。
40代ライアンゴスリングの良さをゆっくりスローペースで眺めるにはいい映画だが、んーなんとも曇りな映画でした。
ルーニーマーラ演じたフェイが、なんか苦手だったのがしんどかったんだろな。
ひたすらルーニー・マーラの美しさに見惚れる映画
テレンス・マリック監督の作品は観たことがありませんでしたが、
この構築の仕方は衝撃でした。
美しい映像を切り貼りし、時間軸も過去・現在入り乱れ、セリフもあったりなかったり、
ストーリーを認識するのに重要なのがルーニー・マーラたち主役級の語りだったり
と、まるでDTMで音楽をつくったようなイメージの映画でした。
ラストで虚栄のない、シンプルな生活のうえに成り立つ幸せみたいな
着地をさせているのは、好感が持てましたけれど、
それまでの音楽業界の話はなんだったんだろう?と一方で思う自分がいました。
と言いますか、本作はひたすらルーニー・マーラ、ナタリー・ポートマン、
そして私としてはケイト・ブランシェットの美しさを堪能する映画であり、
それ以上も以下もありませんでした。
もうこれだけで幸せな気持ちになりましたね。
それに
マイケル・ファスペンダー、ライアン・ゴズリングが出ていれば、
多くの方が期待してしまうのは間違いありませんが、
この構築の映画だとすると、駄作の烙印を押してしまう方もたくさんいらっしゃることでしょう。
実に斬新で挑戦的な映画作品だと思います。
配信で集中力なく観てしまったので、これが劇場だったらもっと違った印象を受けたかもしれないです。
映像は相当きれいだが…
同じ監督の同様手法による“詩的一人語りを多用した戯れ映像芸術”も3作目となると飽きる
ミュージック・ビデオ?名作?ゴミ?!
2017年(アメリカ)テレンス・マリック監督作品。
ルーニ・マーラー。
ライアン・ゴズリング。
マイケル・ファスペンダー。
美しい3人のアクターが自由に羽ばたく。
感じる映画。体験する映像。
そんな映画です。
世界中の景観。風景の中を自由に遊ぶ、跳ねる、歌う映像。
ルーニーと手を繋ぐゴズリングが、次の瞬間ファスペンダーに変わっている。
そんな映像が何度も何度も繰り返される。
ゴズリングとファスペンダーはルーニー・マーラーを愛している。
つかめそうで、つかめないルーニー・マーラー。
夢のように儚い彼女は、つかもうとするとスルリと逃げてしまう。
限りなく美し映像がどこまでも続く。
撮影は「ゼロ・グラビティ」のエマニュエル・ルベッキ。
監督は「天国の日々」「ツリー・オブ・ライフ」のテレンス・マリック。
テレンス・マリックは苦手でしたが、この映画は好きです。
なんと言っても映像が心地良い。
水をゴクゴク飲むように自然な体験でした。
そしてルーニー・マーラーの美しさに感動さえ覚えます。
ゴズリングの所作の美しさ。小さな仕草がバレリーナのようにポーズが決まる。
ルーニーをゴズリングと分け合うようなファスペンダーと3人。
ファスペンダーはやや粗野で荒々しい=(現実)
金も地位も権力もすべてを持つ男。音楽プロデューサーです。
ゴズリングは夢みがち=(理想)
歌手を目指すが売れない名もなき男。
ストーリーはほとんど意味がない。
それでも映画に終わりはある。
(ラストは、思いがけなく現実的に着地して、ふふふ、と微笑みました)
エッチなライアンゴズリングを見たいだけ♡
独白スタイル…
台詞少なめ、ドキュメンタリー風、映像美で見せる実験的な取り組みで感受性高い人には伝わるのかも知れないが、全く伝わらなかった。この豪華出演陣なら、もっと普通にやれば伝わったのではないか。しかし、ストーリー的にも面白くなかった。変態金持ち男、才能あまりなく純情男を愛しながらも、金や名声、つまりは自己欲に走り、変態男の言いなりになるビッチ、変態男とのそもそもの環境の違いがありながら、結婚してしまい、今更ながらそれに気付き自殺してしまう女。結局より戻すが、うまく行かないかないと思う。
難しいけど、綺麗だった
テレンス・マリック印
音楽業界でのラブストーリーを綺羅星の如きスターを集め描いている。
女たらしの大物プロデューサーをマイケル・ファスベンダー、売れないミュージシャンをライアン・ゴズリング、二人の間を揺れ動く女がルーニー・マーラ、その他主役級が多数登場。
女優陣が美しく撮られているているので眺めている感じかな。
まさかのあの人も。
何だこれ…?
予告編は、それなりに、面白そうだったのになぁ。…と言っても、あまり、ストーリーへの期待感はなく、ナタリー・ポートマン、ルーニー・マーラ、ライアン・ゴズリングという、好きな俳優さんが出演してたから、観ようと思ったんだけどね。
ちょっとドキュメンタリーっぽい撮影の仕方してて、手ブレとかしちゃうから、映像としては観にくかったな。
それから、ストーリーは、多分、時系列じゃないと思うんだよね。髪型が変わるとかの変化が少ないから、分かりにくい。そして、ただ、ただ、4人の恋愛模様をダラダラと流すだけ。共感も同調もできない。
観て良かったと思ったのは、この美男美女を観て、目の保養になったことくらいですね…。はぁぁぁ、残念。
素晴らしき折り紙映画
これは折り紙映画である。
客は投げられた言葉や映像という折り紙を、自分の自由な意思で折って鑑賞することができる。
それを象徴するように演者たちは自由に画面のなかで踊る。彼らは「筋が無いに等しい」余白の中にいる。彼らには脚本ではなく自由が与えられたのだ。
監督は詩人だ。詩人は言葉を紡ぐが、その言葉で他者を縛るのではなく自由を与える。散らばったドングリや木の葉が子供たちの創造性を作り出すように。
折り紙は本来、日本人の作った遊びだった。しかし私達は折り紙で遊ぶ余裕を忘れてしまったように思う。私達の生活には余白がなくなってしまった。
そう感じていた私の目には他の映画は忙しないように感じたのだ。筋を運ぶために、巨大な一つの構造物を作るために動いている人々の姿が。
この映画はそれを映し出してくれた素晴らしい映画である。
まだ観てないけど。
不思議な作品だが悪くないと思う
かつてのパンクの女王パティ・スミスが出ていて少し驚いた。以前レコード屋で何も知らないままに、ただ痩せ細ったジャケット写真が気になって「フレデリック」を買って聴いた記憶がある。
「フレデリック」は軽快な明るい歌で悪くなかったが、B面の「不審火」(「Fire of unknown origin」)がなんとも異様な曲で、低い声で唸るように歌われていたのが記憶に残っている。引っ越しで失くしてしまったが、今ならYou Tubeで聴けるのだろうか。
本作品はストーリーのない叙情詩のような映画である。窓から外を眺めるシーンが多く、その度に俳優の顔がアップになる。そしてモノローグ。その多くは内省的で、心象風景をそのまま言葉にしているようである。しかしモノローグだからどれも一方的で、会話から生まれる飛躍はない。登場人物の台詞の多くが監督・脚本のテレンス・マリックの独白だから、飛躍は必要ないのだ。
一見金持ちの若者たちの道楽の風景に見えるが、よく見ると男女ともに引き締まった身体をしているのがわかる。それなりにストイックな生活をしているという訳だ。食べ物を川に投げ捨てたり、レストランで料理を沢山残したまま立ち去ったりするところから、食に対する執着はないようだ。しかし性に対する執着はかなりのもので、性を讃えたり、性を弄ぶことを非難したりする。二律背反のようなモノローグは、どれもテレンス・マリックの精神性なのだろう。自分の中の矛盾を登場人物の対立する考え方で表現する。
ストーリーがわかりにくい映画だから、苦手な人はたくさんいると思う。しかしタイトルを「Song to Song」にしたことと、イギー・ポップやパティ・スミスを登場させているところから、人生にとって音楽が重要な役割を果たしていること、音楽の趣味も女性の好みも変化していくことを表現しているのが判る。ケイト・ブランシェットのアマンダからルーニー・マーラのフェイへと女性歴が変遷し、一方のフェイも喪失感から同性愛へと走りそうになりつつも、パティ・スミスの音楽と出逢って心が空っぽにならずにすんでいる。誰だか不明の年老いた女性はアルツハイマーの前兆に怯えて泣き叫ぶ。
これらすべてが美しい景色の映像とともに遠景で、あるいはアップで執拗に繰り返されるものだから、人によってはお腹いっぱいになったり眠くなったりするだろう。当方も少しそういう部分があったが、テレンス・マリックの深くて複雑極まる精神世界をゆらゆらと旅をするような感じの心地よさもあった。不思議な作品だが悪くないと思う。
テレンス・マリック
撮影はエマニュエル・ルベツキ、役者はすべて大作で主演を張れる大物ばかり。
巨匠テレンス・マリックだからこそ、こんな贅沢な作品が撮れるのだろう。
作風は「聖杯たちの騎士」に近い。きっちり脚本を決めて撮ったというより、全体の大まかなプロットだけ決めて、あとは役者のアドリブが多めで散文詩風の演出になっている。
そしていつものボイス・オーバーのセリフの挿入。
商業作品としてはヒットしないと思うが、一冊の私小説を読み終えたような充実感はある。
さらにルベツキの撮影の美しいこと。
ホントにキレイ。
それと、なにげに役者の衣装がカッコいい。
ルーニー・マーラーの黒の細いパンツがカッコいい。
ファスベンダーの黒いジャケットがカッコいい。
ライアン・ゴスリングの青いシャツがカッコいい。
ケイト・ブランシェットの黒いアウターがカッコいい。
さらりとあんな着こなしができるカッコいい大人でありたい。
それと建物やインテリアのデザインや配色がモダンでミニマルでカッコいい。
イギー・ポップやパティ・スミスの出演も見どころ。
物語の展開はプロットの説明不足もあり途中ダレるが、最後で泣いた。
心の深くつながれたパートナーと出会い、結ばれ、暮らしていけることの幸福。
幾千幾万の物語で、繰り返し繰り返し語られてきたテーマなれど、とっても大事。
最後のセリフ 「This, Only This」。
たったこれだけ。
ただ、あなたが隣りにいるだけ、ただ、それだけで。
ありふれた日常が満たされたものになるのだから。
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