記憶の技法のレビュー・感想・評価
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失われた記憶を求め道連れ福岡ミステリー旅行
2021年映画館鑑賞9作品目
1月11日チネ・ラヴィータ
原作未読
事前情報は全くなく『ソロモンの偽証』の頃から今回主演の石井杏奈が好きだから迷わず観ることにした
予想していたより面白かった
イオンシネマで全国津々浦々隈なく大々的に上映してほしかった作品
解説を読んでいるだけで内容がぶっ飛んでいることがわかる
設定にいろいろと無理がある
解説以外にも大家の行動や大家の息子が地元に戻ってくるところとか華蓮が釜山にオイキムチを買いにいくところとかツッコミどころは多い
穂刈の青い目の設定にしたって必ずしも必要だと思えない
でも面白ければいいのである
キン肉マンだってそうだろう
おそらく原作の漫画もだいたいこうなんだろう
2人で修学旅行をキャンセルして福岡に行くところから俄然面白くなる
ネタバレになるのでこれ以上は詳しく書かないがこれはなかなかの傑作
最初は学園ラブコメものかと思ったが大間違い
ミステリー&サスペンス
映画館で多くの人に見てほしいな
おすすめです
タイトルなし
皆さん書かれてる通り、突っ込みどころ満載でした。
釜山に行く理由、犯人石田さんは殺すほど花蓮ちゃん一家を憎んでたのか..等々書ききれません。
でも親子の問題や、犯罪被害者・加害者の家族問題まで絡めて、最後はキレイにまとめてあるなと思いました。
とにかく花蓮ちゃんがいい父母に出会えて、幸せに育ってて何よりです!
気持ちのいい作品
テレビドラマの《まどろみバーメイド》が面白くて池田千尋さんを知ったのね。そのあと監督やった《スタートアップ・ガールズ》が渋く面白くて、最近の《空に住む》の脚本がすごかったの。それで、この作品も絶対観ようと思って観たの。
爆発的な面白さはないんだけど、じっくり観ていられる。池田千尋さんは、どの作品もテイストが似てるね。観てて落ち着くの。
この作品はカタルシスがほぼないんだよね。落ち着いたテイストがそれに合ってた。
唯一のカタルシスは戸田菜穂が幼い華漣を救うところ。戸田菜穂は、自分の娘の交通事故を防げなかったことを、ずっと気に病んでたと思うんだよね。そこに、追い掛けられている華漣が現れて、ひかれそうになって、戸田菜穂が二重の危機から華漣を救うの。
それで華漣も助かって、戸田菜穂も救われてるんだよね。だから、実の娘と同じか、それ以上に華漣を愛してるんだって解って、このシーンは良かった。
カットはどれも面白かった。最初の方で栗原吾郎が話すとき、福岡ドームをバックにしたカットがあるんだけど、これが好きだったな。『福岡』を表すときに福岡ドーム入れてくるんだよね。そんなのも面白かったよ。
話の進め方は少女漫画ならではで面白くて、佳凛(石井杏奈)がひょんなことから穂刈(栗原吾郎)と関わり持つんだよね。「学校の有名人となんだか知り合いの私」っていう導入部があるあるで面白かったの。
佳凛(石井杏奈)の事情を謎にして引っ張るけど、ここまで悲惨な事情がいるのかな。その中での救いを描いてはいるけど、悲惨にすればそれでいいのかという気はしたな。
途中、過去の事件を探るんだけど「図書館で新聞みなよ」とずーっと思ったな。いろんなことを知ってる穂刈が気付かないはずないよね。ここでヒアリングをかけていって徐々に謎が明らかになってきて観ていくんだけど、ちょっと御都合主義だった。
あと穂刈の事情があんまり描かれてないのね。なので、穂苅がどうしてここまでするのか、これに関わってどう変わったのかが分かりづらかったかな。
落ち着いた気分で、気持ち良く観ていられるから、いい作品だと思うよ。
記憶というものの扱い方は興味深かった
全体的な内容は結構面白い印象でしたが、映像作品としてみると、あまり芳しいものではありませんでした。
話は、かなり嫌な感じ・・・はっきり言って見なければよかったと思ってしまいそうになるくらい、酷いんですけど、だからこその記憶というものの扱われた方が興味深くて、秀逸なものさえ感じましたが、作品に真実味みたいなものを全く感じなくて、正直、苦笑するところも・・・
セリフや演技が、まさに劇ですよといった雰囲気がガンガン伝わってきて、不自然なところがちらほら・・・。残念ながら、あくまで東京と福岡で俳優が何か演じているという印象が強かったです。
音の演出も自分には合いませんでした。
幸せを予感させる爽やかな印象の作品
序盤は坦々と流れる。この段階では複雑な人間関係はなく、学園モノで見かけるいじめも、マウンティング争いもない。その後はやや強引な展開で、普通なら直接本人たちに聞くだろうと思われる場面でも、なぜか殆ど知らない人間を頼る。マンガみたいだと思ったが、どうやらマンガが原作らしい。
終映後の舞台挨拶で池田千尋監督が明かしていたが、撮影から公開まで何かの事情で3年もかかったとのこと。主人公の華蓮を演じた現在22歳の石井杏奈は撮影当時19歳。3年経って、ほっそりとして美しい女性になり、オレンジ色の光沢のあるドレスがとても似合っていた。この人をはじめて見たのは2016年のTBSのドラマ「仰げば尊し」の吹奏楽部の部長役で、真面目に悩む女子高生が印象的だった。本作品では少し無理のある脚本を力技で演じ切ってみせた。演技力というよりもこの人が持って生まれた独特なキャラクターが、演技に厚みを加えていると思う。それも才能のひとつである。
とはいっても作品の中で一番演技が光っていたのは、やはりというべきか、柄本時生である。この作品はネタバレしたら面白みが半減するので迂闊なことは書けないが、映画サイトで紹介されている「金魚屋の青年」という役は、華蓮にとって大変重要な役割を果たす。この役の存在で物語がリアリティを保てたと思う。
「氏より育ち」という諺のとおり、愛情豊かな優しい養親のもとで育てられた華蓮は、思いやりのある優しい人間になった。これが物語の大前提で、意地悪にひねくれた女子高生が主役だったらこの映画は成立しなかったと思う。
福岡へのルーツ探しの旅で、華蓮は短時間のうちに人生について学び、自分の心を掘り下げていく。そして過去の記憶を明確にすることで、過去との柵を断ち切る。可憐な女子高生の成長物語で、幸せを予感させる爽やかな印象の作品だった。
見た目で差別する方が最低です。
知らない家や見たことの無い女の子の、憶えていない記憶が頭に流れ込んで来ることのある女子高生が、自分の記憶と出生の真実を知ろうとする話。
修学旅行で韓国に行くことになりパスポート取得の為、母親に戸籍抄本を用意して貰ったら、養子縁組を示す記載があり、改めて自分で戸籍謄本をとると、記憶に無い死亡した姉の名前が見つかって、偶然そこに居合わせた青い瞳の同級生の協力を得て福岡を訪れるというストーリー。
BARに凸る行動力がある高校生なら、自分でチケットも宿も取れるだろうにと感じたけれど、少したるい喋り方をするし、依存心が強かったりするのかなと思わせる主人公。
これは元々この方がこういう話し方なのか、この役に合わせた演技なのか、後者ならなかなかやるね。
そんな簡単に人の戸籍謄本出すのかよとか、そんなにみんな口を噤むか?と感じるし、日にち見たらまず新聞社か図書館でしょうと思うしで、調査を進めていく過程はイマイチパッとしないながら、みえてくる中味と記憶は結構重く、女子高生には厳しい現実で衝撃的でなかなか良かった。
ツッコミどころも多いけど、拙いのは高校生だからだし、ショッキングな出来事で蓋をされた記憶と考えるとまあ納得かな。
作品の内容とは関係ないけれど、作中のBARで、女性客が「バーテンさん」と呼ぶシーンがありましたが「バーテン」というのは卑下する言葉で大変失礼に当たります。若いバーテンダーさんは気にしないか、そもそもそうとは知らないかも知れないけれど、ちゃんと「バーテンダー」と呼んでくださいね。
【記憶をめぐる…】
抑揚のない演出に好き嫌いはあると思うが、原作のおそらく意図するところを、丁寧に伝えようとすることが感じられる。
多分、映画の途中から、そんな大事件なのであれば、早く検索すれば良いのにと思う人も多いと思う。
記憶の検索ワードという表現も出てきて尚更だと感じる。
自分もそうだった。
だが、自分の記憶の奥底に潜むキーとなる出来事から、呼び起こされる記憶と、検索して得られる情報には明らかに違いがあると、途中、気がつく。
それは、普段生活する中で、記憶に留めて自分の言葉で話す人と、検索を多用するだけで、上部で話す人の説得力の無さの違いにも感じることに近い。
実感が異なるのだ。
凄惨な事件を背景に、華蓮が自ら封じ込めた記憶には、自分にしか解き放つことが出来ない何か鍵となるピースが必要だった。
華蓮の、
封じ込めた記憶、
取り戻したい記憶、
二つの家族との葛藤と、
生き残ったという事実の裏に潜む真実と記憶。
華蓮をあなたと呼ぶ怜の、
忘れたい事実と、
封じ込めることのできない記憶。
金魚屋の青年の、
向き合い続けた事実、
良心の呵責と、
すがって来た記憶。
これらの対比が、凄惨な場面を描かずとも、淡々と綴られる物語のなかで、観るものの心を締め付けて行く。
僕達、人間だけが持つ、記憶をめぐる出来事と、僕達だけに与えられた記憶をめぐる葛藤を表した佳作だと思う。
#102 映画は時間旅行もできる
華蓮が何故穂狩を求めたのか?
何故記憶を取り戻したいと思ったのか?
何故わざわざ釜山まで行くのか?
疑問はいっぱいだが、華蓮が生きてる理由がわかって良かった。
一昨年の春に撮影したようで外国人客で溢れている中洲が懐かしかった。
舞台挨拶で監督が映画は旅と似てるとおっしゃっていたが、物理的な場所を観れるだけじゃなくて、時間も越えられるところがすごいね。
変なビニール越しの舞台挨拶だったけど、舞台挨拶が行えるだけ日本は平和ってことか。
映画が観れる平和がいつまで続くのか、ビニールが無くてもよくなる平和が来る日があるのか、色々考えさせられるイベント付き上映だった。
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