劇場公開日 2021年6月4日

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トゥルーノースのレビュー・感想・評価

全97件中、41~60件目を表示

5.0この子の命を助けなさい。

2021年7月11日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

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bloodtrail

4.0北朝鮮の不都合な真実

2021年7月11日
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泣ける

悲しい

怖い

在日朝鮮人の帰還事業により北朝鮮に渡ったヨハンの家族は、両親と幼い妹と4人で金正日体制下の北朝鮮で暮らしていた。しかし、父親が日本帰りの過去から政治犯の疑いで逮捕されたことにより、母子は強制収容所に入れられた。収容所での苛烈な生活に耐え忍びながら、家族はなんとか生き延びていたが、ある老婆が娘の為に収容所内の食料を盗んだ事によるトラブルによってヨハンが恨まれ、ヨハンの母を殺害され、自暴自棄となったヨハンは次第に追い詰められていく。そんなヨハンは、死に際に母が遺した言葉により、本来の自分を取り戻していくという話。
話にはよく聞く北朝鮮の不都合な真実だが、アニメででも映像化されるとインパクトが有る。たった1人の最高指導者を敬う様な体制を作り、維持しようとしてる矛盾がこの作品から伝わってきた。
全世界に向け伝えるべき内容なので、英語作品とし、日本語字幕とした意図は賛同したい。
日本だけじゃなく、全世界で1人でも多くの人に観てもらいたい作品だと思った。

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りあの

5.0心揺さぶられる大傑作

2021年7月10日
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本作に低評価をしている人はいないはず。
なぜなら観賞後に得られる満足度は高いから。
観るたびに、その現実にショックを受ける。
ひとつひとつのシーンにムダが無く、監督の計算された表現手法とストーリー展開に観ている者は引き込まれる。本編に描かれた世界を直視させ、現実問題と捉えるためにも、親子で一緒に観た方が良い。そして、本作を観た上での感想から、親子で考え、そこに関係した調べ物をすれば、立派な夏休み自由課題となるのでは?でも、ラストの展開は注視してご鑑賞ください。

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hamuhamumomo

4.0地獄を作るのも

2021年7月10日
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天国に変えるのも人間。
北にいるのも私とほとんど変わらない人間。

助け合い労り合う力は、人間として育ったら標準装備されているはず…。

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Momoko

4.0観ること自体に価値、そしてちゃんと面白い!! みんなで観よう!!

2021年6月26日
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冒頭で流れる言葉。
「人民がすべてを決定する。主体思想に導かれれば、彼らに不可能はない」
北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の独立を果たした、金日成の言葉だそうだ。
そう、国名にある「民主主義」 はおそらくウソではない。当初は上の文の冒頭に示された通り、人民がすべてを決定することをめざしたのだろう。しかし、「人々が主体思想に導かれる姿になるまでは指導しよう」 という思いが、固定化し暴走した結果が現在なのだろう。人民が決める "民主主義" をめざす道は、さまざまあるということなのだろうか。

オープニングは、有名な公開スピーチ番組 「TED」。講演する若者は、北からの亡命者として、北の収容所の実情を語る。その内容が、この映画だ。

そもそも収容所とはなにか。「北の思想」 にあわない人民とその家族を収容する場所だ。「南のラジオを聞いていたことが原因で収容された隣人を、どうにかして救えないか近所の人たちと相談していた」 これが、主人公の父親が行ったことのすべて。それだけで反体制の家族とされて、家族もろとも一生強制労働し続けるだけの収容所に放り込まれる。

本作は、主人公が放り込まれた少年時代から、脱走する青年時代までを描いたもの。最低限以下の住居と食事、強制労働、そして拷問... これらの(おそらくは)事実を、命がけで脱走してきた若者が我々に伝えてくれている。 「ヨハン、自由を楽しめ。そしてここで起きていることを世界に伝えろ」 我々の役割はなにか。耳を傾けることであり、目を向けることだ。そう、誰でもできることは、この映画を観ることだ。みんなで観よう。そして考えよう。

拷問を受ける人々の言葉を記憶しよう。 「国家ってなんだ? 人民って誰だ?」
そして、お母さんの言葉をかみしめよう。
「誰が正しいかじゃないの。誰になりたいかを考えなさい。いつも美しいものを探してね」

革命で国民が政権を獲得した国では、「軌道に乗るまで、革命を実現した我々が導かねばならない」という思いが強くなるのだろうか。最初はそれでよい感じになるのだが、どの国も、長期政権となって腐敗するというか圧政に移行していく。その時点では、国民が政権を変えられる民主主義に移行していないので、けっきょく、権威主義というか専制体制の悪い面が露出する。それを変えられないという致命的な欠点が、これらの体制には内在することを、俺たちは、歴史から知っておくべきなのだろう。そしてその際の圧政は、いかに基本的人権を無視した迫害になるのかということを、この映画で目の当たりにしておくべきなのだろう。
あわせて、「基本的人権の尊重」 をあらためて考えたい。 「個」 が大切であり、「集団」 はあくまで「個」 のための機能で、「集団」 のために 「個」 が基本的人権を奪われることは、決してあってはならないことなのだから。「集団のために個が基本的人権を奪われる姿」 を見せてくれているのが、この映画なのだということを忘れないようにしよう。

日本が民主主義である価値は、国民である俺たちが、「いまの政権与党は変だ」 と感じたら、選挙で政権与党を変えることができる、ということだということを、あらためて思い出しておきたい。

おまけ
俺の誕生日は、4月15日。そう、北朝鮮では、太陽節。金日成の誕生日といっしょなのだ。「だからなんだ」 なのだが。

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CB

5.0他人事ではない

2021年6月23日
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一人一人が自らの心の奥底に押し込めた本音を解放することが、彼らの解放につながるはず。

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mayoibito

4.5ペラグラ

2021年6月21日
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悲しい

怖い

30年以上前から北では食べるものがなくて、木の根っこまで食べているらしい、とは聞いていた。
一方で、国産の松茸は高くて手がでないので、半島産の安い松茸を買ったりしていた。
ちょっと胸が傷んだ。

大韓航空機事故。
キムヒョン匕。
拉致問題。

時は流れて、自分の腹違いの兄やナンバー2の叔父さんでもやってしまうんだから、キ○ガ○。

同じ民族なのにねぇ。
しかも、こんなに長きに渡って。
全く理解不能。

かりに、30年前に公開されていたら、ものすごいインパクトだったろう。

映画はよくできていた。
完全統制区域。
赤い腕章。民間憲兵の恐ろしさ。むごたらしさ。卑劣さ。

ペラグラを調べた。

日本から北朝鮮に帰国して日本に脱出した人によると、北朝鮮ではトウモロコシしか食べられない多くの人々がペラグラに罹患した。ナイアシンがトウモロコシには無いため、トウモロコシばかり食べていると初期症状として皮膚が剥離していき、やけどした後のように皮膚がピンク色に変化する。そして、罹患者の顔面から始まって、全身・舌がヒビわれて、胃腸障害など様々な症状が起きる。最後には精神異常を罹患者に起こす病である。症状が進行すると、疲労、不眠、無感情を経て、脳の機能不全(脳症)による錯乱、見当識の喪失、幻覚、健忘などが起こり、最悪の場合死に至る。

飢餓地獄で気がふれる。気がふれる要因はそのほかにもたくさんある。自殺する自由もない。宗教にも頼れない。気がふれた方が楽だったろう。

妹と親友の未来にかけて、自己犠牲を選んだ兄の命に二人が報いられたことだけが唯一の救い。

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カールⅢ世

4.0これは「告発」の物語。

2021年6月19日
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悲しい

楽しい

北朝鮮。近くて遠い国。
その"政治犯強制収容所"を舞台にした作品。
これは「告発」の物語だ。

アニメーションは多彩な可能性を持つ表現手法だが、
こんな"激しい糾弾"の作品すら作れるのだ。

世界の何処かで、今日も強権によって
傷つく人たちがいる。
それを知らないのは[罪]だ。

私たちはせめて、
その罪深さくらいは自覚しておくべきなのだ。
(u_u)

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わたつみ

4.0非常口なんてない

2021年6月19日
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オープニングカット完璧です。非常口なんてない強制収容施設で、まるでピクサー映画のようにちゃんと主人公が葛藤し、成長し、問題提起する。まだ現実とリンクしている問題だからこそ重くのしかかる。

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わたろー

5.0政治の話ではなく「人たち」の話

2021年6月19日
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すごい映画。
「北朝鮮版ビューティフルマインド」と言うべきか、人生の意味と苦境(というか地獄)でも正しい行為を行う本当の重要性を否応なく考える。人間の尊厳とは何か。童謡の「赤とんぼ」で感動したのは初めてだな…。

政治がどうしてもチラつくが、実際観てみると政治色はそこまで感じず。めちゃくちゃ心揺さぶられる映画で、目を背けたくなる場面も多々あったが、(クォリティが高いわけではない)アニメだから最後まで鑑賞できたように思う。実写だとしたら、心抉られてしばらく立ち直れなさそう。あと普通に映画としてのストーリーもあって、あっという間に時間が過ぎる。

タイトルが示す通り「真実の北朝鮮」がドキュメンタリー風で描かれていて、強制収容所に入れられるまでの描写も恐ろしいし、何より収容所の様子が凄まじい。
単に、北朝鮮でこんなことが起こってますと伝えるだけでなく、北朝鮮の一般人民が考えていることや民族の絆(国家主席以前に大事だったもの)を紡ぎ出していて、すごくエネルギーがある。物語の中でヨハン中心に歌う歌詞がアンチテーゼのようで、本来理想とすべき絆や助け合いがそこにはある。『我ら人民(I am a man)』、人民とは…。

だから大勢について、また政治についての描写はほとんどなくて、「いかに正しく生きるか」にフォーカスされているし、「正しく生きている」人たちがいることに目を向けていく。絶対今の自分が収容されたら2ヶ月も保たないだろうな…。

もちろん政治批判的な意味合いも多分に含んでいるだろうが、現実に起きていることであるし、そこから何を感じてどう行動するかが問われている気がする。多くの人に、映画館で観てほしいなと思う映画だった(観る人は選ぶだろうが)

「誰が正しいか、間違っているかじゃない。誰になりたいかが大事」

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うむぼんず

4.5北朝鮮の政治犯強制収容所から逃れた脱北者が語る想像を絶する半生。権...

2021年6月19日
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怖い

知的

北朝鮮の政治犯強制収容所から逃れた脱北者が語る想像を絶する半生。権力者による理不尽な暴力と恐怖に支配されて生きる人たちが、今もこの国だけでなく世界中にいるという事実におののき、自分はどうすべきかを考える。まずは観て知ってほしい(上映館がもっと増えることを期待)。
監督も語っているが、過度にリアルな映像で受け入れられなくならないよう、あえてローポリゴンCGにしているようで、その試みはうまくいっていると思う(見始めてすぐに違和感はなくなった)。最近観たJUNK HEADに続いて、アニメーションという表現の多様さを知った。

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LS

3.5まさに命を懸けた「告発」映画。でも映画としてはド直球の人間ドラマ。これが正しい映画の作法だ。

2021年6月19日
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鑑賞方法:映画館

まさに命懸けの映画だ。
命を張って、真正面から北朝鮮の収容所生活の不正義を告発している。
シンプルで、ゆるぎなく、まっすぐな作品。
なぜこの「当たり前」の告発が、個人制作の3Dアニメでしか成せなかったのか。
なぜ世に問うまでに10年の歳月がかかってしまったのか。

日本のリベラル諸氏は、国家・政府・自民党を叩くときは、身もだえせんばかりの怒りと憎しみと嘲弄ぶりを噴出させるが、なぜか、中国やロシア、北朝鮮、ミャンマーといった「日本のそれとはとても比べものにならないくらいの異常な弾圧・人権侵害・ジェノサイド」を耳にしても、どこか気のない対応しかしない、できない。
表面上は、怒り、抗議してみせる。けれど本音は内心どうでもよく思っている。それが透けて見える。
要するに、彼らは、自分自身の生きづらさを世界や社会の不備に求め、いらだち、むかつき、その元凶と目される権力への憎悪を募らせている。攻撃してすかっとできる何かを探している。内なる正義の基準に従っているわけではない。理性的であるように見えて、理性的ではない。
だから、自らに直接関係のない国の話には、たいして心が動かない。
相応に満ち足りた安全な国のなかで、いくら叩いても反撃してこない確信のある自国の政府や官邸だけを叩いてわめいて、留飲を下げている。

それはネットの保守層だって同じことだ。
彼らはしきりに韓国を叩き、在日コリアンを叩くが、本当の敵は曲がりなりにも民主主義陣営の側にいる韓国でもなければ、ほぼ日本人と変わりない生活を送り、実質は苦楽をともにしている人が大半を占める在日コリアンでもない。敵性国家と日本を位置づけ、スパイを放ち、国家機関を用いてサーバー攻撃を仕掛け、あらゆることで平気で噓をつき、露骨な国境紛争をしかけてくる、数百倍ろくでもない国家が周辺にはいくつもあって、本当に怒るとしたら、まずはそこなのだ。
でも彼らを怒らせるのは、「まだ理解できる範囲に存在する違和」としての韓国であり、在日である。
結局は、彼らもまた「自らが周囲に感じている得体のしれない違和感や恐怖」を、韓国人や在日に仮託しているに過ぎない。安全域で、自らが抱える闇の憂さ晴らしを続けているだけだ。

たとえば、香港で起きている言論弾圧や、ウイグルの強制収容所での「断種」政策、ロシアで起きている政敵の監禁と野党の非合法化、ミャンマーでの非暴力デモに対する無差別銃撃……などなど、世界で起きている「無法」のえげつなさはとても日本の比ではないし、ほとんどめちゃくちゃである。でも、日本人にとってはめちゃくちゃすぎて、なんだか現実感がない。「なんかひどいね」「ほんまかいな」「でもまあよその国の話だしね」「それより五輪がさあ、コロナ対応がさあ」……。
とまあ、しょせんは、他人事だ。
結局は、人間の想像力というのは「身の回りの価値観」で理解できるリミットを超えた、圧倒的な異常さと狂気と暴虐に対しては、とうてい追いつかないものなのだ。

それに、こういった「悪」を告発することは、まさに命懸けの行為だ。
ロシアで毒殺されかけたあげく拘束されているナワリヌイ、香港で国安法でしょっぴかれて有罪をくらった蘋果日報のジミー・ライ。ミャンマーでも次々とジャーナリストが「合法的に」逮捕され、拷問にかけられている。
多くの国の為政者は、日本とちがって、本当に当たり前のように敵対者をつぶす。暗殺する。処刑する。「政敵は現状の国家体制を根底から揺るがす。だから、排除する。なにか、問題あるんですか?」
こういうスタンスでプーチンや習近平にしれっと居直られると、意外に返す言葉が見つからない。打つ手がない。それは、僕たちだけでなく、欧米諸国の首脳陣ですら、そうだ。

そんな「悪い国」のなかでも、北朝鮮は最悪だ。
ついこのあいだも、金正恩がほめた影絵ショーについて、「自分はあまりいいとは思わなかった」と知人に述べたことを密告された合唱指揮者が、公開処刑で銃弾90発を浴びせられた挙句、その死体の周辺を合唱団員が行進させられたという報道があった。脱北者のYouTubeがソースだから、どこまで本当かはわからないが、偉大なる総統様による粛清話はそれこそ枚挙にいとまがない。
ショーの感想ひとつすら、思ったとおり口にできない。
言ったら、消される。
そんな国を相手に、告発の声をあげるということが、いかに勇気のいることか。

監督の清水ハン栄治は、それをやってのけた。
在日コリアン4世として、きわめてまっとうな問題意識と、きわめてストレートな手法をもって、北朝鮮収容所の残酷な現実をわれわれに、世界に、突きつけてみせた。

描かれるのは金正日の時代の話だが、この地獄のような状況は、今もまったく変わりなく続いている。(むしろ映画内の衛星写真で示唆されるとおり、強制収容所は金正恩時代に入って「規模が倍以上に拡大されている」!)
要するに、これは歴史ではない。
アウシュビッツやアメリカ奴隷制と異なる、「今ここにある圧倒的現実」なのだ。
その惨状を、まさに危険を顧みず、世界に問いかけるのは、右も左も関係ない、日本も在日コリアンも関係ない、喫緊のテーマだ。やって当たり前のこと――でも誰も怖くてできない。観ないようにしている。考えないようにしている。どうせ、よその国の話だから。理解が追い付かないから。
それを、この監督はひとりで背負って、やってのけた。
僕は、本当に凄いことだと思う。

この映画を実際に観たうえで、とくに注目してほしいのは、以下の2つのポイントだ。

その1。本作は「告発」の映画ではあるが、「プロパガンダ」の映画ではない。
映画内では一切の思想も、理想も、政治信条も語られない。
ここに存在するのはあくまで、ひとつの家族の物語だ。
すべては、物語に仮託して語られる。そこがとにかく潔い。素晴らしい。
映画の冒頭、TEDのプレゼンターがいう、「政治の話はしません。これは私の家族の物語です」とのセリフ。これがまさに本作の本質を表している。
本当に優れた告発映画というものは、映画内で作り手の意見を開陳したりしない。ひたすら登場人物の人生に語らせる。観客にそこから感じてもらう。言いたいことをぐっとこらえて、このストイックな作劇に徹することのできた作品だけが、思想や政治信条を超えて、人の心を打つことができるのだ。

その2。本作は「収容所の映画」であるだけではない。「帰国事業で日本から戻った人々の映画」でもある。
1959年以降、四半世紀にわたって行われた北朝鮮帰国事業によって、「地上の楽園」と宣伝されたこの国に在日コリアン、日本人妻など約10万人が渡った。本作の主人公一家は、まさにそうやって海を渡った「元在日コリアン」だ。
すなわち、ここで収容されている人の多くは、見ず知らずの朝鮮人ではない。
昨日まで、僕たちの隣の家で暮らしていたかもしれない人々なのだ。
そのなかにはもちろん、日本人家族も登場するし、「赤とんぼ」のシーンに見られるように、拉致被害者と語らうシーンも出てくる。
監督はインタビューでこう答えている。
「北朝鮮について、日本では拉致問題ばかりを取り上げ、帰還事業のことはほとんど話に出てこない。自らの意志で移住を決めたのだから、自己責任だろうと。これはさすがにちょっと冷たいなと思うんです。たとえそうであるにせよ、地獄を見ている人がいるんだったら、人情というものがあるんじゃないか」
彼は、物語にこうして明確な「日本と北朝鮮」のブリッジを組み込むことで、この凄惨な虐待と蹂躙の地獄を描く物語が、決して日本人にとっても「他人事ではない」と語りかけている。

映画自体の脚本は、とてもいい出来だと思う。
もちろん、監督第一作ということもあって、気になるところもある。
多くの脱北者の怨念に満ちた物語をひとつの一家の物語にまとめあげているため、どうしても「あれもこれも」感(ちょっとNHK朝ドラの総集編みたいな詰め込みよう)がつきまとうし、子供編がまあまあ退屈だとか、最後の兵士のセリフがベタすぎて最高にダサいとか、エモさを狙ったラストの観衆の拍手がただただキモいとか、大衆性を気に掛けたあまり陳腐に堕しているシーンもある。
けれど、総じて誠実に描けているし、単なる陰陰滅滅たる収容所悲話に終わらせず、アクション要素込みの「脱獄もの」のエンターテインメントとして仕上げた点も慧眼だったと思う。ラストに仕掛けられたちょっとした叙述トリックには本当に感心した。

3Dアニメという手法に関しては、諸手をあげて「これしかない表現技法だ!」と絶賛する気にはとてもならない。
普通に、ビッグバジェットの実写映画としてこの話は観たかったなあ、というのが嘘偽らざる感想だからだ。
やはり、よくできているとはいっても、自主制作映画めいたリソースとスペックの限界は感じざるを得ない。キャラクターデザインや3Dの動画自体は予想以上にうまくいっているが、歩く姿や立ち上がる姿など、ちょっとした動きに技術不足が露呈して集中を削ぐ。絵柄以上に気になるのが、アマチュアの米国人声優たちで、仕方がないとはいっても、彼らの素人くさい演技はどう見ても映画のマイナス要素だ。できうることなら、本作がある程度ヒットしたならば、ぜひプロの声優さんで日本語版と韓国語版もつくってほしいと思う。
もちろんその先には、日韓合作での実写化が実現できれば最高に素晴らしいのだが、「それが端からできないから」3Dアニメなのだ、ということも忘れてはならない。

この作品のもつ「リスク」を監督が個人制作のアニメという形で引き受けたから、本作はなんとか完成にこぎつけ、上映に至ることができたわけで、これの実写企画を社として受けようという映画会社はなかなか存在しないのではないか。その意味では、「表現技法として3Dアニメで作って結果的に正解だった!」という「やや後付け」の賛辞よりも、そもそもこれが「3Dアニメでしかつくれなかった」現在の状況について、やはりしっかり考えるべきだろう。

最後に、監督がこの映画を英語で作ったことの意図は明確だ。
世界じゅうで、ひとりでも多くの人に、この映画をぜひ観てほしい。
北朝鮮は、アンタッチャブルな「考えても仕方のない国」ではない。
このままにしておいてはいけない、真の無法国家なのだ。
そのためには、何かを変えなければならない。
そのためにあげられた勇気ある声を、みんなで共有していくことで、何かが変わるかもしれない。
少なくとも、清水監督はそう思っているはずだ。

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じゃい

4.0日本だってわからない

2021年6月17日
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悲しい

韓国はわからないが、中国や日本やアメリカは北朝鮮はこのままでいてくれた方がいいと思っているような気がするなー。
日本も国がどんどん国民を締め付けて分断して監視社会に近づいていっているような気がする。
この映画を観てそう思ったし、なんとか北朝鮮を助ける手立てはないのかとも思った。韓国、北朝鮮を嫌っている日本人が増えていってる気がするけど、そういう人に観て欲しいな。観ねーか。

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むーらん

4.0人類の羅針盤

2021年6月16日
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21071.エンタテインメントとしての要素も抜群のプリズンブレイク

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movie

3.5アニメーションでしか描けない真実

2021年6月14日
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yuta

5.0この映画こそ 子どもから大人まで たくさんの人に観てもらい 制作者...

2021年6月13日
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この映画こそ
子どもから大人まで
たくさんの人に観てもらい
制作者の意図は
しっかりと伝わった
だから、英語は違和感があるけれど
仕方ないですね

100歩譲って
父親が政治犯だとしても
家族まで収容所に入れられて
奴隷のような扱いが一生続くとは…
本当に劣悪な世界
実写だったら
耐えられなかったと思う
人権なんてあったもんじゃない

瀕死の日本人拉致被害者に
「ゆうや〜け こやけ〜の 赤とんぼ…」
と日本語で歌った場面が
心に沁みた

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xxminaxx

4.5映画の力を信じたい。

2021年6月13日
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謎に満ちた北朝鮮という国家。観たかった映画。真実なら許せない憤りに満ちた問題作。真相を知りたくてパンフレットを購入し、熟読した。目を覆いたくなる悲惨さを避ける3Dアニメーション化といい言語は英語とした世界へのメッセージ性は秀逸。その想い、世界の人々が1人でも多く観てこのならず者国家の転覆を声高に叫ぶべき。映画の力を信じたい。

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masayoshi/uchida

4.0強制収容所ストーリー。

2021年6月12日
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北朝鮮を描くものには、ドキュメンタリーが多いが、この映画はアニメを用いて、ストーリー性を持たせている。
そして、仏教の輪廻転生や、キリスト教の愛の精神、そして、それらの世界観をベースとした、自己犠牲の精神を描こうとしている。
共産主義、全体主義の国家に、宗教はなく、神は存在しない。
現代の科学は、人間の存在は「脳」であるという。「脳」が死んだら、人の死であるという。
しかし、自己犠牲とは、「脳」の仕業なのか?母の愛は「脳」の作用なのか?
私は、自己犠牲や愛の中に、「魂」を感じる。
実際の強制収容所はもっと無表情で無感情で殺伐としたものだと思う。
しかし、この映画の作者は、その殺伐とした世界の中に、人の愛を、慈しみの心を描きたかったんだと思う。
「死んだら、また会おう」という、言葉の中に、愛があり、肉体を超えた、人知を超えた、広大な世界がある。
この世界には、効率や合理性を超えた世界があるんだ。
だって、そっちの方が美しい世界だから。

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caduceus

5.0上映館を探して観に行くべき映画

2021年6月12日
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あの団体に対する配慮なのかそれとも圧力なのか、メジャーな映画館では上映してないように見受けられます。脱北者の証言をもとに脚本されていますのでリアルな描写もありそうです。
この事実を世界は知るべきだと思いました。

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BOØWY世代

5.0北の切実な深刻な事実

2021年6月12日
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悲しい

観ようか観ないか迷ったあげく、レビュー見て1週間遅れの鑑賞。凄く面白かった。
北の凄まじい残酷さをリアルに描かれていた。
まだまだ知られてない、知るべき実情も。
この映画を通して世界の課題として重要視し、解決へ向けて欲しいと強く願う。

映像もリアル感ある綺麗だった事も記しておきたい。
是非お勧めします。

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ノブ様