息子の面影のレビュー・感想・評価
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悪魔は国境の向こう側にいるか?それとも……
あまりこの辺の知識はありませんが、多分リアルなメキシコの国情を入れ込んだ作品だと思います ざっくりとした要素↓ ①仕事を見つけるために北米に渡ろうとするメキシコ困窮世帯の若者 ②メキシコから北米に行くのは大変、だが帰る(強制送還)のはあまりに簡単な回転扉形式の国境ゲート ③完全にメキシコ移民を見下してる感ある北米側の警備員 ④メキシコ内部の移動だけでも、ところどころで銃を持った人間にエンカウントする ⑤メキシコ内部についてその他の事情:でっかい河も手漕ぎで渡るし、なんなら向こう岸にも銃持ったおっさんが立ってる なお、消息不明の息子を探すために、身元不明のご遺体と対面する場面があります。 このご遺体が入っているのが、黒いゴミ袋みたいなやつなんですよね。それが学校の備品みたいに棚の上に置かれている。 実際もこんな感じなのかはわかりませんが、親子判定のための血液検査から遺体との対面場面まで、非常に事務的な感じで居た堪れなくなりました。 決め手はラストの場面ですね。 間違いなく、今年入って日本で公開された映画のうち、3本の指に入るレベルの胸糞悪さです。 脚本は秀逸ですが、全体的に起伏がなくたんたんと進行するので、中盤で気疲れしそうになります。 ただ、ラストまで観る価値はあります。 フィクションより、どちらかと言えばドキュメンタリーが好きな方に合いそうな作品かと。
静かなエンドロール
これがメキシコ国境で起こっている現実なのか。 目の前にいる人が、敵なのか、味方なのか、分からず、常に生命の危険を感じる緊張した状況。 消息不明になった息子を探しに国境へ使うは母親と、そこでの出会いを静かに紡ぐロードムービー。 とにかく映像が美しい。昼と夜とで違う姿を見せるメキシコの雄大な自然。木々、雨粒、星空、湖の水面、月、太陽。ロウソクの光、テールランプの光、それから炎。 音もいい。自然の音、鳥のさえずり、虫の声。ミゲルが歩いて米国からメキシコの国境を越えるシーンは、映像も、どこか不穏な音楽も、すごく良かった。 ラストは息を飲んだ。静かなエンドロールを見ながら、大きくため息をついた。
後ろ姿は誰でも似てるよ。
これはいつの時代の話なのかと思わず錯覚しそうになる。バスは必ず次の停車場に止まる。それが当然の日本では全く信じられないようなことが今、この瞬間も遠い国の国境沿いで起こっている。 メキシコ。貧しさから脱却するため多くの若者がアメリカを目指す。しかし国境沿いには悪魔がはびこっている。容赦なく命が奪われてゆく。盗むためだけに。ただそこにいるだけで。 帰らぬ息子を追って旅立つ母。手がかりを求め歩き続ける。そしてその先。母を待ち受ける悲しすぎる旅の終着点。本当に辛すぎる。でもこれこそがメキシコが抱える闇の正体。負のループからいつまでも抜け出すことができない。これは決してメキシコだけの問題ではない。世界は多くの困難や課題を抱えている。終始漂う悲壮感に反するかのように、メキシコの雄大な景色がただただ美しかった。夕日も雨も木々も炎さえも。
餓鬼
2022年5月11日 映画 #息子の面影 (2020年)鑑賞 衝撃の結末が待っています メキシコから仕事を求めてアメリカに向かい、行方不明になった息子を探しに向かう母 母を探す青年との擬似親子関係 そして、あの結末はただただ悲しい。 今年1の映画です。 @FansVoiceJP さん試写会ありがとう
生と死が隣り合わせの世界
オンライン試写会にて鑑賞。 いやぁ、凄い映画を観てしまった! 「生と死が隣り合わせの世界」を描いたフェルナンダ・バラデス監督の傑作! メキシコの貧困生活から抜け出そうとアメリカへ国境越えしようとした息子が消息を絶ったため、母親が息子を探し回る。どんな努力も惜しまずに。 そんな中、やはり母親を探す青年ミゲルと出会って、一緒に旅をするのだが…というドラマ。 「これは実際に現代のメキシコで起こっている事である」とバラデス監督の言葉を聞いて、ただただ驚くばかり。 国境越えをしようとする者、貧しい村の弱者を躊躇なく射殺する武装団の存在が怖すぎる。 そして、彼らの一人を見つめる「眼」には、武装団メンバーは「悪魔の姿」に見える。 このシーンは、イングマール・ベルイマン監督『第七の封印』の「死神」に匹敵するような名場面! そして、壮絶な展開が続いた先の結末には本当に驚いたが、「結末口外禁止映画」だと思うので記載はしない。 今年(2022年)に日本公開される作品の中では、今のところベスト級の傑作!
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