「2022年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨」息子の面影 stoneageさんの映画レビュー(感想・評価)
2022年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨
なんとも悲劇的で、ショッキングなラストでした。
中南米はカトリックの国が多く、皆んな信心深いという印象なんですが、何とも後味の悪い、縁起の悪さを感じさせる作品でした。
このラストの顛末は、正に"悪魔に魂を売り渡した"を地で行くようで…もうどんなホラー映画よりもそら恐ろしく、寒々しいとしか形容が出来ない、救いようのない最後でした。
『息子の面影』という邦題…何ともアンニュイです(笑)
そして、国境の治安の悪さや、ギャング(=麻薬マフィアか?)が蔓延るその恐ろしさがよく伝わって来るストーリーでした。冗談では笑えないぐらいの悲しい展開…ミゲル君が可哀想過ぎる…。
オカンポというのが、どういった地方の土地なのかは分かりませんが(現地の言葉も残る、かなり不便な場所でした)、もしかしたら麻薬地帯なのかも知れませんね…ギャングが通行を規制していたりするぐらいですから…(ニセパトカーも映ってました)。優しいミゲルも、土地の人間だと暗闇の中でギャングに命乞いしたところで、そりゃ、撃ち殺されてしまいます…怖い国です。
個人的な話ですが、昔、南米のとある国で生活していた時、私も夜中の長距離バスに乗っていて、途中で降ろされた経験があります…。警察の検問だったんですが、その国の警察は軍警察なので、迷彩服を着用して、まるでゴルゴ13のような長身のライフル銃を携帯してたりします。そして、ニセ警官も多く、金品を奪われたり、運が悪ければ殺されることも…。そして、本物の警官といっても、中には見た目が20歳にも満たない容姿の者もいるので、それが逆に怖いんですよね。ほんとあの時は、一瞬でしたが、覚悟を決めました。バッグパッカーなんかで旅行を計画している方は、その国の治安情報とかを外務省のHPで事前に調べておくことをオススメします。邦人はお金を持っていると思われているので、襲撃されやすいです。
横道に逸れましたが、アメリカとメキシコの国境を舞台にした映像作品は、米国側だとハードなアクションものが多いとの印象ですが、メキシコ側から描くと貧困だの治安だのと、より現実味が増してリアルな世界が描かれていました。
例えば…
息子を探す母親が、バス・ステーションで受付係の女性に、その消息情報を得ようとあれこれ聞く場面があります。そっけなくあしらわれた後、トイレの中で「誰が聞いているかわからないから、人がいるところでは、あんなことを聞かないで」とこっそり窘(たしな)められます。マフィアやギャング関係の人間にでももし聞かれたら、自分の身までが、もちろん危ういからです。
これって、危険な事が多い中南米あるあるやなと思いました(現地語しか話せない老人は、彼女の息子は見なかったと答えたが、本当にそうだったのか?「触らぬ神に祟りなし」です…)。
上映館が少ないのが残念ですが、気になる方は、とりあえず『トップガン マーヴェリック』は後回しにして、こちらの作品からどうぞ!笑
オススメです!笑
*田舎へと場面が移り変わる中、昼間の荒涼とした土地の場面と、一転夜中になると、寒々しく、物音ひとつしない、一点の明かりも無い場面の対比が、その凍りついたラストへの絶妙な演出になっていて良かったです。