息子の面影のレビュー・感想・評価
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越境
これが現実に起きている出来事なのか、メキシコの内情がわからない、あの悪魔は所謂テロリスト集団としての理解で間違いないか、治安が悪いとはいえあんな好き勝手に国としての解決策すら見当たらない、息子は不法移民としてアメリカを目指したのか、父親が後悔の念を吐いていたが貧しいにしろ未成年の息子を簡単に手放してしまったようにも、国境線を越える前に警備隊側から危険な目に遭うならロバート・ロドリゲスの『マチェーテ』で暴れマクったデ・ニーロ的な悪役が、これがメキシコの実態ならば社会問題にもならない恐ろしい国だと、ショッキングな話のオチながら物語としては出来過ぎでリアリティに欠けてしまっている感も!?
監督は女性のようだが、息子を思う母親としての愛を描きたかったのだろ...
監督は女性のようだが、息子を思う母親としての愛を描きたかったのだろうが、それ以前の葛藤がものの見事に消えているので、息子を追いかける50歳前の初老の女性のロードムービーでしか無い。結局、何一つ救われるものはないが、それでよいのだろうか。まぁ、それが現実なのだから仕方ないが、それならば、きちんと実話に基づく、フィクションにしてもらいたかった。まさかの展開はあったが、まさかそこか!?って展開だった。もう一人の話を全てカットして、母親に重点をおけば、45分位の短編で充分と感じた。余計な逸話を入れ過ぎ。
【”米墨国境の高い高い壁”今作は、メキシコ人製作陣の当時のアメリカを統べていた男への激しい怒りを抑制したトーンで描いた作品である。そして、今でも、米墨国境の問題は、何ら改善されていないのである。】
ー 米墨国境を舞台にした映画は、御存じの通り傑作”ボーダーライン”シリーズや、名作「ノー・カントリー」、近年で言えば、リーアム・ニーソン父さんの「マークスマン」が脳裏に浮かぶであろう。
この諸作品では、苛烈極まるバイオレンスシーンが描かれている。
だが、今作品ではそのようなシーンは表立っては描かれない。しかし、エンタメ要素を廃したリアリズムある戦慄するシーンがしっかりと描かれている。ー
■メキシコの貧しい村に暮らすマグダレーナの息子、ルイスは、貧困から抜け出すため仕事と夢を求めて友人のレゴとアメリカへ旅立ち、そのまま消息を絶つ。
多くの若者が国境を越えようとして命を失うことが多いなか、マグダレーナは息子を捜すためにひとり村を出発する。
◆感想<Caution! 一部、内容に触れています。>
・今作は、上記に記した通りエンタメ要素がほぼ皆無の中、米墨国境の高い高い壁の実情をドキュメンタリー作品の如く描いている。
・ルイスと、レゴが乗ったバスに同乗したメキシコ人男性が語る、虐殺シーン。
ー 字幕が出ないのは、演出であろう。過剰な演出が無い分、恐ろしさが伝わって来る。-
・マグダレーナが一人、息子を探す旅の中で出会った、母を探すミゲル青年と同行するが、彼が”悪魔”により命を奪われるシーンは観ていてキツイ。
<マグダレーナが漸く、息子に会うシーンも切ない。アメリカで新たなる生活をすべくメキシコを出た筈の息子の姿。
今作が、現代の米墨国境の問題に訴えかける問いは深い。>
■”お前は、米墨国境の問題をどれくらい知っているのか!”という声が聞こえて来そうだが、私が勤務する会社はメキシコにも関係会社があり、実情は情報としては知っている。
だが、邦人は米墨国境付近に行くことは禁じられている。
それが、2023年の実態である事は、敢えて記載する。
米墨国境の問題は、何ら改善されていないのである。
メキシコの寒村からふたりの青年が旅立った。 向かった先は隣国米国。...
メキシコの寒村からふたりの青年が旅立った。
向かった先は隣国米国。
しかし、一向に音沙汰がないことから青年の母マグダレーナ(メルセデス・エルナンデス)は心配になってしまう。
ともに旅立った青年の母親とともに警察に行くと、最近2週間のうちに発見された身元不明死体の写真をみせられる。
その中には、ともに旅立った青年の特徴の額の白痣のある死体の写真があった。
マグダレーナは、矢も楯もたまらず、青年ふたりが消息を絶った国境の町へ単身赴くことにした・・・
といったところからはじまる物語で、特徴ある語り口で映画がすすんで行きます。
どのような特徴かというと、マグダレーナを追うだけでなく、脇の人物のエピソードがかなり長めに挿入されており、巻頭は白痣のある青年の母親の方が長く映し出されており、てっきりこちらが主人公かと思った次第。
マグダレーナが国境の町に向かってからも、米国から強制送還される青年の姿が延々と映し出され、「この人物は誰?」ということになります。
が、彼(ミゲルという名(ダビド・イジェスカス))が米国の入管を出、メキシコの入管へ到着、さらに国境の町へ出るまでをワンショットと撮っており、ここが映画前半の見どころでもあります。
米国から強制送還されたミゲルは数年ぶりに故郷の村に帰りつくのですが、生家は崩壊、村に住人は残っていない。
国境の町周辺では暴力は日常茶飯事、強奪殺人も頻出している。
こんな辺鄙な村でマグダレーナとミゲルが出逢うのですが、息子が乗ったバスは襲撃され、その生き残りの老人がこの近くにいるという。
老人は、湖沼の反対側に住んでおり、その襲撃の様を聞きに行くとマグダレーナは言うわけです。
本編の白眉は、その老人の語りに重ねてのバス襲撃事件。
老人はスペイン語は話せず、当地の方言しか話せない。
台詞は当地方言で、日本語字幕も出ません。
そこへ重ねられる悪行の様は、まさに「悪魔をみた」といっても過言ではないでしょう。
息子は死んだもの、と観念したマグダレーナでしたが・・・・
となればある種のハッピーエンドを予想するところですが、そうはいかない。
もうひとつ、恐ろしい事件が起き、ミゲルが死んでしまう。
この終盤も衝撃です。
引き取り手のいないミゲルの遺体をマグダレーナが引き取るところで映画は終わるのですが、とにかくこれほどまでに暴力に満ち溢れた世界が(戦争でもないというのに)あるということがいちばんの衝撃です。
いや、ウクライナのみならず、世界は戦争状態なのかもしれません。
そう思わずにはいられない衝撃作でした。
美しい映像と過酷な現実
メキシコの貧困に喘ぐ庶民の過酷な日常が、美しい風景と絡まり、より凄惨なドラマとなって観客を惹きつける。恬淡と地味な流れの映画だが、見終わってからズシンっと響いてくる秀作である。
私が母親だったら?!
メキシコの映画ということで飛びついたが、み終わって、大きな衝撃を受けて
しまった。不法移民の米国侵入問題をよそに、母親マグダレーナ(メキシコの俳優メルセデス・エルナンデス)の心理状態を察すると、気分が重くなった。この映画で初めのへんで息子、リゴの行方がわからなくなってから、最後の最後のシーンの母親の険しい顔つきのところまで、母親の心の中を描き出し、結論は我々の判断に任せるという形をとっていると思う。
1)不法侵入して戻されたーミゲルのケース
2)国境まで行かないうちに殺されたーリゴの友達や目医者の息子のケース
3)国境にいかず戻ったー母親、マグダレーナのケース
上記の3点を何らかの形で国境を越えて米国入国を希望する人が一時宿泊する場所で母親があった女性に言われたが、
そこに、4点目、ギャング(金品巻き上げたり、レイプしたり、虐殺したりしたりする)の若者リクルートの餌食になった息子。『自分の道を探したい』と言って母の元を去った息子だが。
4点目は闇の動きで、バス会社も営利追及が目的なので、公にしないが、『知る人ぞ知る』なので、中南米からビザなしで米国侵入存在をより、不可解で、闇に葬られている。それに、バスの運転手とギャングも営利関係でつながっているのかも??
現在、米国はバイデン政権なので、トランプ政権と違って、ビザがあってもなくても。米国入国しやすくなったと人々は思っているらしいと聞いた。だから、以前はメキシコ、グアテマラ、エクワドル、などの国から、米国入国したが、現在はブラジルや南米アメリカ以外の国から、米国に入国したく国境でで待ち構えていると。ウクライナの男性が、メキシコ、アカプルコに飛行機で到着して、その後無事に米国入国を果たしたという話をどこかで読んだ記憶がある。 以前は『キャラバン』と言って、主に地元のギャングにリクルートされたくないから、身の危険を考え、親が子供たちのため大金をコヨーテに払って、米国に送ったり、列を作って米国入国の機会を待っている記事を読んだことがある。 それに、この映画でもわかるように、貧困家庭でなくても(目医者の息子、土地と家を持っているマグダレーナの息子)希望や夢や一攫千金を狙って、国境を越えたい人もいるだろう。また、家族に会いたくて行く人もいるだろう。
この映画で、法律、社会、外交問題を論じる気になれない。母親の気持ちに寄り添うことも苦痛になって、もし、私がこの母親ならアリゾナに行こうとしてギャングになった息子、リゴとの関係をピッタリ切って、死んだものとみなすとも言い切れない。
しかし、この結末が、グアナフアトのサン・フェリーぺで暮らそうとミゲルに話すところや、生き残った老人、アルバート・マテオとあってから、『あなたのために帰ってきた』とミゲルのところに戻ってきたシーンを考えると、もう、息子、リゴを完全に諦めていたと思う。それに、生き残った老人の言葉『悪魔にとられた』という言葉も、母親マグダレーナにとってみると、息子リゴは悪魔に取られたと諦めたと思う。しかし、息子が悪魔だとは。
オーカンポでミゲルを息子として扱い、自分の息子がミゲルで、死んだが、、、でも、まだやりきれない複雑な怒りが、ギャングになった前の息子リゴにあるように思われる。
蛇足、
撮影場所はグアナフアト州であると。この映画はそこの四季の移り変わりを待ってとっていると。四季が違うことで、地域感を出していると。あと、主なクルーでは一人だけが男性で、あとは女性らしい。
ミゲル(メキシコの俳優、ダビ・イジェスカス)とマグダレーナ(メキシコの俳優メルセデス・エルナンデス)が俳優のみらしい。後の人々は素人を訓練したらしい。
国境線の悪魔
アメリカへ出稼ぎに行くと言ったきり行方不明となった息子を探しに旅立つ母親の物語。
友人と二人で出かけた息子だが、乗っていたバスが襲撃にあった可能性があり、さらに息子の友人の遺体写真が見つかるものの、息子の死の証拠は出ないことから、今も生きていると信じる母親だが…。
終始静かで陰鬱な雰囲気の作品。
セリフというよりも、暮れかけたメキシコの荒涼とした大地、風や虫、川などが奏でる自然音が美しくも侘しく語り掛けてくるような雰囲気。
ゆったりとした流れで言葉数も少なく、普通ならウトウトとしてしまいそうな作風だが、不思議と引き込まれる展開。道中で出逢う、息子を亡くした母親、そして息子と同い年くらいの少年がまた物語をダルトーンに彩る。作中、笑顔とか一瞬も無かったんじゃないかな。
そして終盤。字幕も出ない回想シーン。言葉はわからないなりに脳内翻訳して観てみるが・・・。
メキシコ、特に国境付近は治安が悪いとは聞くけど、ホントにこんなことが珍しくないのだろうか。恐ろしすぎる。
そしてメキシコって、悪魔が広く信じられているイメージ。幻覚的に出すシルエットはストレートすぎるけど、夜道にボワっと浮かび上がる前方車両の光とか、なんか凄く上手く悪魔を表現しているように感じた。ゾワゾワ。。
ここからの展開は目が離せないですね。そしてこの結末、彼女にとってはいったいどういうものだろうか?衝撃的です。
兎に角、おもいっきりガツンと殴られたような気分になる作品。
それなりにお客さんは入っていたけど、エンドロール始まっても誰一人立ち上がらない。
それぐらいの深い後味の残る掘り出し物作品だった。
逆「母を訪ねて三千里」ではありません。
いつも通りに前情報なしで鑑賞です。息子を探す・・・なるほど「母をたずねて三千里」の逆か・・・と勝手に想像してました・・・笑っちゃうくらいに全く違う作品です。はい。
「国境には悪魔がいる」観賞後に見た作品ポスターに描かれているコピーの一文。そうなんです、主題はそこなんです。本作は、きっと今も存在する社会問題(国家問題かな?)を描いたハードな作品なんです。
オープニングから続く緊張感はなんなんだろう?緊張感の種類は見始めと終盤で変わります。それはぜひ鑑賞して味わってほしいです。そしてなかなかの絶望感まで味合わせてもらえます。こんなにも綺麗で詩的な映像や描写で紡がれているのに、ただ緊張感と絶望感を増幅させるものでした。どこにでもいる一人の母親の目線で淡々と描いているからこそドスンと伝わってくるのでしょうね。こんな気持ちを作品内舞台の地域の方が日常的に味わってると考えると本当に恐ろしくてたまりません。そしてクライマックス・・・・これ、かなり辛いです。ちょっと心が「ポカン」となりました。それほどショッキングです。心張り裂けそうってこのことかと。
医師ムクウェゲさんの映画を見た時も思いましたが、貧困がもたらす政情不安や強大な暴力が生む悲劇は止まらないです。このような作品を見るたびに思うのは、そんな日常が存在する世界があるんだと言うことを知るべきだと。なぜ生まれているのか?なぜこうなってしまうのか?知ることから始まることもあると思うんです。美しい映像で詩を語るように突きつけられる辛い現実を、僕たちは受け止めなくてはならないのだと思うのです、一人でも多くの方が。
ある意味、ハッピーエンドでは?
被写体を、ほぼ、主要な二人だけに絞り込んだ、ドキュメンタリーのような映像からは、ただならぬ臨場感と閉塞感が感じられて、息苦しくなる。その一方で、美しく撮影された自然の描写からは、寓話的な要素を感じ取ることもできる。
特に、理解のできない言葉で語られるバスの襲撃シーンと悪魔の描写は、残酷でありながらも幻想的な美しさがあり、思わず観いってしまった。
語り口は淡々としているが、それだけに、被害者と加害者が入れ替わるラストの展開は衝撃的である。ただ、観客としては後味の悪いバッドエンドに思えるが、母親としてはどうなのだろうとも考えさせられた。
どんな苦難もいとわず、真実を求め、息子の無事を信じ続けた母親にとっては、たとえ悪魔に姿を変えていようとも、息子が生きてさえいれば、「良かった」と思えるのではないだろうか?
ただ心に響くに留まらない!
親として子として人として、迫る心情はとても切なく辛い。
シエラレオネの少年兵、ソマリアの海賊、シリアのISIS、何故ならざるを得ないかの社会のリアル。
この現実をつきつけられた自分はどうする?
メキシコ!
頭からお尻まで超絶シビア。サボテンブラザーズが懐かしい。バスが普通に消えるとか、治安が悪いのレベルが違う。メキシコよ!これでいいのか?と監督が問いかけているような感じを受けました。母親は結局息子を探しに行くべきだったのか諦めるべきだったのか、エンドロールを眺めながらジッと考えてしまいました。あとわざと表情を映さず、背中だけを延々と追いかけるカメラワークとか凄く良かったですね。観て良かったです。
衝撃的で悲しい
BGMがほぼないだけでなく、字幕などの説明も全くなく、フイルムを繋げ合わせているだけみたいにも思える映像。なのでいつのことなのかも明確ではない。場所はメキシコで、多くの10代の若者や子供がアメリカに入って稼ぎ家族を助けることを夢見ている。ただ、不法入国者に対してアメリカも厳しい。
まだ中学生くらいの息子がある日友達とアメリカに発って行ったが、今からバスに乗ると電話があって以降2ヶ月も連絡がない。一緒に行った友達の母親と共に捜査を依頼すると、友達の方は殺害された写真が見つかったが自分の息子は結局行方不明で、一人捜査に向かう。国境に行けば移民の受け入れ先に行け、そこに行けばあそこに誰がいる、その人に会えばまた何処を訪ねろ、と、途中、途中で眼科医など色んな人に会って、ロードムービーというには厳しいが息子をたずねて三千里という感じ。
一方で国境を超えてアメリカで働いていた青年が国外退去になり、5年ぶりに母の住む実家に戻る。公共交通機関はなくヒッチハイクしか手段がない場所で、自分が不在の間にすっかり治安が悪化し物騒になっていた。荒れ野を歩いている時に主人公の女性を見つけ、声をかける。彼女に自分の母親の面影を感じたのか、親切にも家に招く。2人で自宅に着くと母親はおらず、そこには襲われた様子があった。
悲嘆にくれる彼に、自分の街に来るように言う主人公。2人の間に親子のような信頼が生まれていた時、自動車が。2人は藪の中に隠れるが、逃げきれないと判断した青年が投降した途端に射殺される。逃走した主人公も襲撃団の一人に捕まるが、それは紛れもなく息子だった。
実は国境に向かうバスが襲われ乗客が殺される中、そこで友達を殺すことによって息子は生き延び、襲撃団に捕まって一員となったのだった。
帰宅したら友達の母親に捜査の結果を聞かれ、見つからなかったと言えば慰れられるだろう。息子が生きているのは希望になるのか、絶望なのか。
また、貧困からくるメキシコの治安の悪さが怖過ぎる。何とか彼らに平和が来てほしい。
悪魔はすぐそばにいる
貧困の村からアメリカへ向かうため国境へと旅立ち行方不明になった息子を探す母親。メキシコの荒涼とした風景が美しくそして不穏に描写される。そしてロードムービー然とした展開から、物語は意外な方向へ。貧困と暴力の連鎖を今までになかった手法で描いた秀作。悪魔はすぐそばにいる。
人間の行動 < 自然の摂理
愚かな人間の行動には、いちいち細かい理由なんぞは無くて、ひたむきな一般庶民とアウトローのいずれかしか居ないのだと考えざるを得ない境地に追い込まれつつも、そんな人間にはお構いなしに、地球上では昼と夜が繰り返し、川は流れ、植物は生い茂り、鳥や虫のさえずりが聞かれるのだという人間以外の粛々たる自然の摂理が主であることを強調した感強しでした。これは映画館でじっくりと、できれば独りで観るべしです。
日本に生まれて良かったと思える作品
国境を越えてアメリカへ職を求めて旅立った息子が行方知れずになり2か月して、母親が息子の足取りを求めて旅を続けるというストーリー。
メキシコ・スペイン合作映画なので多分リアルな状況を描いている気はしますがあまりに過酷で残酷なシーンが続きます。
あまりに治安の悪さで不安を避ける為にアメリカに移住を希望する人たちの気持ちも理解できる作品です。
周りの人が悪魔に殺されたと証言する老人の姿が胸に刺さります。母親の体験するラストも衝撃的。
娯楽作品ではないので誰でもお勧めできる映画ではないですが今の学校や会社の現状に不満がある人にはお勧めします。
現代の日本に生まれて良かったと実感できます。
書類を読んで、同意するならサインを。
物語はけっこう淡々と進行していく。ただ、何もないわけではなく、失踪した息子に会いたい一心の母の愛は、無言の中にも熱くたぎっている。捜索を断念することの無念を語る別の母親に出会い決意を新たにしたり、また、こちらは母を探しているという、我が子と同年配の青年に出会って行動を共にしたり、けしてその道は平坦でもない。なにより、自分の命も危険に晒しながらの息子探しの旅なのだ。
そして、行く先のみえない停滞した空気を味わいだしたところでの、衝撃のラスト。ああ、あるよこの展開は。日本の時代劇でも見かけるよ、この末路。でも、今のメキシコではこれが現実にあり得る。この母は、なんと悔やんだらいいのだろう?どこに何を訴えればいいのだろう?このまま、「動かないで」いることが最良の選択なのか?
重いなあ、気分が。でも見応えはあった。
難をいえば、登場人物が把握し難かったこと。どうしても馴染みのないメキシコ人ゆえに顔認識が追い付かず、人物が混同する。急に出てきて、誰?とか、ああこの人はメインキャストじゃないのか、とか。一度、あらすじをおさらいしてからの鑑賞をお勧めします。
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