「神々の叙事詩は荘厳だが、MCUらしさにはやや欠ける」エターナルズ アルタイルさんの映画レビュー(感想・評価)
神々の叙事詩は荘厳だが、MCUらしさにはやや欠ける
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『エターナルズ』は、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の中でも、最も哲学的で静かな作品のひとつです。地球に数千年も潜んでいた超越的存在たちが、人類の歴史とともに歩んできた軌跡を描く本作は、**ヒーロー映画というより“神話映画”**に近い趣があります。
まず映像美については、監督クロエ・ジャオの手腕が遺憾なく発揮されており、自然光を生かしたロケ撮影や壮大な風景描写はまさに映画館で観る価値のあるスケール。美しい構図の数々は、MCU作品の中でも特に芸術性が高く、印象的です。
一方で、キャラクターの多さがやや物語の焦点をぼやけさせているのは否めません。10人のエターナルズそれぞれに背景と葛藤を与えようとする意図は評価できますが、2時間半という時間では深掘りが難しく、感情移入できるキャラとそうでないキャラの差が目立ちました。
特に、マーベル作品において期待されるスピード感やユーモア、キャッチーな展開はやや控えめで、良く言えば“格調高い”、悪く言えば“退屈”と感じる人もいるでしょう。アクションシーンも抑制されており、テンポの遅さが評価を分けるポイントとなります。
とはいえ、宇宙的スケールでの創世神話、善悪の彼岸を問うテーマ、そして新たな存在「セレスティアルズ」の導入など、MCUに深みを与える挑戦的な一作であることは間違いありません。今後の展開にどう影響するか、期待を込めての3.5点です。
MCUらしさを求めすぎず、新しい世界観を受け入れられるなら、一見の価値ありの作品です。
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