「本当の自分自身で日々を過ごせる美しさ」あの夏のルカ J24さんの映画レビュー(感想・評価)
本当の自分自身で日々を過ごせる美しさ
主人公のルカはシーモンスター。普段は海の底で暮らし人間との接触を禁じられている。
海の底には人間世界で使われてる物が沈んでいる事もあってそれらに興味を持ったルカは地上世界へ強く興味を持つ。
そんな中同じ年代のシーモンスターアルベルトと出会う。彼と出会う事で、地上に出て体に水が触れていない時は人間の姿になる事ができる事を初めて知る。彼は地上世界と海中を行き来した生活を送っており、彼に色んな事を習うように共に生活を送る。
そんな時両親に地上世界を行ってる事がバレ、海中に閉じ込められそうになった時にアルベルト共に人間世界へ家出する。
水に触れるとシーモンスターに戻ってしまう不安、シーモンスターは人間にとっては危険な存在とされ懸賞金をかけられてる状況をはじめとした最初は不安だらけの日々を送るが、地上世界では人間のジュリアと友達となり彼の父とも友となる。
この町で毎年夏に子供達に向けて行われるトライアスロンの様な大会に向けて、ルカ、アルベルトそしてジュリアが協力して優勝を目指す事となるがその過程でルカとアルベルトが各々違う目標や夢を抱くようになりぶつかってしまう。
アルベルトはシーモンスターである事が町のもにバレ大会に出る事を諦めるが最後は大会出場中のルカを助け、そして共にシーモンスター化となるが大会に一生懸命取り組む姿、二人が助け合う姿、そしてこれまで町で過ごしてきた姿を住民達が認めシーモンスターである彼らを受け入れて作品は終わる。
昨今の多様性社会をピクサーの世界観で表現した作品でありそして子供が見ても分かりやすくストレートに描かれた作品であった。そのストレートさがまっすぐ過ぎて心に直で響き後半はとても多くの涙を流してしまった。
この作品の好きなところは非常に少年時代を思い出させてくれたり、大人になっても心の奥にある純心さを非常に擽ってくれる。
それはルカの言葉一つ一つがとても純粋だからであろう。シーモンスターで海の底にずっと暮らしていた彼が何も知らない人間世界を送り目に映る事全てが新しい発見ばかりの状況と彼の純粋さが非常に上手く描かれている。
人間世界は危険でありルカを過保護に接していた両親の考えも行動ももちろん理解でき、ルカ達でなければ早々に人間に殺められていたかもしれない。
外の世界は沢山危険な事も待ってるし、傷つく出来事も沢山ある。ただそれら以上に世界は自分が思ってる以上に大切な事や美しい事が待っている。
その大切な事や美しい事に出会えるために時には辛い事も我慢して乗り越えていく事もある事を改めて実感させられる。
この作品で一番好きなシーンは最後のシーン。ルカ達がシーモンスターである事を住民に認められた際、住民の一部が自分たちもシーモンスターである事を明かす。
まだまだ時代は間違った事に縛られ、理不尽な差別によって苦しむ人もいる。そういう差別を受けない為、自分達を守る為に本当の自分自身を曝け出す事ができず社会に適応しようと偽る事で日々の生活を送っている人も世界には沢山いる。
このルカの世界の様に1日でも早く皆が皆本当の自分自身で生活が送れる社会にしていく必要、そしてお互いが理解し共存していく社会の美しさを心から感じさせてくれる作品であった。
映像も綺麗でディズニーファンとしては映画館で見れない点は残念であったが、
子供が存分に楽しめそして分かりやすくストレートなメッセージを送ってくれる作品である為家族で見られる環境の人には強く勧めたい作品であると感じた。
もちろん一人で見るのもまた良い。ディズニーファンであればディズニーらしいシンプルかつストレートな美しい表現をこの作品でも楽しめる事は間違いない。
今年も半分が過ぎようとしているが今年見た作品の中では自分にとってベスト級の作品であった。