パリの調香師 しあわせの香りを探してのレビュー・感想・評価
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J'ADORE ジャドール=大好き。
塩尻市の東座。
久しぶりに近所の小屋へ行きました。
「男」とか「女」だとか言うのはあまり好きじゃないけれど、素敵な女支配人が切り盛りしている、とても小さな映画館です。
彼女がいる日は当たり。
いない日は・・ハズレです。
(おじさんご免なさい)。
雨の夜です、今夜はお目当ての彼女はいるでしょうか?
・・笑笑・・《😉♪》 でした
雨の夜にバイクで行った甲斐があったというものです。
本日の出し物は「パリの調香師」。
受付でその美しい彼女がチケットにディオールの「ジャドール」を吹いてくれます。
そして細い手をスッと伸ばして、白く長いムエット(紙片)にもう一種類の香りを、僕に手渡しながら
「映画の最後にこの香りの答えがわかりますよ」とニッコリ。
たった4人の観客ですが、明かりの落ちた館内には ほのかにジャドールが漂います。
🎵
で、
映画が終わりまして、(えっ!もう終わりかよ)
出口の受付前で、くだんのヴィーナスが微笑みながらお客をひとりひとり見送ってくれます。
とうとう今夜も渡せませんでしたよ、ポケットの中の小さなDiorのイヤリング。
たいして何も語れずじまい。 ― 僕のお気に入りはパルファムDior Hommeだってことも。
もしおしゃべりが弾めば昼間の愛車でのドライブはGUCCIのENVYの香りだってことも ― 。
この映画館は、
町内のレストランとコラボして「映画に登場したお料理を鑑賞後に食べにいける♪」なんていう粋な企画もやるんですよね、
映画って、そうなんですよ、“五感”で楽しみたいし、今回の“香り”ももちろんそう。
映画館の前に立ったときからきょうの物語は始まっています。切符売り場から映画は始まっているんです。
・・・・・・・・・・・・
抱きたる汝が細き手を夏ツバメ
ほどき飛びたちジャドールと叫び
・・・・・・・・・・・・
追記:
おっと!
映画の中身には何も触れていませんでしたねー(笑)
嗅覚を失って入院してからのアンヌの眼差しが、ホント穏やかで良かったなぁ。失意の度合いに反比例して、人間の匂いに目を覚ましていくあたりです。
新型コロナウイルスが収まりません。「嗅覚の危機」です。
僕がワイン工場を辞めたのも、薬石効なく、花粉症のせいでした。年間3ヶ月は鼻がバカになります。それではどうにも仕事にならないのです。
本作品の主人公=香水の調香師や、ワイン、ウイスキーの醸造家たち、そして料理人やソムリエ等。彼ら「鼻」が生命線である練達者にとっては、コロナ・ウイルスはまったく恐怖そのものだと思います。
エール大学の教授がラジオでレポートしていました ―
「味覚や嗅覚の低下、そして引き起こる体のだるさ。これらコロナの典型的な症状を研究して判ったことは、定説に反してこのウイルスは首から上、つまり脳の内部にまで侵入して神経系をおかしている」
と。
・
夏草の香り
刈り取ったばかりの青草を渡る風
降り始めた夕立の気配
泣きながら顔を埋めたぬいぐるみ
乳臭い生まれたばかりの弟
おばあちゃんの家の夏休みの匂い
中学校の図書館
あと何分で炊き上がる~御飯釜
お線香、蚊取り線香、網戸を抜けてくる夜風
やわらかい晩秋の腐葉土
カビてゆく根雪
そしてもちろんあれね、
お母さんがお布団干しをしてくれた日の幸せ
etc. etc. etc.
「嗅覚を失うこと」がどれほど僕らにとって残念なことか気づけば、コロナの恐ろしさは、それはそれは気を失なうほどです。
人間同士の化学反応が生み出すもの
自らの才能に気づき頂点を極めた女と自らの才能に気づかず埋もれていた男が織り成す物語。
調香師という職業ゆえに香りの殻に閉じ籠り、そこに人間臭さを失ってしまったアンヌ。
また彼女を取り巻く周囲の人間もビジネス至上主義で彼女の才能はお金を生み出す手段でしかない。
偏屈で頑固で変り者のイヤな女だと思ったけど本音は苦しくてしんどかったんだろうな。
調香師という職業の過酷さも垣間見た気がした。
「匂いだけが人間じゃない」、核心を衝く言葉に自分の殻を一寸だけ破ってみようとするアンヌが意地らしかった。
互いに余り多くを語らないが、二人の化学反応により、互いの人生が再生されていく、味わい深い話だった。
香水は人間を幸せにする香りなのだから、人間をしっかり見なきゃね、っていうメッセージはしっかり受け取れた。
がんばれギヨーム
ハイヤー運転手のギヨームは親権も仕事も失う寸前のギリギリおじさん。そんな彼がある日お仕事で乗せたアンはコミュ症で思いやりにかける女性だが、お互いに欠けた部分を補うことができ。人には思いがけない才能がある場合もあり、向き不向きもあると気づかせてくれるドラマ。
アンのが全面に出ててアンの話かと思ったらむしろギヨームの話だった。悪い奴ではないがそんなに同情もできないながら、100分の中できっちり成長を遂げる。
副題はダサすぎる。
【”香りの世界”に閉じこもっている調香師と、ハイヤーの運転手。心に傷を負った二人の関係性の微妙な変化を繊細に描いた作品。】
■感想<Caution! 内容に触れています。>
・アンヌ(エマニュエル・ドゥボス)は、且つては一流ブランド”DIOR”の香水の調香を任されていた天才調香師。だが、現在は一度、嗅覚に異常を来した事が理由で、革製品の悪臭緩和などの仕事に甘んじている。
そして、彼女は香の世界に長年閉じこもっているためか、他者とのコミュニケーションが上手く取れず、それが高慢に取られることも屡々だ・・。
ー 嗅覚の繊細を維持するために、アンヌがハイヤー運転手のギヨーム(グレゴリー・モンテル)の煙草を箱ごと、窓から捨てるシーン。彼女の性格も一発で分かる・・。ー
・ハイヤー運転手のギヨームも妻と別れ、愛娘レアと時折会う事が生き甲斐のようだ・・。だが、仕事は不安定で、過去に交通違反を何度か犯した事で、職の維持も危うい・・。そんなギヨームがアンヌのハイヤー運転手として雇われ・・。
ー 二人の関係性は、序盤は宜しくない。ギヨームは”アンタは荷物を運べと命令するだけで、礼の一つも言わない!”と吐き捨て、アンヌの元を去るが、再びアンヌから指名を受ける・・。アンヌはギヨームの嗅覚の鋭さに、少し気付いていたのではないかな?ー
・アンヌが仕事や人間関係のストレスで睡眠薬を過剰に摂取してしまい、ギヨームは救急病院へアンナを届けるが、スピード違反で職を失い・・。
ー アンヌとギヨームの関係性が、大きく変わった出来事である。そして、アンナは懸案の工場から排出される煙の臭い対策を考えるため、ギヨームの嗅覚を頼る・・。ー
<アンヌとギヨームの人物造形が独特であるが、二人とも相手が”傷を抱えた”似た者であることを、気づいて行く過程が、面白い。そして、アンヌとギヨームの関係性が、徐々に変化していく・・。小粋な作品である。>
<2021年3月28日 刈谷日劇にて鑑賞>
タバコのニオイが気になりますか?ニオイの問題ではない。
工場の煙のニオイが気になりますか?だからニオイの問題ではない。
フランスの映画。
偏屈な調香師と娘思いパパ運転手の取り合わせがよい。幸せを探す彼らは真剣。
クスっとした笑い所を自然にいれており、無駄なシーンの少ない手堅い作品。
強いパンチこそ無いが見る価値あり。
良い点
・題材
・ED曲
悪い点
・カメラワークが撮ってる感が所々
フランスの香りが感じられ、後味のよい映画
香水が好きなので、パリ、香水、調香師の仕事など、魅力的なテーマ設定に惹かれて鑑賞しました。
ちょい倍賞美津子似の主人公と、若い頃のカルロス・ゴーンのような運転手。
2人の自然な演技で無理なく見られました。
何より、映画で匂いは伝えられないはずなのに、何かが匂いたってくるような、鼻の奥を刺激されるような不思議な感覚がしました。
人間も動物ですから、嗅覚を使って生活してきたはずなのですが、自分で確かめなくても安全な食べ物が手に入り、天気の予測は天気予報に任せ、嗅ぐという行為をしなくなって久しい。
もっと自分の五感や嗅覚を意識して生活してみようと思いました。
2人が恋愛関係にならず、友情と尊敬で結ばれたところがよかったです。
ディオール
離婚調停真っ最中の文無し運転手の男と香水の調香師として名をはせた女が出会い、お互いの欠点を補いながら成長を遂げていくというヒューマンドラマ。運転手の吐息だけでタバコの銘柄を的中させたり、手を洗った石鹸の匂いからサマーキャンプの思い出を蘇らせたり、匂いだけで人生のすべてが構築されているようなヒロイン・アンヌの特異なキャラクターが魅力的だった。
また2人が最終的に恋愛関係にならず、仕事のパートナーとして終劇を向かえたのも良かった。
レビューを鵜呑みにするな
なあんだ 善い映画じゃない
パリジャンのスノッブさ フランス人のおおらかさ
大人の工夫が 洒落毛と併せて醸し出されている
フランスに行けなくてココロが枯渇してる皆さん なかなかの美酒ですよ!
自販機は正しく使いましょう☝️
なるほど、なるほど「色恋沙汰」の香りを全く感じさせない
シンプルな大人のおフランスムービー!
地位と名誉を失った天才女性調香師と人生崖っぷちの運転手…
境遇も性格も正反対の2人が徐々に心の距離を縮めて行く過程に友情、まして恋愛関係等は無く
逆にそのフラットさがとてもいい!
ディオールが撮影協力との事もあり
世界最高峰のフランス香水界を覗き見しながらグレゴリー・モンテルの人間味溢れる演技と
偏屈な仏頂面を存分に楽しませて下さったエマニュエル・ドゥヴォスの2人の存在感が際立つ!
こんな相棒を仕事のパートナーに欲しいもんだ!
しあわせの黄色い石鹸
酸いも甘いも噛み分けたベテラン調香師の女性と子供の親権が欲しくてたまらないバツイチ運転手が次第にお互いを理解し、補いながらやっていく過程を描いた映画でした。
嗅覚障害になってしまったり、スランプに陥ったりしながらも、立ち寄ったガソリンスタンドのトイレの黄色い石鹸の匂いに懐かしさを覚えて、癒され、落ち着きを取り戻してゆく女調香師。運転手の嗅覚のセンスを引き出し、弟子にして、新たな香水作りに挑戦する気持ちになるハッピーエンドストーリー。HERMESの香水作った人のいちばん癒される香りがガソリンスタンドの石鹸というところが庶民的でほっこり。
ガソリンスタンドのヘビースモーカーばあちゃんは小汚ない魔法使いみたいだった。
吸うか?あんなばあちゃんの噛んだフィルター付きタバコ? すぐバレて、おこられるに決まっているのにね。ダメな男が連れてきたしあわせのきっかけ。
冒頭の運転手の吸っているタバコの銘柄、ニコチン含量、葉たばこの産地を当てるところから引き込まれました。
子役の娘がおしゃまで可愛かった。パパ大好き💕なんですよね~羨ましい。何だって買ってあげたくなります。
このあと、女調香師と運転手は「パパの匂い臭い」って、年頃の娘が言わなくなる香水を開発して、大儲けしたりしてw
旅をしないロードムービー
調香師のところに派遣された運転手の男。車の運転以外のことを頼まれながらも、特殊なこだわりを持っている調香師と交流していく物語。
周りとの関係がうまく行っていない調香師と、別れて暮らす娘との関係がうまく行っていない運転手。2人で過ごす時間が長くなるにつれお互いが影響をうけあい変わっていくという流れ。話の内容は全然違うが、「グリーンブック」を思い出した。
一緒に過ごす時間が長くなって、お互いのことを知っていって、トラブルが起きて…。そう、実際旅をしているわけではないのだがロードムービーっぽいのだ。また香水を作りたいと思う調香師と、職をキチンとして子どもとの関係を改善しようとする男、2人の再生ストーリーとして面白かった。
ただし、マネージャーとの関係、持ち込んだ香水の結果あたりはもう少しはっきりさせてほしかった気持ちはある。
笑顔で映画館を後にできます。
この作品はランチ前、または夕食前に、それか嫌なことがあった1日の締めくくりに見ていただきたいですね。きっと笑顔になってご飯食べられますし、笑顔できるはずです。
ホンワカしますよ。
悪い人が出てこないっていいですね。
同日、この作品の前にハードな作品を鑑賞したたからかもしれませんけど(笑)
全体的に楽天的展開なので安心して観られるんですね。
人間関係の描写も家庭環境の描写もシビアではないです。あっても良さそうですが。
本作はあまり掘り下げません。
それはきっとアンヌとギョームという2つの香りのエッセンスを明確にして、その二つの香りがどう出会って、どのような香りを放つ関係になっていくのか?を集中して描きたかったのかな?と思います。ラスト、ギョームが生徒たちに説明している内容はまさにアンヌとギョームのお話です。
出会いを大切に、自身を知り認め、相手を理解し認め、その上で奏でるハーモニー。
人間関係の成り立ちを香りにうまく置き換え、おしゃれな物語に昇華させたなぁと思います。
そんな良い香りを発する二人が紡いだ結果・・・ラストですよね。
絵に描いたようなラストですが・・・大好きですよ、僕は!
色々と「もうちょっと」と思う部分はありましたが、それをいうのは野暮かなぁ?って。
こんなにハッピーになったんだから。
ハッピーになりたければ本作を。良作です。
五感すべてで会話しよう
若い頃どーにも苦手だった、おフレンチな映画達。歳を重ねると角が取れるのか、視る角度が増えるのか、平気というか好ましくなっていたりする。映画達は相も変わらず、おフレンチの香りバリバリなのに面白いものだ。
そんな、おフレンチの芳香ムンムンなバディものが今作品。とにかく面倒くさい女性と何かとしょんぼりな男性の、無くした何かを見つけるロードムービー。ふわっと広げてスッと消えるが余韻の長い残り香。そんな映画でございました。きっと女性は彼の素の香りが好ましく、男性は彼女の怯えた瞳がほっとけなかったんだろうなぁ。そういう奇跡の出会い、良いと思います。
本来ならラストシークエンスこそが本番なんだろうけれど、素晴らしい肩透かしでのエンドロール、お見事でした!
余談:彼とコリン・ファレルがずーっと被って見えてたのだけれど、ラストに突然メル・ギブソンになったから、ビックリして笑っちゃった(笑)
香りと脳の繋がり
執着してしまう香りがある。
春先の沈丁花の香りが待ち遠しいとか、トワイニングのバニラティーとグレープフルーツとジュニパーメインのバスオイルは常にストックしておきたいとか、レモングラスは生の香りが好き、などなど。
鼻の奥の方でたまらなく欲していて、芯からリラックス出来るのだ。
アンヌが懐かしくなった手洗い場の石鹸の香りも同じだった。
香りを擦り込む様に泡立て手を洗い、香りを吸い込む。見てる私の目にも幼い彼女が浮かび、あゝ香りが鼻の奥の方かすめてるそう思ったと同時に私の何かがパカっと開いてしまった。
深いリラックスと過去の記憶と過去の空気が、頭からぶわーって放たれる。
店員の香水、草刈りの草の香り、この作品にはプルースト効果を思わせるシーンがたびたび出てくるが、そのたびにスイッチの入った私の脳はアンヌやギヨームと記憶を共有し、見えない思いに涙を流してしまった。
まったく接点のないアンヌとギヨームの歩調が次第に合ってくる。
共通点は、惜しげもなく脳を解放し香りを受け止められる所と感じる。
久しぶりに、はじめてピンと来た香水を引っ張り出してワンプッシュ。1990年代前半の時代の空気がぶわーっと溢れ出して来た。
普段思い出さない記憶と空気を引き出す香り達、香りと脳の繋がりを体感する素敵な作品だった。
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