劇場公開日 2021年1月15日

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「【”香りの世界”に閉じこもっている調香師と、ハイヤーの運転手。心に傷を負った二人の関係性の微妙な変化を繊細に描いた作品。】」パリの調香師 しあわせの香りを探して NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”香りの世界”に閉じこもっている調香師と、ハイヤーの運転手。心に傷を負った二人の関係性の微妙な変化を繊細に描いた作品。】

2021年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

■感想<Caution! 内容に触れています。>

 ・アンヌ(エマニュエル・ドゥボス)は、且つては一流ブランド”DIOR”の香水の調香を任されていた天才調香師。だが、現在は一度、嗅覚に異常を来した事が理由で、革製品の悪臭緩和などの仕事に甘んじている。
 そして、彼女は香の世界に長年閉じこもっているためか、他者とのコミュニケーションが上手く取れず、それが高慢に取られることも屡々だ・・。
ー 嗅覚の繊細を維持するために、アンヌがハイヤー運転手のギヨーム(グレゴリー・モンテル)の煙草を箱ごと、窓から捨てるシーン。彼女の性格も一発で分かる・・。ー

 ・ハイヤー運転手のギヨームも妻と別れ、愛娘レアと時折会う事が生き甲斐のようだ・・。だが、仕事は不安定で、過去に交通違反を何度か犯した事で、職の維持も危うい・・。そんなギヨームがアンヌのハイヤー運転手として雇われ・・。
ー 二人の関係性は、序盤は宜しくない。ギヨームは”アンタは荷物を運べと命令するだけで、礼の一つも言わない!”と吐き捨て、アンヌの元を去るが、再びアンヌから指名を受ける・・。アンヌはギヨームの嗅覚の鋭さに、少し気付いていたのではないかな?ー

 ・アンヌが仕事や人間関係のストレスで睡眠薬を過剰に摂取してしまい、ギヨームは救急病院へアンナを届けるが、スピード違反で職を失い・・。
ー アンヌとギヨームの関係性が、大きく変わった出来事である。そして、アンナは懸案の工場から排出される煙の臭い対策を考えるため、ギヨームの嗅覚を頼る・・。ー

<アンヌとギヨームの人物造形が独特であるが、二人とも相手が”傷を抱えた”似た者であることを、気づいて行く過程が、面白い。そして、アンヌとギヨームの関係性が、徐々に変化していく・・。小粋な作品である。>

<2021年3月28日 刈谷日劇にて鑑賞>

NOBU
はなもさんのコメント
2021年3月28日

アンヌ役の人はとても雰囲気があると思いました。
 二人の人物造形は、確かに独特でしたね。良い香りが漂ってくるような余韻ある作品でした。

はなも