劇場公開日 2020年12月11日

「映画人ジョージ・クルーニーが挑む映像面と感情面の充実」ミッドナイト・スカイ よしさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0映画人ジョージ・クルーニーが挑む映像面と感情面の充実

2020年12月23日
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《アイリス》父と娘 --- 大気汚染によって地上に住むことができなくなった地球、その北極圏で帰還途中の宇宙飛行士たちに交信を取ろうとする。生命体の目撃、新作や最近全く表立った活動なく音沙汰無かった印象のジョージ・クルーニーきっとそれだけ入魂の一作。なんせ主演、監督、製作。作家主義的とも言うか、一歩間違えると眠くなりそうな語り口と静けさに満ちた映像美の中で、キャラクターにスポットを当てる。かと言って個性がすごく際立っているかは分からないけど、その分もじっくりと感情を積み上げていく様が何よりリアル。音楽がそこに添い遂げ盛り立てる。
思った以上にキャッチーさは無い作品だったが、嫌いでもなかった。不必要に説明しないスタンスも好き。それ自体は悪くないのだけど、緊張感の欠如は幾分かあるかもしれない。にしても無重力に舞う血液はグロすぎる。『ソラリス』『ゼロ・グラビティ』出演経験もあってか(?)、今回自分は地球にいるものも内向きな葛藤はお手の物。共演にはフェリシティ・ジョーンズ、デヴィッド・オイェロウォ、カイル・チャンドラーなど実力派。タイトルは原作小説原題『グッドモーニング・ミッドナイト』の方が好きだったな。花の名前、花の一つ。けど実際に作品を見終えると納得してしまう。
この星・世界を、人類を救おうと家族も顧みずに躍起になっていた男が、世界の終わりに娘を救う。対象こそ広いものも、ある意味では利己的だったとも捉えられなくもない男が己を捨て、他者のために動くような様、主人公の変化はディストピアものという大きな規模感に反する個人的葛藤で沁み入る。

That's too much blood...
誰かを救えると思った

とぽとぽ