シカゴ7裁判のレビュー・感想・評価
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事件の知識は無い状態で観賞。
1968年にシカゴで開かれた民主党全国大会会場近隣の公園、及び、周辺で行われた大規模なベトナム戦争抗議デモで暴動が発生し、暴動を主導したとして共謀罪で逮捕、起訴された7人の裁判の話。
事件直後お咎めは無かったが、体制の変化により、罪状を無理やり当て嵌められてというストーリーで、裁判とは名ばかりの、有罪にしたてあげる出来レース。
なんて恐ろしい陰謀ストーリーだよ!
当日何が起きていたかを小出しにみせながら、法廷劇を展開して行くけれど、判事もグルでまともに審理にならない胸クソの悪さ。
被告側も7人全員で1組ではないから、そこでの意見のぶつかり合いもあり、見所たっぷり。
クラークの「出した」は痺れたし、色めき立ったんだけどねー。
絶望からの、最後の有無を言わせぬ抵抗も非常に熱くとても面白く興奮した。
10/16からNetflixで配信されるので 主な出演者と簡単な感...
10/16からNetflixで配信されるので
主な出演者と簡単な感想を。
エディ・レッドメイン
ジョセフ・ゴードン=レヴィット
マーク・ライアンス
サシャ・バロン・コーエン
ケルヴィン・ハリソンJr
アレックス・シャープ
ジェレミー・ストロング
マイケル・キートン
ジョン・キャロル・リンチ
フランク・ランジェラ
ヤーヤ・アブドゥル
上記の他にも、観たことあるぞ!という役者さんが沢山出演していて、役者が揃っています。そして個々の役者さんたちの演技が素晴らしい。
個人的にはサシャ・バロン・コーエン、マーク・ライアンスの演技と人物が好きでした。マーク・ライアンスの放つある言葉は、あの場面にいた者、そして観ているこちらの鬱憤を晴らしてくれる言葉でした。
言葉と言えば、ヤーヤ・アブドゥルの言葉、、かなりずしりときます。
これだけの役者さんたちをまとめているのが、監督、脚本を務めたアーロン・ソーキン。
ソーキンが脚本した、
“ソーシャル・ネットワーク”
“スティーブ・ジョブズ”はどちらも映画館で
観ましたが素晴らしい脚本でした。
懐かしいところで
“ア・フュー・グッドメン”の原作と脚本も
ソーキンだったんですね。さっき知りました。。
権力と法廷、法律と感情、信念と立場。
重厚なテーマの中にウィットに富んだ会話が随所に盛り込まれていて、緩急のある構成が素晴らしい。
個々の人物の見せ方、背景の描写も丁寧に描かれている。
しかし、このお話しはどうやって終わりを向かえるのだろうと思っていましたが、、
見事でした。ここにきてのこの閉め。。
さすがに胸に込み上げる熱いものを閉じ込められずでした。
素晴らしい作品です。
アメリカらしい戦い
観ていて心躍る作品ではあった。民衆やら大衆やらを演説で、時には過激なパフォーマンスをして惹きつけそして心の火を燃え上げ、理不尽な社会や世の中と闘い正していこうとする。まさにアメリカらしい戦いである。
冒頭から判事の態度は横柄で気分が悪い。(同じ名前を否定するあたりは特に…)
それが最後に勝利を得たときはグッときた。戦没者の名前を読み上げ、各々が追悼するところは非常にアメリカらしい姿であぁいう姿非常に憧れる。
他のレビューさんのレビューにもあるようにこの出来事を事前に詳しく知っているともっと楽しめたかなというのが個人的な課題でもあった。
お手本のような脚本ですが、予習はしておいたほうがいいと思います。
圧倒的に不利で、不当な裁判。
弁護団の中の人間関係でも様々な軋轢、そして紆余曲折がありながらも、最後は正義が勝つ。
この裁判のアメリカにおける司法史的な意味や後世の社会学的な分析での位置付けは分かりませんが、映画的には〝勝利〟と言える結末です。
そのラストシーン。
・〝俺の法廷〟での裁きを前に、その昂揚感と陶酔感を抑えるかのように上から目線で量刑の話をする悪徳判事。
・素直に平伏したかのように、復唱するエディ・レッドメイン。
・一気に訪れる大逆転の深い感動。
7人のその後が語られるエンドロールで更に余韻が深まります。
キャスティングと合わせて、出来過ぎなくらいの脚本
だと思いました。
ただ、ある程度、登場人物たちの関係性や事件の概要、あの時代のアメリカの空気感みたいなものは事前にネットで確認しておいた方がいいと思います。不勉強なくせに予習無しで観てしまった私は、始めの15分くらいは字幕を追いかけながら人物像を把握する脳内作業でだいぶ疲労を感じました。
Netflix x アーロンソーキン = 抜群の安定感
どうもNetflixオリジナルには抵抗がある
それは、いろんなジャンルを見ながらも、どこか視聴者の求める最大公約数でスクリプトを引いたような、そんな良く言えば安パイを地で行く、悪く言えば作家性を感じさせないどこかトゲを抜かれた作品が多いような気がしていたから。
で、今回の作品のような既にストーリーにメッセージ性があって、そして意表をつかれるよりは安心してクライマックスに期待できる下地、そしてアーロンさんという鉄板なドラマを撮れる監督の組み合わせは、すこぶる安定感が良いことに気づけた。
さすがにお金もあるから、俳優陣も良い。
たまたま、最近ペンタゴンペーパーズを見てて、自分の中で下地ができてたのもあり、あっという間の2時間強。
やっぱり、12人の怒れる男にはじまるこうした法廷ものは、分かってはいても最後のカタルシスにやられるのです。
それにしてもこのアーロンさんという監督、どこかくたびれた方程式で作品を作りがちだけど、その安心感が何よりも心地いいのです。
一周回ってやっぱりいいやつ。
しかし、家でもいいのに、あえて映画館で見て良かったと思わせてくれるレベルの作品をポンポンつくっちゃうNetflix、すげえわ。
今後もお世話になります笑
感動的なラストシーン
1968年8月、イリノイ州シカゴで、大統領選挙を前にして民主党の全国大会が開かれることになっていた。その年の4月にはマルチン ルーサー キング牧師が、テネシーメンフィスで暗殺され、6月にはジョンF ケネデイ大統領の後を継いで民主党選挙キャンペーン中だったロバートF ケネデイが、カルフォルニアで殺されていた。また、ベトナム戦争が深刻化していて、沢山の若者が徴兵で駆り立てられベトナムで命を落としていた。
民主党大会で数万人の支持者が全国から集まって来ることから、シカゴでは民主党学生組織は1万人規模の集会とベトナム戦争反対のデモを予定していた。またブラックパンサー党も集会を持ち、ヒッピーも1万5千人の集会と音楽祭を開催する予定でいた。それに対して、政府は1万5千人の完全武装の警官隊、1万人のナショナルガードを配備した。当日は、デモの衝突によって多数の負傷者が出るが、8人の活動家らが暴力扇動共謀罪で、起訴された。
初めはブラックパンサー党のボビー シールが加わり8人の被告だったが、ボビーは独自の弁護士を立てたことから、被告は7人となり、彼らのことは、「シカゴセブン」と呼ばれるようになった。「シカゴセブン」が、なぜ全米中で注目されるようになったかというと、
1)平和的なデモが一方的に、完全武装した警官隊とナショナルガードによって暴力の場となった。
2)逮捕、起訴された8人は、デモの前に一度もあって共謀したことがなく共通した運動形式も同じ信条も持っていない。
3)にもかかわらず、検察は彼らが暴動を共謀して起こした、として起訴した。
4)デモ隊のなかにFBI員を潜入させたり、ウルトラ右翼に扇動させた証拠がある。
5)反ベトナム運動で初めて暴力扇動共謀罪が適用された。
などの理由による。
「シカゴセブン」は、民主党学生組織のトム ハイデン(エデイ レッドメイン)のグループと、国際派ヒッピーを自称するアビー ホフマン(サシャ、バロンコーエン)とジェリー ルビー(ジェレミー ストロング)の2人のグループと、ブラックパンサーのボビー シール(ヤシャ アブダルマテイーン2世)の3つのグループに分かれ、運動体の目的も全く異なり、3つの組織に共通する信条はなかった。裁判は2年に渡って審議されたが、ベンジャミン スポック、ノーム チョムスキー、ジュデイ コリンズ、ノーマン メイラーなどの知識人らが被告たちを擁護し、アピールを出すなど、裁判を支援した。裁判長、ジュリアス ホフマンは共和党支持の悪名高いタカ派で被告らの人権など考えもしない強硬なやり方で、裁判を進め、弁護士事務所を盗聴したり、陪審員を買収したり、裁判長自ら不正行為をした。
シカゴセブン事件当時、ジョンソン大統領は直接ラムゼイ クラーク司法長官に、デモを暴動化させてどんどん逮捕しろ、と指令を出していた。FBIを使って情報を集め、ウルトラ右翼に組織を混乱させるよう働きかけもしていた。様々なスキャンダルが明るみに出たが、裁判所は、ブラックパンサーのボビー シールに4年間の懲役刑を言い渡し、それに抗議したシカゴセブンには、懲役5年の実刑を言い渡す。
映画は法廷でのやり取りが中心で、検察と弁護の喧々諤々がスリルに満ちていて、引きずり込まれる。2時間全然飽きない。この映画の中心になる人権活動家で弁護士のウィリアム クンスラー(マーク ライランス)と、トム ハイデン(エデイ レッドメイン)の活躍が目を引く。二人とも英国人だが二人とも、映画ではアメリカ風の発音でしゃべっている。おまけにマーク ライランスは典型的イギリス人紳士なのに映画では似合わない長髪だ。エデイ レッドメインはオックスフォード大学で、プリンス ウィリアムの学友だった。裕福な家庭出身で在学中、本格的な機材で自由に映画をいくらでも作らせてもらった、という幸運な人だ。東京生まれの役者が台本通りに大阪弁で役を演じるのを見たときに違和感を感じるのと同じように、映画が始まってすぐ、レッドメインが学生に向かって演説を始めた途端、やっぱりアメリカ人には違和感があるらしく、「変な発音ー!」と誰かが言うのが聞こえて、ちょっと笑った。
民主党学生組織のレッドメインと、ヒッピーのサッシャ バロンコーエンとは、ぶつかってばかり。意見の違いというよりもヒッピーの思想自体が認められないレッドメインが、「文化革命なんて夢ばっかりみてるんじゃねえよ。」と叫ぶが、社会改革をまじめに取り組む側にとってはヒッピーはつかみどころがない。法廷でもベトナム解放戦線の旗を法廷に持ち込んだり、ヒッピー二人して裁判官のローブを着て出廷、怒った裁判長にローブを取るように言われると、その下には警察官の制服を着ている、というように裁判そのものをちゃかすのは面白いが、裁判の進行妨害をすることに意味があるのかないのか。
映画の一番の盛り上がりは、司法長官ラムゼイ クラーク役のマイケル キートンの出廷だろう。裁判長の独善により陪審員のいない法廷で、彼が、ジョンソン大統領がデモを暴動化させるように仕向けた、と発言したとたんに巨大な渦のような拍手の音、しかしその事実は政府の機密に関わる、とされて裁判陪審員には伝えられない。
またデモ隊が完全武装装備の警官隊に行く手を阻まれ、仕方なく方向を変えて別の方向に向かう。すると再び銃を構えた別の警官隊がデモ隊の向かう方向で待ち構えている。怒るデモ隊をなだめてまた別方向に行くと、さらに行く先を警官隊がふさいでいる。怒って警官隊に突っ込んでいったデモ隊を、催涙ガスと警棒の乱打が待っている。このようなことが繰り返されて暴動を起こしたのは、学生達か、挑発したのは警官隊かが法廷で問われる。デモ隊のなかにFBIの女や、ウルトラ右翼が巧妙に配置されていて、挑発した証拠も残っている。暴動を挑発したのは警官隊のほうではなかったか。しかし、「突っ込め、やっちまえ」と言ったのは僕だ。とトム ハイデンは苦しんだ挙句、正直に言う。彼の良心の発露を貶めてはいけない。
忘れてならないことは、この事件のあった1968年、米国では徴兵制があったことだ。若者は義務としてベトナムに派遣された。進んでベトナムのジャングルに入り女子供を殺しに行ったわけではない。国の法律に逆らえば国賊として刑務所に入ることを意味した。そうした中での反ベトナム運動だった。米国で徴兵制度が廃止されたのは、ベトナム戦争後1973年だが、徴兵制度復活を主張する根強い要請があり、徴兵復活案が議会で否決されたのは2004年のことだ。
映画は被告たちが、5年の懲役を言い渡されて終わるが、実際はその2年後に上訴審で懲役刑は取り下げられた。民主党学生組織のトム ハイデンはカルフォルニア議会で上院、下院議員としてその後も活躍、女優で活動家のジェーン フォンダと結婚する。2016年に76歳でなくなったそうだ。ジェーン フォンダの方は、83歳でいまだ現役活動家、先日も、ブラック ライブマターのデモで逮捕された。すごい人だ。
国際派ヒッピーを自称していたアビー ホフマンは1989年に自殺、ジェリー ルビンは1994年に事故死したそうだ。
この映画は始めステイブス スピルバーグが監督し、パラマウントが制作する予定だった。スピルバーグは、レッドメインが演じた役をヒース レジャーに演じさせる予定だったが、ハリウッドの全米脚本組合のストが長引き、俳優組合にまでストが波及して映画が作れなくなり、ヒースも死んでしまって、それをNETFLIXが買い取ったという。
映画製作ではNETFLIXは、前作メキシコのアルフォンソ キユアロンが「ROMAローマ」でアカデミー外国語映画賞を受賞した。どうしても、今年はアカデミー賞作品賞をとりたいNETFLIXとしては、是非ともこの映画で作品賞を取りたいと意欲満々だ。アカデミー作品賞の候補にはなるだろう。
映画最後の場面は感動的だ。第1回目の上映が終わり、映画を見終えた人々が目を真っ赤にして泣き顔で出てきた理由が、わかる。良い映画だ。見て損はない。
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