シカゴ7裁判のレビュー・感想・評価
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デリンジャーの“L”と“R”。発音の勉強にもなる・・・
権力に支配される法廷。証言台に立つ者も覆面捜査官だったり、好意的な陪審員(6、11)ですら脅迫状により辞退していくという、圧倒的に被告人たちに不利な展開。こんなんで勝てるの?と思わせておいて意外な方向へと裁判は進む。
もう民主主義崩壊、司法の私物化、まるで今の日本でも起こりうる実情に腹立たしさを覚える中で、被告人たち7+1人と弁護士2人が策を練る。そんな圧倒的不利な状況下でもアビー・ホフマン(サシャ・バロン・コーエン)はジョークを交えるし、トム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)は卑屈にもなりながら踏ん張っている。彼らの個性が弁護士を通じてまとまっていく熱い反戦思想を感じ取れるのです。
ブラックパンサー党の活動家ボビー・シールの存在も大きく、7人の中には入ってないが、猿轡事件により優位に立った気がする。共謀罪であるとか、法廷侮辱罪だとか、検察側+判事の乱暴な主張も傍聴者がちゃんと見ているんだぞ!もちろん、映画の観客も傍聴席にいるような気分にさせられるし、判決が有罪であっても世論がだまっちゃいないぜ!と、どこか安心感があったことも事実。ヘイデンが扇動したとされる証拠のテープがピンチを招くが、これさえもスッキリさせてくれた。
実際にこのような気持ち良い結審だったのかは知りませんけど、TVでしっかり戦死者の名前を発表していたという伏線がわかりやすい。ほんとうはもっと反戦派の証言者もあったようですから、公判も長く感じられたんだろうな~。それにしてもマイケル・キートン演ずる元司法長官の圧倒的存在感!カッコいいと思ったのは『バットマン』以来だ・・・
意外と楽しめる裁判劇
簡単なあらすじを聞くと小難しい映画のように思うが、全然違う。
編集がよいのでテンポよく飽きさせないし、時折サシャ・バロン・コーエンが繰り出す小ネタに声を上げて笑ってしまう。
実話を元にしつつも、脚色も結構あるようで批判の的になっているようだが、現在のBLM運動を思わせる題材でもあるし、楽しみつつ考えさせられる作品となっている。
元々、パラマウントが配給する予定だったが、コロナ禍で断念しネットフリックスに権利を譲った作品が、劇場で観られるとは不思議なものだ。ジョセフ・ゴードン=レヴィットを除いて日本で有名な役者は出ていないし、この機会を逃せば片田舎では観ることはできなかっただろうなぁ。
日頃、観たい作品が地方のシネコンでは観られないことに文句を言っているが、今回も観客は10人以下なので、劇場としても、だって客が来ないじゃんと言いたいところだろう。
しかし、これは観た方がいいよ。傑作だ。
映画は本来映画館で観るもの
2021年映画館鑑賞41作品目
5月3日(月)イオンシネマ石巻
60年代の実録物
ベトナム戦争に詳しい人じゃないとこの映画をきちんと理解するのは難しいかもしれない
この時代のアメリカの空気というものは現代の日本人にはわかりにくいかもしれない
わかったつもりでも今の日本の世相に置き換えて考えてしまい己の思想に基づいた個人的で頓珍漢な解釈をしてしまう可能性が高い
タイトルは7だが被告人は8人
黒人が除外されている
途中で無効になったからか
60年代のハリウッド映画は言葉使いがもっと上品だった気がする
「シット」とか「ファック」と聞いたことがないが当時もアメリカ人は日常会話に使っていて当時の現代劇映画の方がリアルじゃなかったのかもしれない
まず序盤は裁判でのやりとりが面白い
何度も笑ってしまった
裁判長が特に面白い
次に弁護士
特に好きだったのはボビーとハンプトンのやりとりに裁判長がクレームを付けるのだが弁護士が「野球の試合結果を伝えているだけです」とか嘘をつくところ
しかしそんなコメディー要素たっぷりの掛け合いも黒人に対する理不尽な酷い扱いで一変
とてもじゃないが笑っていられない
まっあれが黒かろうが白かろうが黄色かろうが河童だろうがヘチマだろうが不快な思いをしたことには変わりはない
最初はコントのようなお笑いで観客の心を掴み話の本筋とか確信に迫ると雰囲気はガラッと変わり状況はシリアスになり思わせぶりなBGMを交えヒューマズムに盛り上げていく
お手本のような映画といえる
最後はどうなるかと思ったがそれを観たら一瞬「えっ!?」と思った
でも実際の出来事を元にしているなら受け入れるほかない
アメリカでもありえないだろうし日本なら尚更ありえない強引なものだった
人によってはそれを感動ポルノなどと詰るかもしれない
暴動シーンがとてもリアルだ
流血だ
僕は子供の頃からブッチャーやテリーファンクで見慣れているから免疫があるが血を見るのが怖い人にはちょっとエグいかもしれない
デモ隊もいろいろなグループの集まりで烏合の衆
一枚岩ではない
それを保守は内ゲバというが実際人々は十人十色
保守だって色々考え方が違うのは現実
裁判の打ち合わせでも考え方の違いからか被告人同士でたびたび揉めたりする
気になったのはデモの隊の中で星条旗を掲げていた若い女性の内なる思い
それを知りたかった
デモ隊の中にはそれ気に食わない人たちもいて警察との衝突の際に内輪揉めになってしまう
アメリカでも戦争反対者は左翼認定されるらしい
日本の映画関係者は左翼が多いらしい
日本のエリート風を吹かせた知識人の殆どは左翼だ
しかし彼らは自己保身のためか学生運動していた過激派のグループを別物と切り捨てた
中には裏切り者と軽蔑するものがいるだろう
学生運動を懐かしみながら若気の至りと肯定的には感じられない
だから日本は左翼でありながら真正面に普通の彼ら側をリアルに描いたエンターテイメントに溢れた面白い映画をつくることができないのかもしれない
日本とアメリカではそもそも文化が違うので同じものが作れないとしてもだ
中国や韓国は国がお金出してくれると寺島しのぶは羨ましがるが本来映画作りとはそんなものではあるまい
脚本が本当に素晴らしければ国だろうと民間だろうと支援してくれる
文化だろうが国策だろうがヘチマだろうが国民の血税で無尽蔵に映画を作るべきではない
『シカゴ7裁判』は脚本が本当に素晴らしい
映画は本来映画館で観るもの
NetflixとかからスマホやiPadで観るものではない
時間がないとか詭弁である
ひろゆき動画や無料ゲームに没頭する暇があるのだから
コロナ禍に負けず映画館に出かけよう
映画館で『シカゴ7裁判』を見届けよう
人の思いと表現
始まって早々「政治問題やデモか…難しい内容だな…しまったなぁ」と思って少し後悔した。
物語が進むにつれ、そこに一人の人がいて家族がいて仲間がいる事で「何故こうなったのか」がわかるようになって、引き込まれた。
大きな組織に意義を申し立てる時、その大きさに対峙できる思いだけでは何も変えられない。
過去の言葉や人物や文化などを理解して咀嚼して自分の物にして相手に伝わるように発信する。
頭のいい人でなければ難しい。
私も起立してしまう人だと思う。
だけど色々な考えや思いを知って、理解しようとして、咀嚼しようとして、自分の物にしようとした時、自分の揺るがない思いを持てるようになりたい。
世の中は変わり続ける。
人は変わることができる。
生き続ける事が一番大切だ。
この作品を世界中で鑑賞できる時代に生まれて良かった。
中盤から加速していく展開にはドキドキしっぱなし
面白かった!アカデミー候補も納得。
国 vs デモの裁判で当時のアメリカの状況や裁判制度に理解がないと追っていくのが大変だけどエンタメとしてしっかり成り立たせてる。
司法制度、国の圧力、差別……色々なことを考えさられる。
と同時に物語としての面白さも半端ない!
イッピーのアビー&ルービンのユーモアある発言が堅苦しくなくて、裁判モノでもポップに見れる。
真面目なトム・ヘイデンとの対比も面白いし、終盤に深みが出る。
アビーがカッコええな~。
中盤から加速していく展開にはドキドキしっぱなし。
最後は泣いた。
ボビー・シールに代理人がつかない理由がよくわからなかった。ただただ差別されていた?
検事も苦しんでた
アメリカのベトナム戦争前後の歴史や政治に詳しくなくても、十分にストーリーに入り込めました。
もうハラハラしました。
いくつか山場がありますが前司法長官が出てきて証言して⤴︎!陪審員の前ではダメ、記録もなしで⤵︎
テープが出てきたところではまさかこれでジ エンドかよー!と思ったけど…
ヘイデンがすごく生身の人間らしさ溢れている。ふざけたこともいうアビーを軽い気持ちで自分達より意識が低いみたいな見方もしてたり、判事に意思表示で起立をしないって決めたのに反射的に起立しちゃったり。
レニーが毎日戦没者を記録してたのをちゃっかりいいところで生かしてくれたけどね。
でもシュルツ検事も内心はかなり苦しんでたよね。
8人目を最悪な状況から、救い出してくれたのも彼だ。
異を唱える勇気
エディ・レッドメイン(アメリカの反戦活動家トム・ヘイデン)、マーク・ライランス(ウィリアム・クンスラー弁護士)、マイケル・キートン(ラムゼイ・クラーク元司法長官)他、キャストの渾身の演技が秀逸。熱演に引き込まれました。
監督、脚本を手掛けたアーロン・ソーキンによるリアルな映像が、ミャンマーや台湾のデモの映像と重なり、今尚続く彼らの苦悩を思った。
映画館での観賞
事件を知らなくても理解はできる
高校の現代史の授業で完全にお昼寝していたのか?
と言うくらい初めて知る事件でした。
その時代のベトナム戦争の反戦運動やヒッピー文化的な事は理解していたので、すんなり状況把握はできました。
脚本が秀逸なので、誰がどんな立場なのかもわかりやすくて、あっという間に心わしづかみにされ、きっちりお勉強させて頂きました。
日本ではデモや暴動なんてほとんどないですもんね。
国民性の違いをしみじみ感じます。
たった50年前の裁判だというのに、こんなに不平等で、めちゃくちゃな判事が許されている事実が一番の衝撃でした。
恐ろしい時代です。
映画なので幾分か脚色されてるのかと思いながら見てましたが、エンドロールで判事の説明もあったので、ほぼ事実通りなのでしょう。
数年前のアカデミーノミネートの警察官の悪行の映画ありましたよね。
警察や司法に差別主義者や悪人がいることの恐ろしさが身にしみます。
しかし、あの判事の悪役っぷりのおかげで、息をするのを忘れそうな位、集中してみれました。
ところでトランプの件で暴動を起こした人達を思い出しまししたが、彼らはちゃんと逮捕されてるんでしょうかね?
2021年自宅鑑賞12
卵は人にぶつけないで焼いて食べよう
反戦派アカデミー賞ノミネート者の話
裁判映画にハズレなし!
本作もとっても面白かったです。
今後の映画関係の賞はネットフリックスの独壇場になってしまうかも知れませんね。
面白い映画やりすぎですよまったくもう。
映画館でも上映してくれるからありがたいけれど
本作はまずキャストが豪華ですよね、バイプレイヤーズじゃないけれど見たことある俳優さんがいっぱい出ます。
主人公がエディ・レッドメインですがその他のメンツが濃い。
暴動を扇動した容疑の7人は学生、ヒッピー、活動家、そんなに特別な人間じゃないけれど活動の意義や使命感が熱い。
私もそれなりに政府に不満があったり政治に不満があったりするけど、表立って行動を起こせるほど勇気がない、彼等は本当に凄いと思う。
冒頭の5~6分で7人のキャラクターと立ち位置がわかりやすく説明され、あっと言う間に裁判開始。
圧倒的に不利な状況なのに彼等はなにも怖がらない、検事や判事をおちょくったり余裕を見せる。
なぜなら正しい事をしたと信じているから、そして法は全てを平等に裁くと信じているから。
裁判官が何度も法廷侮辱罪を言い渡しても悪いと微塵も思ってない。
この裁判官が堅物の嫌な奴すぎておちょくりシーンが本当に笑える。
でも物語が進むにつれ、法は権力の見方であり陰謀がまかり通ることを知り法は守ってくれないとわかる。
なんとか逆転の方法を探るものの最後に証拠として出されたテープに入っていた声は・・・
彼が終始冷静に裁判を終わらせようとしていたり、印象をよくしようとしていた理由がわかった時は衝撃的でしたね。
一応、打開策を発見するもののかなり苦しい言い訳に聞こえる。
どうあがいてもこんな事を言ってたら逮捕ですよ。
事実を元にした話なのでアメリカの反戦活動、裁判の結果、歴史がわかってよかった。
ラストは若干すっきりしないけれど満足感はありましたね。
見ごたえあって大変おもしろかったです。
政府は時として国民に刃を向ける。
権力者の都合で戦地に送られ、権力者の都合で刑務所に送られ、憲法が法律が守ってくれない時、我々はどうすればいいのか。
正しい事を信じ続けて進める勇気を持ちたいと思いましたね。
それにしてもアメリカって戦争ばっかりしてるけど、始めた頃は国民も納得してて、そのうち反戦運動が活発になる。そして引き上げる。
命だけが失われ、悲しみだけが残る。
いったい何回繰り返したら戦争しなくなるんだろう。
大義名分に騙されやすく、戦争で儲けるやつらはなんのお咎めもない、資本主義が極まるとお金の為になんでもやって、お金でなんでも解決できてしまう歪な社会になってしまうのかも知れませんね。
日本は戦争で負けてから70年以上経つけれど、少なくとも国民は戦争は二度としたくないと思ってるはず。
お金は大事だけれどまだ人間の道理を忘れてないはず。
負けて得た平和の尊さをいつまでも守り続けていきたいですね。
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劇中セリフより
「“僕ら”の血がながれるのなら、町中に“僕ら”の血を流してやれ」
血を流すことを恐れてはならない
血を流したことを忘れてはならない
血が流れることを避けなければならない
血が流れたならば癒さなければならない
whole world watching!
政権が変わり国の有力者が変わると
法律や正義の解釈が変わる。
その度に我々は流される。
不条理に流される。
けど、確固たる意思は必要だ。
その訴え方周りの巻き込み方によっては、
世間の考え方を変えることもできる。
涙が流れる。閉塞感を超えての先へ。。
さすがマイケル・キートン!
見て良かった。
エモーショナルなラスト
歴史や当時の情勢、政治的背景を知らないため、理解出来てない部分が多々ありますが、それでもこの裁判の異常性や理不尽さは明らか。衝撃的でした。
会話の連続で情報量が多い中、スピーディーな展開と編集で飽きさせないのも凄い。
ラストシーンは非常にエモーショナルで、それまである程度法廷で“優等生“でいたヘイデンのとった行動に涙が溢れました。
こういった自身の知らなかった歴史を知れるのが映画の良いところ。観てよかったです。
権力、思想、不条理、戦争、様々な要素が絡み合っている。最後まで緊張...
権力、思想、不条理、戦争、様々な要素が絡み合っている。最後まで緊張感の途切れる事がない骨太の見応えある力強い作品だった。いろいろな法廷ドラマがあるが、この判事のお粗末さは最悪、しかも実話なのだからより恐ろしい。達者な出演者の中でもマーク・ライランスが演じる頼りなさそうだが実は信念、気迫ある弁護士が気に入った。
必要悪
個人評価:3.8
正義の名の下に行われる暴力。正義を突き通すには、それは必要悪であり、その先導者は南北戦争の北部連邦のリーダーリンカーンと同じある。
シカゴ7裁判を引き合いに、世の中を変えるには、ぶつかり合い、行動する暴力が必要だという暗喩があると感じる。最後の法廷で戦死者の名を呼び上げる場面。実刑を受ける彼等だが、正義はどちらにあるか皆が理解していた。
泥沼のベトナム戦争の裏で
これは完全に好みでした。
進行する裁判とデモ当日の出来事の紡ぎ方が秀逸。立ち上がる民衆とそれを潰そうとする政府のぶつかり合いが熱い!これは一流の裁判映画だと思う。
終盤はニヤリからの涙もあり、久々にグッとくる感動があった。ソーキン監督やるな〜
まったく、あんたらのやることと言ったら!
1 1968年のベトナム反戦運動を巡る史実を題材にした法廷劇。
2この映画が採り上げたのは、暴動の共謀罪に問われた反戦運動家の裁判を巡る史実。判決という事実を改変するわけにはいかないので、どんな作り方をするか心して見た。時代背景や思想など重たい所はサラリと流し、娯楽作品として面白く見せる工夫をしていて上手く作られていると感じた。
3良かった点は、①冒頭から時代背景、反戦運動家の紹介、政府の思惑が順次簡潔に語られ、舞台を一気に法廷に持ってくる導入部の手際の良さ。②被告たちと代理人が、法の番人としては最悪の判事とバトルを繰り返しながら、あの時何が起きたのか?を示していく、テンポの良さ。③被告人のグループは、必ずしも同質ではなく素性や主義主張に違いがあることを明確にし、優等生タイプ、劣等生タイプ、ブラックパワ−に焦点をあてた。そのうえで、最後にはある方法で戦争終結の強烈なメッセージを表す。④被告人や人権派弁護士、権威主義的な判事、良心のある検事などの人物造形がことごとく適格でドンピシャリはまっていた。
反面、良くなかったのは、タイトルの工夫のなさ。これでは人は興味を持たない。また、二重否定のセリフをそのまま訳すなど翻訳にも工夫があれば良かった。
4 この映画は、五十年前の歴史的史実を題材に、国家権力は大義の名のもとに、時には権力者の自己都合をもって、行政や司法機関を使って平気で事実を捏造し、正義に反することを行うことを示した。そして、健全な社会体制であれば、その過ちは見直され自浄作用が働くことも示された。政府によるさまざまな出来事や不祥事が起きている我が国では、自浄機能が正しく発揮できるのか危惧する。
All world watching
あらゆる描写を組み合わせて視聴者の理解が構築されていく構成に感動した。
判事への胸糞や、権威主義に対するやるせなさ等、我慢するところも多々あったが、総じて歴史理解も深まっていい映画だった。
史実を元にしているとはいえ、脚色が加えられていることは、レビューで知り少し残念だったが、一映画として形を成すにはしかたない面もあったのかと思う。
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